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オマケ その10 美鈴と天馬の再会秘話 前編

天馬が他界して30年余り


日本人は寿命が長いと言われているが美鈴も85歳を過ぎて

高齢者となっていた


牧場経営は驚くほど順調で責任者の肩書は既に皐月に譲っている


美鈴は一人寝室へ行き床に就くと無性に天馬に会いたくなっている自分に驚く


死んだら天馬に会えるのだろうか?


天馬はあれから馬の国へ行けたのだろうか?


美鈴は天馬の死後欠かさず馬頭観音様へのお祈りを欠かさないでいる


祈ることは一つ 『神さま。死んだら天馬に会わせてください』と声に出した


クスッ「その願い叶えてさしあげましょうか?」


美鈴は布団で寝ているがまだ眠っているわけではない

どこから声が聞こえたのだろうか


美鈴は天井を見上げるとそこには綺麗な馬の姿をした何かが

美鈴をみていた


「貴方は誰ですか?」


美鈴は不安と期待を胸にして問いかける


「そうですね、私に名前は特にありませんが

皆さんからは 馬の神様と呼ばれているものです。」


「貴方が あの馬の神様ですか」


「天馬さんから話は聞いていると思いますが

その神様です。」


本物に会えた喜びで美鈴は嗚咽をもらす


「私をどうか馬の国へ連れていってください

そして天馬に会わせてください」


馬の神様は美鈴からの頼みに笑顔で答え


「美鈴さん選択肢は一応二つありますけど

お聞きになりますか?」


選択肢が気になり一応聞くことにした美鈴は神様に頷く


「一つ目は人族として天界へ行き輪廻転生をする

二つ目は、私について馬の国へ行き天馬さんに会う

なんですけどどうされますか?」


「勿論天馬のいる 馬の国へ行きます」


「そうですか、わかりました それでは今後のお話をしますね」


美鈴は馬の神様から馬の国の話を聞くことになりますが、

この時点で美鈴の余命はあと1日です。

87歳ですから寿命ですかね 病気ではないので医者の診断では自然死

老衰となると思います。


馬の神様と出会うときそれはその世界からの旅立ちの時が来た時です

死ぬ前に何度も会った天馬は異常なだけです。


翌朝 


いつも早起きして馬の世話をする母親の姿が見えないので

心配になり皐月が寝室へきました。



「お母さん どうしたの 体の調子悪いの?」


美鈴は寝たまま笑顔で皐月に答える


「皐月 ごめんね お母さん 今日でお別れだから

優駿君とこれからも仲良くね

あと牧場のこと頼んだわよ

母さんお父さんと馬の国から見ているからね」


「お母さん 何冗談いっているのよ

昨日まであんなに元気だったのに

ふざけてないで起きてご飯たべよう」


美鈴は皐月の言葉どうり昨日まで元気に馬の世話をしてましたが

今日は布団から出れなくなるほど衰弱が激しいです。


美鈴に縋りつき泣き出す皐月の頭を唯一動かせる右手で

優しく撫でる美鈴


「皐月 貴方にほんとのこと話すけど

これは冗談ではないのよく聞いて

昨日の夜私の枕元に天馬が話てくれた馬の神様が現れて

こういったの  貴方は明日お亡くなりになります

いっしょに馬の国へ行きましょうと誘われたのよ」


皐月も天馬から馬の国の話は聞かされている

普通ならあり得ないと笑い話で済ませるが

天馬と馬との関係を見てこれは疑いのない事実だと

皐月は理解してた。


馬の国は実在すると聞かされこんな状況だが

皐月の内心では自分も行きたいと

思っていることに驚く


皐月は美鈴の死後 毎日馬頭観音様へお祈りに行くようになります

いずれ馬の国で両親と会えるかもしれませんね


獣医としてみても美鈴の容体は悪いのは一目瞭然とわかり

家族みんなを寝室へ呼ぶ


優駿もいきなり容体が急変と言われ慌てて駆けつける


「お母さん みんなここにいるよ」


「皐月、優駿君 牧場のこと頼んだわよ

天馬と二人で上から見てるから

繋養馬のことよろしくね

皐月 先に行くけどあなたは慌てなくていいから

のんびり来なさい 馬の国で待っているから…」


「お母さん わかったよ 私もあとで行くから

お父さんと待ってて 今までありがとう」


美鈴はこのまま昏睡状態になり未明に亡くなった、

皐月と優駿に看取られ天馬のもとへ旅立つ


美鈴の葬式は無事に終わり 皐月は深夜牧場裏の高台へ上る


満点の星空を見上げて皐月は呟く


「お母さん よかったね お父さんとまた会えて」


美鈴の死に顔を見て皐月は確信した

あんな安らかな笑顔を浮かべて亡くなった美鈴は今頃

天馬と再会を果たしたのだと


こちら馬の国では美鈴は自分の姿に戸惑っていた。


馬の国の不思議なところ


美鈴は景色を見て最初は北海道の片田舎だと感じた。

どこか懐かしい雰囲気が漂う


でも違うと確信したのは何処にも柵がないところ

馬が平然とそこらじゅうで草を食んでいる

姿を見て やっぱりここは異世界だと理解した。


それと美鈴の容姿は20代前半の騎手になりたてのころの容姿にもどり

気持ちが昂る 服装はエクセレントローズの主戦の時の勝負服を着ているが

念じると服装が瞬間に変わり今は普通のワンピース姿


天馬は今の私を見てなんと言うのだろう

凄く楽しみだが、先ほどの馬との念話を思い出す。


美鈴は念話を試すため近くにいた馬に問いかける


「すいません 天翔天馬さん どこにいるか

わかりますか?」



「あ~あ 天馬さんなら メリーさん達と

森の向こうの東京競馬場にいましたよ」


馬と念話で話してしまった


「天馬もこんな感じで会話していたのね

それにしても何でここに東京競馬場があるのだろう?」


馬の神様からは天馬のアシスタントとして協力してほしいと

頼まれていたが、施設関連の話はしなかった。


森を抜けるとそこには懐かしい建物が立っていた。


府中東京競馬場正門の看板まである


「すごい、リアルね 中はどうなっているのかな?」


メインスタンドの下をくぐり抜けてゴール地点へ向かうとそこには


「うわ~ ナニコレ 本物よね 」


メインスタンド ターフとダートコースも改修されるまえの

懐かしい雰囲気が美鈴の過去の思い出までもよみがえる


美鈴の叫び声を聞いて天馬が驚きの顔を向けている


「嘘だろ 美鈴が俺の目の前にいる」


天馬の懐かしい声を聴いて 美鈴は目に涙を浮かべて走り出す


「天馬 久しぶりね 私のこともう忘れたかしら

もうあれから30年くらい経過してるし」


「忘れるわけないだろう 今の君の姿 俺たちが初めて会ったころ

の容姿で綺麗だよ 美鈴の姿を見て俺はあの時

こんなきれいな人が俺の恋人ならいいのになと何度思ったことか」


天馬は美鈴を抱き寄せキスをする


天馬と美鈴を取り囲むようにいつものメンバーが集まるが

その中には当然美鈴のライバルでもあるメリーの姿


「美鈴 見せつけてくれるわね まあ今日だけは

久しぶりだから大目に見るけど

ここでの正妻は私だから」


「メリー ここでは私も念話を使えるのよ

天馬はあなたには渡さないわよ」


天馬の両サイドにメリーと美鈴が陣取りにらみ合う


「まあまあ 美鈴もメリーもここでは仲良くしようよ

これからはトレーナーの仲間だからな

美鈴そうだろ」



天馬の右腕に腕を絡ませ美鈴は


「まあね 馬の神様からも頼まれているし

天馬も苦労してるでしょ

騎手が一人だと何もできないからね」


「確かにな スタート練習はいいけど

実戦的なレースもできないしな

ほんと美鈴が来てくれて助かるよ

今日はもう遅いから明日から頼むな」


空を見てみると夕焼けが広がっている



「ねえ、天馬 あなた 何処でいつも寝てるの?」


「あ、俺か 俺はいつも馬房で皆で寝てるよ

美鈴は慣れてないから 念じて日本家屋でも

出した方がいいだろうな」


「念じるか? それじゃあ東京競馬場は天馬が出したの?」



「見た目本物だし 手触りも確かにあるからな

幻じゃないからな 今でも不思議だよ」



「でもね 天馬 東京競馬場は5年前に取り壊されて

新しい建物に変わっているわよ

DRAは25年前後で建て替えするからちょうど天馬がDRAの

職員やめたころ京都競馬場改築してたでしょ」



「そうだよな、それじゃあ 明日は美鈴に新しい

東京競馬場を出してもらおう

そうしないと馬たちの訓練にならないしな」


天馬たちは集団で馬房へ向かう


馬房の前には以前天馬が建てた家が建っている


「美鈴は今日そこで寝ればいいよ」


久しぶりに会った妻にいっていいセリフじゃないですね


「天馬はどうするの? ここで寝ないの」


「俺はメリーと馬房で寝るよ」


天馬に甘えているメリーは美鈴にドヤ顔した。


「ローズも」 「スターも いっしょだよ」


美鈴は馬房に案内されたが意外と中は広いようだ


メリーが寝藁に横になり 天馬が頭をメリーにのせ

ローズとスターがその横に横たわる


「美鈴さんは、一人寂しく 小屋で寝るといいですよ

天馬のことは私にお任せくださいな」


カチンときた 美鈴はメリーをにらみ


「いいえ、夫婦なので私もここで寝ます」


美鈴は天馬の横に寝転び毛布をかぶる


見た目3歳馬のメリーは凄くきれいで美鈴も

弱腰になりそうになるが土壇場で踏ん張り

負けじと強気に出る


「そうですか、 わかりました 好きにしてください」


メリーはペロペロと天馬の顔を舐める


これから楽しくなりそうですね

プラチナは隣の馬房でマロンとシルバーと

寝るようです。


美鈴は、マロンを見てプラチナと勘違いしていました

マロンは白毛ですがプラチナは葦毛なので

若いころはグレーの毛色です。














馬の国では騎手は、天馬と美鈴の二人だけですのでレースは難しいです

今後は増えるかもしれません

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