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オマケ その6 お帰りラベンダーライク

余り本文でも出てこなかったライクのお話です。

種付けの話も出てきませんでした。

私はやっと大好きなお父様とお母さんのもとへ帰ることが出来た。


普通上場された競走馬の場合引退すると馬主が牧場を所有していなければ


どこかの牧場へ預けて種牡馬や繁殖牝馬として余生を過ごすことになり


死ぬまでに生まれた牧場へ帰ることなどありえないことかもしれない


「お前が引退したら必ず引き取るからそれまで我慢してくれ」


私と別れる時に聞いたお父様の最後の言葉


私はその言葉を信じて4年間競走馬として走り続けた。


お父様と最後に競馬場のパドックで会話したのは、あれはそう


2歳 阪神JFの時だ。


お父様の横には私の義理の妹のチャコチャンがお父さんに甘えるように


寄り添っていたのを見て


「何で 私はあそこにいないのだろう チャコチャンが羨ましい」


私は仲睦まじい姿を見て妹に嫉妬したのを覚えている


パドックで私を見つけてお父様が優しい言葉をかけてくれたが

私の頭の中では、チャコチャンには絶対負けないと

競争心が芽生えていた。


レースが始まりチャコちゃんが先頭で大逃げをした。


私の脚質は差しなので4コーナーを過ぎ最後の直線に向いてからが


ほんとの勝負が始まる


5馬身ほど離されて4コーナーを通過したが、直線に入りチャコちゃんは


スタミナが切れたのかその差は徐々になくなる


ゴールから50メートル手前でチャコチャンに追いつくと私はそのまま


チャコチャンを一馬身以上引き離してゴールした。


「やった~ お父様に褒めてもらえる」


レースが終わりお父さんとチャコチャンに再会すると


お父様から


「ライク よくやったね」


と言われ頭を撫でてもらえたが、そのあとすぐお父様の言葉で


喜びも後悔に変わることになった。


「チャコは今日のレースで引退するよ」


何でもお父様はチャコチャンが競走馬になるときに条件を


馬主と調教師と決めていたそうだ、その条件とわ


2歳阪神JFで1着の馬から1馬身以上離されてゴールするなら


3歳前に引退させて牧場へ連れて帰ると


そして今日のレースでは私はチャコチャンに1.5馬身差をつけ優勝した。


そうチャコチャンに引導を渡したのは姉のわたしだ。


その言葉を聞いて私は悔やんだ、なぜお父様はレース前に


一言いってくれなかったのかと お父様は落ち込む私にこう告げた。


「ライクは優しくていい子だから レース前にいったら

手を抜くかもしれないから 言えなかった」


チャコチャンは笑顔で私に


「ライクお姉ちゃん チャコと真剣勝負してくれてありがとう

3歳馬になったら チャコの分も頑張ってね」


私はチャコチャンのその言葉を聞いてチャコの分まで


頑張ろうと心に決めた。勿論お父様との約束も信じている



翌年3歳馬になり 私はチャコちゃんの分まで走った


さくら賞で1着になりまずは牝馬1冠


樫の木賞では2着と鼻差でなんとか逃げ切りこれで2冠


休養後の秋華賞では、3着だったがそれでも最優秀3歳牝馬の栄冠をつかむことが出来た。


私が自分の体が衰えたと感じたのは樫の木賞の後だろう


秋華賞では1着の馬に5馬身以上離されての3着だったが


馬主さんと調教師の人は私を褒めてくれた。


でも自分の体のことは自分でわかる 私はもう駄目だろう


4歳になり私は1つも勝つことができなくなった。


馬主さんも調教師の人も私が勝てるレースを選んで出走させてくれるが

その期待に応えることはできなかった。


私は落ち込み調教も満足にできなくなった。


そんな時 私がいる馬房にお父様が来てくれた。


「ライク 今まで よく頑張ったね、 おかあさんもチャコも

待っているから 牧場へ帰ろう」


私は馬房の中でお父様にすがりついて泣いた。


そんな私をお父様はいつまでも優しく撫でてくれた。


ラベンダーライク 引退 生涯成績は、12戦6勝 G1は3勝


数日後天翔牧場に馬バスが到着した。


後部ゲートが開き降ろされると目の前には懐かしい厩舎が見える


そして大好きなお父様が私を出迎えてくれた。


「ライク お帰り もうどこにもやらないから 安心しろよ」


「ただいま お父様 もう 私を一人にしないでね」


厩舎の中に入ると そこには大好きなお母さまとチャコチャンが出迎えてくれた。


「ライク お帰りなさい」


「ライクお姉ちゃん お帰りなさい これからはいっぱい遊んでね」


ただいま お母さん チャコチャン







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