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天馬 馬の国で調教師になる

辺り一面に広がる景色は、北海道の牧草地帯のそれと同じ

違う点を挙げるのなら安全柵がないことくらいだろう


山あり森あり小川も流れているのどかな風景が広がる

俺はほんとに死んだのだろうか

全てが夢であり俺はこの場所で居眠りしていただけかもしれない


自分の両手を見て体を見回す

鏡がないので全身を見ることが出来ないが、

俺は20代に若返っているようだ。


ここにてもしょうがないので遠くの建物が見える方へ歩いて

行くことにした。


辺りには数多くの馬たちが草を食んでいる

時折視線を感じるので馬たちに警戒されているようだ。


俺は後ろを振り返るが、なぜか馬たちが俺の後をついてくる


「なあ、なんで馬の国に人間がいるんだよ」


「馬の神様が連れてきた客じゃないのか」


「まあ、それしかないよな

見た感じ悪い奴に見えないからな」


一応は、神様の連れてきた客なので

安心しているようだ。


30分ほど歩いて馬たちがいる広場にたどり着いた。


「天馬なの?」


あれ幻聴かな メリーの声が聞こえた


「天馬無視しないの 私よ」


俺は首を左右に振りながら声の主を探す


見つけた 俺の愛しの愛馬


「メリー 会いたかったよ~」


「天馬~私もよ~」


前方から馬が物凄い速さで迫ってくる

恐怖を感じた天馬は叫ぶ


「メリー止まれ 弾き飛ばされる」


メリーは漫画の馬のように4本足で急ブレーキをかける


俺はメリーに近寄りおもいきり抱き着いた


「メリーまた綺麗になったね」


「天馬も若くてイケメンになっているわよ」


その場で30分ほど抱擁するバカっプル


「天馬もういいだろう メリーも離れろよ」


俺は愛しのメリーとの抱擁の邪魔をされ

誰だこの声はと周りを見ると


プラチナ、マロン、シルバーとストロベリー

までいる


「メリーと1年も離れ離れだったんだから

大目に見ろよなプラチナ」


「俺は周りに気を遣えといっているんだよ」


「誰だアイツ 俺の愛しのメリーローズ様に

抱き着いている野郎」


「悪いなメリーは俺の愛馬だ。」


そんなセリフをいっている時もメリーを離さない

天馬でした。


「天馬そろそろいいでしょ 満足した」


「メリーが冷たい この1年間の溝を埋めるため

今日から7日間は、いっしょにいる」


呆れた顔をするが内心嬉しそうなメリー


「わかったわ 今日から暫くいっしょにいましょうね」


「なんか天馬を見ていると死ぬ前とあまり変わらないな」


「まあ、天馬さんらしくていいじゃないですか

私あんな天馬さんも好きですよ」


落ち着いて話せる場所へ移動した天馬たち


「なあ、プラチナこれから俺は何をしたらいいのかな?」


「藪から棒に何を言い出すんだお前は

意味が解らん」


「あ~すまん 馬の神様が俺に頼みたい仕事が

あるらしいのだが、何をやるのか聞いていないんだよ

お前わかるか?」


「確か馬の神様、出かけているからな

帰られてからでもいいんじゃないのか」


「それもそうだな メリーとイチャイチャ

しているよ」


それから7日間は天馬はメリーとほんとに

イチャイチャして過ごしましたが、


7日後プラチナに呼ばれて今度はプラチナと

久しぶりに散歩へ行くことになった。


「プラチナ 馬具がない」


「そんなもの念じれば出てくるぞ」


「そんな簡単に出るかよ。

馬具よ出ろ!!」


ポンポンと馬具がどこからともなく

現れてプラチナの背中へ装着される


嘘だろ この世界はファンタジーなのか?


考えてもしょうがないので鞍にまたがる


「プラチナいいぞ 」


「しっかりつかまっていろよ

以前より若返っているから

下手すると落馬するぞ」


プラチナはその言葉どうり

物凄い速さで走り出す

天馬は何度か落馬したがなぜか怪我もしない

ほんとファンタジーの世界だ。


その日から今度は毎日プラチナと朝から出かけた

プラチナも天馬と再会してから

機嫌がいい 今日は海に行くといい走り出す。


7日ほどそんな生活をしていたら

女性陣につかまりました。


「天馬 どうして私をほっといて

プラチナとばかり遊んでいるのよ

もう、私には飽きたのかしら」


「そんなことはない

俺が愛する馬は君だけだよ」


天馬はメリーに向けて両手をのばす その時

目の前の空間から馬の神様が金色の光とともに

現れる


「私ですか、照れますね」


~~~~~~~~~~~~~~~


「天馬さんお待たせいたしました。

お仕事の件ですよね

今から説明しますのでよく聞いてください」


馬の神様からのお話のまとめ


この馬の国には、日本の競馬場で競走馬として活躍した

馬たちが所属しているその数およそ数万頭以上


馬たちの噂話だとこの馬の国へ来れば

もう、競走馬として走ることなくのんびり

過ごせると言う話だったが、一部事実と異なるらしい


のんびりと過ごせるのは、G1を勝利した馬だけ

ただしパドック会議で決めたG1勝利は無効なので

実力で勝ち取るのが条件になる


ということは、この馬の国にいるほとんどの馬は

G1を勝つまで何度も転生することになるらしい

転生すると競走馬の名前も当然変更となる


そこで天馬は質問した。


転生するのはどの世界なの?


転生する星は地球なのは変わらないが

時間軸が違う並行世界であること

生まれる国は日本とわ限らずアメリカ、欧州など世界中であり

ただ、運がいいと相手が弱い馬ばかりでG1勝利しやすい場合もある


今俺といっしょにいるメンバーはすべてG1勝利しているので

この馬の国でのんびり暮らせるメンバーばかりです。

問題は、チャコがこの馬の国へ来た場合は、転生する必要が出てくる


しまったな、ライクが出走しないG1レースに出走させれば

よかった。チャコが来たら謝ろう


結論 馬の神様の俺への依頼内容は


俺が馬のトレーナーとなり教育することらしい

少しでも早く転生しなくてもよくなるのが

理想らしいのだが現実は甘くないらしい


俺たちが連れていかれた場所は何となく見覚えがある建物だった。


「ああ、そうか 東京競馬場だな」


天馬の記憶より簡略化されているので天馬は元の記憶を頼りに

府中東京競馬場を復元した。


「さすがですね 私の記憶より正確です」


馬の神様からお褒めの言葉を頂戴した


そこにはゲート練習をしている2歳馬がいるが

皆さん臆病すぎでゲートに入れないようだ。

入ってもゲートをこじ開けて外へ出る馬

ゲートの下をくぐる馬などこれではゲート試験落第するな


セレクトセール**億の馬でもゲート試験で落ちて

デビュー出来ず そのまま処分されたケースがあるしな


ゲート以外にも坂路などトレセン並みの施設がある

転生しなくてはならない馬が自己鍛錬するが

効率が悪いので俺にそれを指導してほしいとのこと


ここで馬の神様からサプライズが


「実は天馬さんに会わせたい方をお連れしました。」


天馬が振り返ると



競馬場の観客席の横の通路から1頭の牝馬が現れた


「パパ久しぶりローズ会いたかったよ。」


頭を俺にこすりつけてくる娘を優しく撫でる


「あれ、俺が死んで直ぐにお前たちもこの馬の国へ

きたのか?」


「違うよパパ もうあれから5年過ぎてるよ」


「天馬さん ご説明するとこの馬の国では時間がゆっくり経過します

地上世界の100分の1くらいでしょうか?

その時間差を鍛錬に費やすことで転生までの時間を稼いでいます。」


ここでローズの背中に乗せられた段ボール箱に目が行く


「ローズこの段ボールは、何だい」


「うんとね 美鈴が乗せていたよ 中身は知らない」


俺は中身を見るためガムテープを剥がして中を見ると

封筒が商品の上に載せられていた。


封筒の表面には、天馬宛と書かれていて裏面に美鈴の名前がある


俺は封筒から手紙を取り出した。未来からの手紙だな

内容は、俺が死んで5年後にローズが

老衰で亡くなったことと俺が死んで寂しい思いをしていること

美鈴が寿命で死んでも天馬がいる馬の国へ行けないのが

辛いと書かれている 最後には嬉しい知らせがあった。

優駿と皐月の間に子供が生まれたそうだ、

子供は皐月に似た可愛い女の子だから婿を取るのも簡単

これで天翔牧場を継がせることが出来ると喜んでいる


俺の横を見るとローズが興味ありげに

段ボールの中を見ているので

俺はその袋を開封して娘たちに与える


「パパ これ飴の袋 だったの

久しぶりだから 美味しいね」



俺が死んでからは、飴を食べるのを拒否したらしい

俺以外からはもらわないと美鈴はそれを知っているから

餞別代りに棺にいれてくれたのだろう


「よし、それじゃあローズに

俺の仕事を手伝ってもらおう」


「何をするか知らないけど ローズ頑張るよ」


俺はこうして新しいサポートメンバーを手に入れて

転生する馬たちの訓練をすることにした。


まずは、ゲート試験対策だな





アフターストーリーです。

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