高齢馬と向き合う大切な時間
朝の恒例の散歩道を俺はメリーに跨りトコトコとのんびり走る
プラチナは最近散歩に行かない日がある
プラチナもあれで高齢馬だし気分が乗らないと出たくない日もあるのだろう
体調的には問題ないのは、獣医さんに定期的に診察してもらっているから
あくまでも老化のためらしい
「メリーとこうして散歩したの意外と少ないんだよな」
「そうよね、天馬はプラチナとばかり朝の散歩楽しんでいるから
それに私もつい最近まで繁殖牝馬として妊娠していたのも
あるわね でも種付けすることもないし 毎日でも付き会うわ」
「俺だってメリーと毎日でも散歩したいけど
毎朝、あいつ俺が起きるのが遅いといなないて
催促するからなまあ最近ないけど」
「天馬も寂しいのね、プラチナ最近あまり放牧地でも
動かないでのんびりする時間増えているから
あまり肢に負担掛けたくないのよ
はしゃいで骨折なんかしたら最悪安楽死でしょ
ああみえてプラチナも今の牧場の生活気にいってるから
1日でも長く天馬と暮らしたいのよ」
「ほんとかよ あのプラチナだぞ」
「プラチナ今でもなついているの天馬だけよ
ほかの厩務員の指示には従うけど
甘えるのは天馬だけなのよ
プラチナの照れ隠しなの人の言葉で表現するなら
ツンデレだったかしらね」
「ところでさあ 最近牧場に来た馬たちから
不満なんか聞いていないかな?」
「アハハハ 天馬それ本気でいってるの
この牧場生活で不満を言う馬なんて
日本中探してもいないわよ」
「それは言いすぎだろ。不満なんてどんな裕福な生活
していても出てくることだから
俺としては少しでも問題点をなくして馬たちに快適な
生活をしてほしいんだよ、1日でも長く生きていてほしいから」
「天馬よく聞いてね、私やプラチナまあ最初からいた馬たちは除くとして
ここへ来た馬の大半は劣悪な環境の厩舎にいた馬なのよ
夏は暑いし、飼い葉は古くてまずいし極めつけは馬房が汚いのよ
天馬の牧場だと衛生管理行き届いているから皮膚病とかかかること
ないけど不衛生な馬房だとね直ぐ皮膚炎になるのよ」
「それは前から不思議に感じていたな まずこの牧場へ来たら
直ぐに獣医さん呼んで健康診断するからそして大半の馬は
皮膚炎を発症していた。獣医さんもここ以外の牧場なんて
そんなものですよと笑っていたけど」
「だからねもしも前の牧場の厩務員がこの牧場へきて
処分した馬たちを見たら驚くでしょうね
見た目がまず若くなるし毛並みも現役に近くなるし
極めつけは健康そのものになるから
これで不満を言う馬がいたら一度顔を見てみたいものね」
「じゃあ、俺のやりかたは間違っていないでいいのかな
なんかこう改善策がまだあってそれをやれば
馬が長生きするなら何でもするぞ俺は」
「天馬、ありがとね 貴方と出会えた私たちは幸せだね」
「何だよ。いきなり 照れるだろ」
「私は、頑張って誰よりも長生きするわ もつと天馬と
こうしていたいから」
俺たちの甘い空間が娘たちに邪魔された
今日は、メリー以外に後ろからローズとライクも散歩に
同行していたのだ。
「ねえ、ママ いつまでパパを独占するの
ローズもパパと散歩したいから代わってよ」
「お姉ちゃんの次は、ライクの番だよ」
「はい、はい、わかったわ 天馬この子たちに乗ってあげて
わたしは、もう満足したから」
「天馬 またね」
奥さんと娘たちと楽しく過ごせるこの時間大切にしないといけないな
俺と美鈴の娘である皐月は、推薦で大学へ入学して獣医を目指している
早ければあと2年でこの静内へ帰ってくるだろう
そうすれば、今よりも馬たちのケアーができるはずだ。
このお話もそろそろ終焉を迎えますので
あまり面白い展開にはなりませんが
もうしばらくお付き合いください




