天馬と馬の神様との出会い
天翔天馬と馬の神様が出会ったのは、天馬が小学生のころのお話
日曜日いつものように父に連れられて地方競馬場からの帰り道
中央であれば施設近くの横断歩道には警備員の人が
歩行者の保護のため配置されていますが
財政赤字の地方競馬では警備に使う予算もなく
開催日でも横断歩道に誰もいません
そんなある日天馬と父が横断歩道を青信号で渡っていた
ところ右折車が横断歩道の安全確認を怠り
速度を落とさず横断歩道上で天馬を跳ね飛ばした。
跳ね飛ばされた先には馬頭観音様が祀られている祠がある
※競馬場の近くにはこのような祠がいくつもあります
競走馬がレース中とか厩舎で亡くなった場合に
火葬後遺骨が納められるところがあります。
天馬は10メートル跳ね飛ばされ意識を失った。
事故後直ぐに救急車で近くの病院へ緊急搬送され
直ぐに緊急手術が行われた。
外傷による脳内出血により脳が圧迫され非常に危険な状態
担当医師からは助かる可能性は非常に低いと言われる
「私も全力を尽くしますが覚悟してください」
医者は両親に言い残し手術室へ入っていった。
天馬は意識が朦朧とする中不思議な馬と出会った。
馬なのに人の言葉を話す。
その姿は尾花栗毛の綺麗な馬だった。
天馬とその父親は競馬場へ行く際は必ず馬頭観音様へお参りしていた
その神様も天馬のことをよく覚えていた。
『かよわき人の子よ、我が偶然祠にいたときに
出会ったのも何かの縁じゃ
我がそなたの命を救ってやろう』
「本当でしょうか?」
『お前が成長したら我の同胞のため
力を貸すというのであればな
どうじゃ、約束できるかな』
「神さまお約束します、どうか助けてください」
『その言葉、確と聞いたぞ 努々忘れることがないようにな』
『授けるのは我ら同胞と話せる能力じゃな
この能力を使い処分される同胞を1頭でも
救ってくれることを其方を助ける代償とする』
「誓います。僕は大人になったら馬たちの力になります。」
俺はその馬の神様から不思議な能力を貰った。
馬の神様は、またいずれ馬の国で出会えるのを楽しみにしていると
言い残すと僕の目の前から消えた。
僕はまた意識を失い 目が覚めるとそこは病室だった。
「天馬、よかった 目が覚めないかと思っていたぞ
医者もこのまま植物人間になるかもしれないと
いっていたから ほんとによかった」
「ねえ、お父さん 僕どれくらい眠っていたの?」
「今日で40日だ。」
お父さんは、病室の壁にあるカレンダーを指さす。
カレンダーの月は12月で僕は10月下旬に競馬場へいったから
「お前が事故にあったのが10月だから
季節はもう冬になってるぞ」
「でもこれで安心して年を越せる
医者からもほかの怪我は完治しているから
目を覚ませば退院できるといっていたからな」
その後すぐに担当医が来て精密検査後僕は退院した。
~~俺は馬がいななく声で目が覚めた。~~
俺の横では美鈴が静かに寝ている。時計は午前4時か
それにしても懐かしい夢を見た。
馬の神様綺麗だったな、メリーにそっくりだ。
「それにしても時間に正確な馬だな、プラチナわ」
俺は急いで支度すると厩舎へ出向く
「遅いぞ 天馬 早く準備しろ」
「ごめんな プラチナ 今朝は懐かしい夢を見た。」
俺は馬具を装着しながらプラチナと会話する
「ほう、それはどんな夢だ」
「お前たちが馬の神様といってる綺麗な牝馬の夢だよ
俺が子供のころに命を助けてもらった恩人だよ」
「ほう、それは羨ましい話だな
俺たちでも出会うことは、稀だからな」
「へえ、いつなら会えるんだ」
「寿命が来て馬の国へ行く前日だそうだ
俺がまだ見ていないのはまだ死なないということでもあるな」
「プラチナ」
「何だ、天馬」
「お前は黙って逝くなよ。最後くらい看取りたいからな
約束だぞ」
「それはわからないな、言うかもしれんし言わないかもしれん
お前が俺の横でビイビイ泣くの見たくないからな」
「泣くもんかよ、そんな悲しいこと言うな
お前は、あと30年は生きられる
それなら俺は笑ってお前を馬の国へ送り出せるからな」
プラチナはそっぽ向き
「馬は50年は生きられん 無理をいうな」
「いやいや、外国の馬で60歳まで生きた馬がいるからな
お前のように神経が図太い馬なら新記録を作れるよ」
「もういい、この話はまた今度だ
とにかく俺は今無性に走りたいんだ」
俺を鞍上にプラチナは物凄い速さで飛び出した。
散歩から帰り、プラチナの体を念入りに洗うと
飼い葉を与え馬房の朝の掃除をする
新人のメテオプリズム、サユリママ、アバレンボウさんも
体調も問題なく食欲も旺盛のようです。
楯調教師に預けたメテオライアンは、G1夕日杯で優勝
2歳最優秀牡馬に選出された。楯厩舎に早くもG1馬が誕生したのだ
これを機会に来年からは、所属する競走馬も増えることになるだろう
馬房の清掃中に美鈴から
「ねえ、天馬聞いてよ 皐月がねえ」
「ん、皐月がどうした」
「皐月がね言うのよ 皐月将来獣医さんになる だって」
「そうか、奥さんに似て皐月頭いいからな
でもほんとに獣医になってくれたら
心強いな、今でもお義父さんに頼めばヘリで呼んでくれるけど
冬で雪が吹雪になると呼べないからな
牧場に獣医が常駐してくれるとほんと助かる」
「そうね、まあ、子供の夢なんてころころ変わるものだしね」
「でも美鈴は、子供の時の夢叶えただろ
皐月の夢も必ず現実になるよ」
「そうだよね、私の夢2つとも叶ってる
1つ目が、騎手になること2つ目が牧場を経営すること
これも天馬に出会えたからだね ありがと」
「どう、いたしまして 奥さん」
俺はまだ空いている馬房を見ながら
「この空いている馬房もすぐに埋まるわね」
「法人も頑張っているからな
受け入れられる牧場の準備が整えば
すぐに移送されてくるよ」
準備が間に合わないと処分される馬もそれだけ増える
たとえ1頭でも救わないといけないからな
馬の神様との約束だものな
馬頭観音は、実在しますこれは架空ではありません
意外とどこにでもあるようでして私の家の近所にもありました。
おそらく農家がたくさんあった場所に馬が農耕馬として
飼われていた名残でしょうか




