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メテオプリズム最後の産駒。

サユリママが無事に仔馬を出産しました。

俺の娘の皐月も初めてお産を見て感激している


パパに似た葦毛の馬体は仔馬でも王者の風格がある

牡馬が生まれたからメテオプリズム2世になるだろう


生まれたばかりの仔馬を見つめて叫ぶ皐月


「仔馬ちゃん 頑張って立つのよ」


その声援を聞いて仔馬は肢をプルプルさせながら

立ち上がり何度もよろけながらお母さんの

もとへ辿り着き美味しそうにお乳を頬張る


「やった~ ママ 仔馬ちゃん 頑張ったね」


皐月は出産に立ち会い感動したことで馬に興味を持ち

将来馬のためになるような職業に就こうと心に誓った。


サユリママの馬房の周りにはたくさんの牝馬たちが

馬房の扉の間から顔を出して

出産を自分のことのように喜んでいる


メ「よく頑張ったね、サユリ元気な仔馬だね」


サ「貴方に似て強い競走馬になりますよ」


メ「この子の成長した姿を見るために長生きしないといけないね」


サ「あと10年は頑張って長生きしましょうね お互いに」


メテオプリズムにそっくりの牡馬が生まれた。


俺はこのサユリママとメテオプリズムの産駒を

メテオライアンと命名した。


翌年、


メテオライアンは生まれた半年後から育成をはじめ

1歳になると本格的に佐藤育成牧場で調教を始めた。

佐々木さんにもアドバイスをいただきこれなら

来年6月にもデビューできますと太鼓判をもらう


佐々木さんほんとは自分の厩舎に入厩して調教したそうに

していましたが、今回は後輩に譲ってくれるようです。


俺は楯さんに天翔牧場へ来てくれるようにお願いをした。

ちょうど楯さんも静内の牧場巡りをしているようで

快く承諾してくれました。


楯さんの驚く顔が是非見たいです。


「天翔さん ご無沙汰しております

調教師を開業してから忙しかったもので

挨拶が遅れましたことお詫びします。」


「楯さん そんなこと気にしないでください

本日お呼びしたのは楯さんに会わせたい牡馬が

馬房にいますのでご案内します。」


「私に会わせたい馬ですかなんだろう

楽しみですね」


楯さんを馬房に連れていく

今回はお客さんがいるので皆大人しく馬房の中にいます


「こちらの馬房ですよ」


馬房の扉のメテオプリズムのネームプレートに

楯さんの目は丸くなる


「まさか、ここで会えるとわ」


俺たちの声が聞こえたのでメテオプリズムが顔を出す。


「これは、懐かしい顔ですね

13年ぶりでしょうか?」


「楯さん メテオプリズムが楯さんのこと覚えていますよ

13年ぶりだそうです。」


「もう、会えないと思っていました。

私の騎手人生の中でも思い出深い名馬です

お久しぶりメテオプリズム元気そうで何よりです」


「ここでの生活は快適ですから

私も長生きできそうです。

貴方もお元気そうで何よりですね」


「楯さん ここでの生活が快適で長生きできると

いってますよ」


「以前より貫禄が出ていますが、昔と何も変わっていません

うちの厩舎で預かっている馬よりも逞しく見えますよ」


おっと そろそろサプライズのお時間ですね


「本日楯さんにご足労いただいたのは

遅ればせながら開業祝いを楯さんにお渡ししようと

思いまして お祝いは隣の馬房の中にいますよ」


俺は隣の馬房へ案内するネームプレートには、

メテオライアンと表記されている


「え、私に競走馬を預けていただけるのですか?

 それは、ありがとうございます。

  では拝見しますね」


楯さんは驚きを隠せないようで慌てながらも

天馬にお礼を言った。


馬房の入口から覗くとそこには、

父親に似た葦毛の逞しい牡馬がいた。


楯は、その牡馬を見て15年以上前に初めて

メテオプリズムに出会ったときと同じ

驚きを体験した。そして体中が震える

この馬となら戦える


楯は天馬の両手を握りしめた。

感動で涙ぐんで見えます


「天翔さんほんとに私のような新人にこのような

見事な牡馬を預けていただけるのですか?」


「勿論ですよ、私はこの子が生まれたときに

楯さんへのお祝いにしようと決めてましたからね

もう、既に調教も済ませてますので

いつトレセンへ入厩しても大丈夫ですよ」


「ありがとうございます。この御恩に報いる

為にG1を必ず勝てるように私が調教します」


「楯さん気楽に行きましょうよ

楯さんなら大丈夫です。この馬も楯さんの調教師としての

名声を高めるためにきっと頑張ってくれますよ。」


楯さんはメテオライアンが気にいったようで

隅々まで念入りにチェックしている


不意に顔を上げる


「天翔さん一つ聞いていいですか

この馬の母親は誰ですか?」


「母親は、この隣の馬房にいる

メテオプリズムの同世代馬の

サユリママですよ」


俺の名前を呼ぶ声が聞こえたので

サユリママが顔を出す。


「私たちの仔馬のことお願いしますね楯さん」


「楯さん サユリママから伝言で産駒をよろしく

だそうです。」


楯さんはサユリママの前に立ち


「任せてくさい、必ず年度代表馬にして見せます」


その言葉を聞いてサユリママは大きく頭を下げる

仕草をする。


どうもお願いしますといっているようですね


後日 俺はメテオライアンを馬バスに乗せて

楯さんのトレセン厩舎へ向かった。


調教師としての楯さんの株を上げるための

作戦でもある。


やはり天翔牧場の馬バスは目立つ

久しぶりにトレセンへ来たが

あちこちの厩舎から人が集まってくる


佐々木さんの厩舎へ行くと大半が思っているが

馬バスが停車したのは新人の楯厩舎前


厩舎から楯さんと助手と厩務員の人が出てきて

俺たちを出迎えてくれる


俺は馬バスを出ると楯さんへまずは挨拶


「楯さん、家の子お願いしますね」


「私にお任せください」


馬バスからメテオライアンを下ろすと周りから

どよめきが起こる


「あれが噂のメテオプリズム最後の産駒か

まるでメテオプリズムの2歳の時と同じ風格がある

あれは、間違いなく走るぞ」


年配の調教師の人が何気に呟く


「新人のところじゃなく俺のところへ預けてくれたら

来年は、最優秀2歳馬にしてやるのに残念なことだ」


俺は振り返りその調教師を見た


あの人はダメだ馬をつぶすと有名な調教師

無理な調教でレース前に馬を疲労させるので

レース本番でまるで走らなくなる

俺もあの人の調教した馬だけは馬券購入したことがない


これで、来年からは楯厩舎へ馬を預ける

馬主も増えるだろうね、よかった


「ねえ、天翔さん」


俺は肩をトントンされて振り向くと

悲しそうな顔した横長さんがいましたよ


そういえば楯さんより少し前に引退して

調教師になりますと牧場で言われたのを

今思い出しました。


「天翔さん 冷たいじゃないですか?

うちの厩舎にも馬を預けてくださいよ

楯さんばかりひいきして

あんなに凄い馬じゃなくてもいいですから」


「え~確か横長さんには、伊藤さんが馬を預けたと

聞いていましたから大丈夫だと思いました。」


「まあ、確かに預けてもらってますけど

調教師としては、あれぐらいの馬

預けてほしいと願うものですよ」


横長さんは羨ましいのかメテオライアンを指さす


俺は根負けしたので来年は預けますよと

横長さんと約束した。


楯さんならやってくれますよ










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