本格的に引退馬の繋養始めます。
楯さんはイベント後 9月の1次、11月の2次試験を経て12月に
調教師の免許を取得した免許取得後は知り合いの厩舎で研修をして
翌年の3月に免許が交付され調教師を開業することになりました。
※毎年の合格者は、定年退職(70歳)またその他の理由で調教師を廃業した
人数により合格者は変動しますが、受験する人は多いです。
退職する調教師の関係者であれば、そのまま厩舎を引き継ぐ場合もあります。
騎手を引退して調教師を目指す人もいますが、
新人にはなかなか預けてもらえないようですね
やはり実績が求められる世界ですから大変ですが
廃業した厩舎からの転厩があり馬がいないことはないそうです。
~~日本ダービー終了後 6月~~
うちの牧場は今年から20歳以上の高齢馬を受け入れ繋養します。
馬房は30ほどありますが、今現在はメリー、ローズ、マロン、シルバー、
ライク、スター、チャコ、が繁殖牝馬現役のため繋養馬は10頭しか
増やすことが出来ませんので、毎年2頭づつ受け入れる予定です。
そしてこの春に牡馬が1頭増えました。
昨年で種牡馬を引退したメテオプリズムさんです。
伊藤さんから是非快適な暮らしをさせて下さいと頼まれました。
伊藤さんにとっても功労馬ですからね
種牡馬登録は年末抹消されます。
そして今日その2頭が到着します。
「天馬 来たわよ」
娘の皐月と馬の世話をしていた美鈴が呼ぶ
古ぼけた馬バスが牧場の敷地内で停車して
助手席から降車した厩務員がゲートから馬を2頭降ろす
俺は受け取りにサインする。
「ご苦労様でした。」
運転手は俺に会釈して運転席に乗り込むと馬バスは敷地から出ていった。
「さあ、今日からここが貴方が余生を過ごす厩舎です。」
降ろされた馬は、最初戸惑う仕草で辺りを見ていた
サユリママ「貴方は、私たちと会話できるのですか?」
現役の馬ならほぼ知っている情報だが
引退した馬なら知らないのが当たりまえかな
「はい、念話で会話ができますよ」
アバレンボウ「よかった、この施設は馬を処分する施設ではないようですね」
牡馬がアバレンボウさんで牝馬がサユリママです。
今後表記はアとサで表示します。
やっぱり引退馬が牧場から移送される場合は
処分されると考える馬が多いようだ。
「そんなことはないですよ、貴方達は競馬界に貢献した
功労馬です。今日からはここでのんびり過ごしてください」
サ「私たちは何もしなくてもいいのでしょうか?」
「そうですね、心苦しいのでしたら この牧場では
ファンの方へのサービスで乗馬体験もしてますから
体を動かしたいのでしたら乗馬に参加してください」
ア「そんなことでよければ喜んでお引き受けします」
2頭とも大人しい性格のようですから
乗馬用に向いているようですね
「それでは、馬房へ案内しますね」
俺は美鈴と奈々に合図して手綱を引いてもらう
2頭とも昨日まで入厩していた牧場施設と
いろいろ違うので多少戸惑っている
厩舎内へ入ると 開口一番
アとサ「この厩舎の中、涼しいですね!!」
「これから暑い夏が来ますからね、この厩舎のエアコンも
新しくしましたから暑い夏も快適に過ごせますよ」
そしてこの牧場の変わっているところへ出くわす
メリー達が馬房から出て自由に徘徊しているからだ。
メ「天馬、新しく入厩するかたなの」
「メリーそうだよ アバレンボウさんとサユリママさん
今日からよろしくね」
アとサ「お世話になります。ここ変わってますね
馬たちが自由に徘徊できる厩舎なんて
聞いたことないですよ」
メ「ハハハ、まあそうでしょうね 天馬が変わっているから」
その後先輩方に挨拶しながらお二人の馬房へ案内する
「この牧場では、お客さんが来ない日は、馬房の扉を閉めません
ああして自由に厩舎内を移動できます」
「この牧場では、原則生まれた仔馬も6か月で乳離れをしませんよ
競走馬として調教が始まるまで母親に甘えることが出来ます
集団行動も自然に身に付きますからね」
ア 「それで、強い競走馬に育ちますか?」
「この牧場の引退馬には、母子で日本ダービー勝った馬も
いますよ、ローズとスターがそうです」
俺の後ろで、ローズとスターが自慢げな顔してる
?「天馬さん お仲間が増えたそうですね
そちらの方ですか?」
「あ、ちょうどよかった。今仲間を紹介していました。
こちら家の最年長のメテオプリズムさんです。」
「メテオプリズムです。よろ… 懐かしいですね
アバレンボウさんとサユリママさんですか?」
ア「なんとここで、我々世代の最強馬に再会できるとわ
長生きするもんですね」
サ 「わたし、メテオプリズムさんのファンでした」
そうでした、メテオプリズムさんクラシック3冠馬で
年度代表馬に2度選出されてましたね
アバレンボウさんは、G1は1勝だけだが、
メテオプリズムさんとの同じレースでは
2着3着のレースが多かったからな
世代が違えばアバレンボウさん3冠とれたかも
サユリママは、名牝馬として有名だし
3歳牝馬3冠とエリザベート王女杯も優勝している
今年の年長者は、凄いメンツが来たようです。
「いや、私なんて 運がよかっただけですよ
アバレンボウさんには、毎回鼻差で辛うじて
勝ってただけですから 恐らく騎手の腕の差ですかね」
ア「確かに盾騎手が鞍上だと負け知らずでしたね
私の場合は、騎手がよく代わりましたから走りずらかった」
G1のレースではお手付馬に乗る関係で
お手付き馬が同じレースに2頭出走するとき
どうしても乗り代わりが発生します。
サ「でも私たちこんな環境がいいところで余生を過ごせますが
私と同じ日に牧場から移動した引退馬は何処へいったのでしょうか
天馬さんご存じですか?」
「すいません、お二人がここへ来たのも
まったくの偶然ですから 処分される引退馬を
法人が買い取り繋養できる牧場へ送られるのですが
どのように選別しているのか私ではわかりません」
サ「それでは、ほんとに私たちは運がよかったのですね
仲間の分まで長生きしないといけません
そして寿命を迎え馬の国へいって再会したら
謝りましょう」
数日後2頭ともこの環境に慣れてのんびりと過ごせていますが、
同じ放牧地へ放たれてから
サユリママとメテオプリズムさんの様子が何か変です。
サユリママの書類には、この2年は種付けをしていないと書かれている
理由は、発情しなくなったので受胎しないと見切りをつけられたようです。
それじゃあ体に問題ないのですね 登録も繫殖牝馬のままです。
メテオプリズムさんは、まだ現役でしたが伊藤さんの配慮で
引退を早くしただけです。登録は消されてません
またか、プラチナとマロンやシルバーの件があるからな
1か月後、サユリママ妊娠してますね
どうやら、久しぶりに愛しい殿方に再会して発情したらしい
メテオプリズムさんもサユリママに気があるそぶり見せてたし
伊藤さんに報告しないといけないな 頭痛い
伊藤さんに報告したが、伊藤さんは笑顔でいった。
「最後のメテオプリズム産駒となりそうですね
天馬クン頼みましたよ。りっぱな競走馬に育ててください」
俺の責任ですからね。血統的に登録されているので
良血馬として認められるから上場も可能ですが、
サユリママを手放した牧場泣きそうですね
来年がとても楽しみです。もしかすると楯さんの開業祝い
にちょうどいい1歳馬をプレゼントできそうです。
調教師の開業について調べましたが、この小説の内容は架空ですので
事実と異なりますのでご了承ください。また引退馬の種付けですが、
基本的に放牧中の種付けは確証が得られないので
良血馬として認められないのが普通です。牝馬と牡馬は同じ放牧地へ入れません




