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年末のG1勝利とサプライズ

12月の肌寒い朝6時中京競馬場前駅に到着した電車の扉が開くと

たくさんの競馬ファンの方が我先にと小走りに

ホーム中央の階段を駆け下りていく

本日はG1レース開催のため駅員さんも応援の方を増員してでの

対応で忙しいようです。


「危険ですから走らないでください 前の方に続いて慌てないでゆっくりと

 階段は降りてください 」


改札口を出ると長い通路を抜け地上へ出ると朝も早くから警備員の方が

通行する車を停止させ歩行者を横断させている


横断歩道を渡りアーケード商店街を左に曲がると競馬場までの長い

上り坂が待っている距離はおおよそ500メートルほどだろうか


本日は徹夜組もいて既に競馬場までの歩道が人で埋もれている


今日の天気は快晴、馬場も芝もダートも良と発表されている

駅から競馬場の入口まで入場待ちの長い列が続いているが

そこまでしてでも見たい競走馬がいるのだろう


恐らくG1開催日としても競馬場始まって以来の入場者かもしれない


そのお目当ては、なんといってもブリリアンスターのダートを走る姿を

この目で見ようと駆けつけたファンの方たち


通常レース開催日は、9時に入場開始となるが本日は8時に開門すると

DRA職員がメガホンを手に持ち大声で叫んでいる


あと2時間ほどですが、寒いですが頑張ってください


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

レーズの前日に競馬場へ向かう馬バスの親子の会話


「スター体調は大丈夫か、どこか痛いとかないか?」


『お父様、ご心配なく 体調は万全ですわ

 明日も華麗な走りをお父様にお見せできると思います』


「無理はしないでね、レースは途中でやめてもいいから

無事に帰ってくるとお父さんと約束してくれよ」


『お父様、そんな心配そうな声で言わないでくださいまし

お父様に誓います 絶対に無理はしません』


俺はスターを抱き寄せて頭を撫でる


『もう、お父様ったら 前髪が乱れます

先ほど綺麗にセットしたばかりですよ』


「大丈夫、明日のレースまで時間あるし

お父さんが、前髪、タテガミ、シッポも綺麗に

ブラシかけるから」


『それでしたら、構いませんわね』


スターの視線の先には窓があり外が見える


『お父様、わたくし 先ほどから気になっているのですが

この馬バスが、交差点で止まるとわたくしに

手を振る人とかカメラ向ける方がいますけどなぜでしょう?』


「それはね、この馬バスが天翔牧場の特注馬バスだから

だね、車体に牧場の名前と可愛いい馬のイラスト描いてあるから

子供にも大人気なんだよ」


「ちなみにイラストはね、メリーとローズのイラストに

今回特別にスターのイラストも描いてもらったから

この馬バスにスターが乗っているのわかるんだろうね」


『何だか、恥ずかしいですわ』


「大丈夫、スターのお母さんのローズも体験したから

 ローズはしゃいでいたよ」


『もう、お母様といっしょにしないでくださいませ』


と言いながらシッポは大きく左右に振られている


  当日の11Rのパドック


さていつも騒がしいパドックで不思議な光景が広がる


「お嬢ちゃんまだ若いのにダートを走るのが好きなのかい」


『はい、何時もトレセンで芝よりもダートに力入れて走ってますから

ダート走るの楽しいですよね、特に雨の日が好きです

ぬかるみ走るとあのヌルとした感覚がたまりませんわ』


「お嬢ちゃん 通だね そこに気が付くとわ

将来が楽しみだね、今の若い馬たちは芝がいいと

いって芝のレースばかり出走しようとするから

肢腰が弱くなって故障するんだよ」


『そうですか、だからこのG1レースもベテランのかたばかり

なのですね、若輩者ですがご指導とご鞭撻のほど

よろしくお願いいたします。』


「最近では珍しくいい子だね、どこの牧場の子かな」


『はい、静内にある 天翔牧場で生まれました。

わたくしのお父様は、自慢のお父様です』


「ほ~なるほど 最近よく聞く牧場だね

なんでも人なのに馬と会話ができると聞いたが

ほんとのことなのか」


『はい、それはもう 牧場で繋養されている同胞はみな

お父様のこと大好きですよ。

それにお父様は人でありながら馬の神様と面識があるそうです』


「それは、ほんとによい牧場のようじゃな

ワシも引退したらそこへ行けたらよいがな

馬主次第じゃからな」


『是非牧場へ来てくださいね 歓迎しますよ』


こらこら 無責任なこと言わないようにね

勝手に引き抜きできないからね


そんな感じで珍しく和やかな雰囲気ですね。

出走される馬たちは、5歳馬、6歳馬のお爺ちゃんと

お祖母ちゃんが多いので、スターは孫のように

可愛がられていますね


こんな和やかな雰囲気のままレースは行われ

スターは道を譲られながら1着でゴールしました。


レース後のウイナーズサークルで楯さんが

インタビューに答え


「今日のレースは、スターにすべて任せました。

賢い馬なので何の問題もなく1着でゴールすることが

出来ました。来年も応援よろしくお願いします」


スタンドからもたくさんのファンの方から温かい声援が

いつまでも続いていた。


レース後 楯さんを交えて来年に向けての会議が始まる


「今年度は、皆様のおかげで日本ダービーも勝って

年度代表馬もまず間違いないと思います

それで4歳馬になってからのレースですが」


「佐藤さんよろしいですか?」


「はい、盾騎手 なんでしょう?」


「お話の途中ですいません一つお伺いしますが、

来年の初戦はどのレースに出走しますか?

私は主戦騎手としてどのレースでも指示に従いますが

今回のチャンピオンズCの件で少し気になりまして

来年はダートのレース中心になりますか?」


まあ、それは突然ダートのG1レース出走だったから

楯さんも路線変更かと思うのも無理ないですね


「楯さん この案を出したのは天馬クンなのですが

わたしと勿論調教師の佐々木君も一度チャレンジ

したいことでしたので了承しました。」


「まず初戦は、2月のフェブラリーSです。

そこで勝利したら海外のレースにチャレンジします。」


「まさか、ドバイG1ですか?」


「そうです、楯さんも何度かチャレンジされた

世界的に有名なレースです。

賞金も高額ですが、それよりも名声が得られます

競馬関係者の夢が詰まっていますね」


「ブリリアンスターとなら叶うかもしれません

いえ、叶いますね彼女となら

勿論天馬さんも同行してくれますよね?」


「はい、ドバイ一度いってみたかったので

ちょうどいい経験になります」


「楯さん まだそれぐらいで驚いては困ります

ドバイと言えばもう一つありますよね

大きなレースが欧州に」


「フランスのパリですか?」


「そうです、パリ大賞典ではなく

勿論、外旋門賞のほうです」


「まあ、外旋門賞に出走する前に6月の宝記念

  に勝利したら発表します。」


「スターとなら 叶うかもしれません

私も大きな忘れ物がありますから

今度取りにいかないといけません

優勝トロフィーを日本へ持ち帰りましょう」


来年は、ドバイと外旋門賞へ挑戦します。


今年はよい年の暮れを迎えられそうです。











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