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ブリリアンスターの育成が始まる 主戦騎手は誰?

ローズが年度代表馬に選出された翌年のお話です


「ねえ、天馬何見てるの?」


天馬は何も言わずに美鈴に携帯を渡す


「え、これ 何よ」


天馬が見ていたメールは、静内の牧場関係者が集まり会合した翌日に

届いた誹謗中傷の匿名のメールでした。


メールを読んだ美鈴が天馬に携帯を返す


「天馬そんなメール気にしなくてもいいわよ

天馬は間違ったことしていないんだから

自信持ちなさい 私もお父さんも応援してるから」


「それにね、どうしてもいきなり出てきた新参牧場の産駒が、

活躍したらどうしてもやっかむ人は出てくるわ

天馬の場合は、ローズに続きライクも活躍してるから

尚更でしょうけど」


「美鈴ありがとう。このメールの内容

俺が、会合で発言した言葉が原因だと思う

引退馬を最後まで面倒見るのが普通で処分するのは

経営者のエゴだと思わずいってしまったからね

そのあとは、お義父さんが場を鎮めてくれたけど

帰りに言われたよ、あれは言わないほうがいいよとね」


「確かにね、静内は道内でも大規模の牧場が多いけど

家族経営の小さな牧場もあるからね

馬房が10もないのに引退馬を最後まで面倒見るなんて

経費だけでも大変なことになるでしょうね」


競走馬の平均寿命は、およそ27年

種牡馬、繫殖牝馬として活躍できるのは、

馬により多少違いはあるが、なかには25歳で種付けしたり

24歳で出産する馬もいたらしい


ただこれだけ活躍できるのは、ごく限られた一部の名馬のみ

需要がないのに種付けしませんからね牝馬も同様です。


10歳前後が需要が多いことを考え15歳で種牡馬、繫殖牝馬を

引退して登録を抹消され30歳まで生きるとしたら

15年間は、衣食住の面倒を見ることになる

中央重賞勝ち馬なら功労馬として助成金が出るが

満足な飼い葉代にもならない現状を考えると

多くの牧場では、処分するしか選択余地はない


天馬に来たメールにも書いてある


夢だけでは生きていけない

家族を養うために経費を削減するのがなぜいけないのか

何も好きで処分している訳じゃない、馬が好きだから

牧場を始めたのに誰が好き好んで処分をするもんか

と最後に書かれている


「天馬は、頑張っているわよ、それは私もお父さんも

認めているわ、天馬ができる範囲で引退馬を繋養することで

理不尽に処分される競走馬を1頭でも減らせることができるの」


「でもね無理はダメよ、人には限界があるの

1年で生まれる仔馬は7千頭よ、個人牧場で引退馬すべてを

繋養は不可能なの天馬はできる限りでいいのよ

DRAも引退馬繋養の問題に取り組んでいるからこれからの未来に

期待しましょう」


まあ、こんなこともありました。


天翔牧場も15歳以上の引退馬を繋養する日も近いです

それまでに馬房を増設したり厩務員を増やすことも

必要になります。


~~~~そしてブリリアンスターの育成が始まる。~~~~~~~~~


スターとローズは、隣同士の馬房で

仲良く暮らしている。


スターのほうがしっかりしているので

どちらがお母さんかわからない


「いいですか、お母様 お母さまのお腹の中に新しい生命が

宿っているのですから そんな生活態度では困ります

もう少し、シャキッとしてくださいまし」



「え~ローズは、このままでいいよ~

パパもローズは無理しないで楽にしてればいいよ

といってくれてるし、問題ないよ」



「お父様は、お母様に優しすぎます。それでは

産駒は、G1馬にはなれませんよ」


「スターちゃん、お母さんに厳しすぎだよ

もっと優しくして、甘やかしてよ~」



「まあ、子供のようなローズには、母親らしさを

求めるのは、まだ無理そうだ、

もっとメリーを見習ってほしものだ。」


さて育成のほうは、ローズの時と同じで順調だが

スターは賢いいい子なので、呑み込みも早いが

どちらかと言えば理論派でローズは行動派かな


ローズは何となくでやれてしまう天才肌だし

スターは努力型の秀才タイプですね


俺の育成の指導方法と説明が重要になる

納得するまで聞いてくるタイプだから

俺も予習が大変だ馬具の種類と用途のおさらいしなくちゃだめだな


そんな感じで、俺の目の前には馬具がテーブルの上に並べてある

スターは興味心身のご様子で俺と馬具を見比べている

早く説明してほしそうですね


俺は、スターに馴致について簡単に説明する


まずは人に慣れてもらうこと、騎乗者の意思に従うことを覚えてもらう

調教も含めて馴致というが発走できるまで競走馬として仕上げをする


馬装とは、腹帯,サドル,アブミ、ゼッケン、のことで騎乗するには、必ず

装着する必要があります。


頭に装着するのは、無口、競走馬用の頭絡でハミもある


スターに説明しながら装着して騎乗する。


手綱を引いて向き変えなどの指示を教えて前進、右、左、停止、

よし、大丈夫のようですね


スタートのゲートもあるからついでに練習しようとゲートへ向かう


天馬が騎乗してそのまま、ゲートへ向かうのを見て驚く調教師たち


佐々木さんはローズの時で慣れているから苦笑いする


「おい、見たか この短期間であそこまで教えたのか」


「お前、すぐできそうか?」


調教師は自分が育成している1歳馬を見る


調教師の視線に戸惑う1歳馬は、


なぜか状況を把握していてとても直ぐにできそうもないので


視線を外しブルッブルッと嘶く


大きく首を左右に振り調教師に頭を下げる


ゲートは、5頭が入れるようになっている


ゲートは当然開けたり閉めたりできるので

開いているゲートを指示して通り抜けする


問題は閉めてあるゲートでどうしても狭いところへ

入るのを嫌がる馬は多い


スターは問題なくゲートに入り扉を開けて出ようとするので

俺は直ぐに停止させた。


「スター閉めてあるゲートは開くまで外へいってはダメだよ

レースだとフライングになりスタートやり直しになるからね」


「お嬢様は、開くまで大人しく待っているようにね

ただし、あまり重心を後ろにしていると

開いたときにスタート出遅れるから

できれば重心は前足に乗せているようにね」


スタートゲートの練習も済ませて佐々木さんに

この後どうするか確認して本日の

調教を終了した。


俺ができるのはここまでだから

この後の調教は、佐々木さんにお任せすることになる

ただし、今回は俺もスターについて調教につきあう


育成牧場から天翔牧場へスターと戻ると厩舎の中へ

入ると二人の騎手が、天馬を出迎えた。


「こんにちは、盾さん、横長さんも私に用事でも?」


(横長さん)「いいえ、今日もプラチナに乗りに来ただけです」


でも盾さんは違うようで雰囲気でわかります


(楯さん)「天馬さん、その馬は、ブリリアンスターですよね

       育成牧場からの帰りですか?」


「はい、明日からは、佐々木さんが本格的に調教することに

なってますよ」


天馬は、奈々に手綱を預けて馬房へ入れるように

指示する。


スターは天馬にじゃれつき離れようとしないので

ポケットから飴を出す。


来年発売の新商品のクリームソーダ味を

スターの口の中へ入れる


「甘い、美味しいですね お父様」


「いい子だから、馬房で大人しくしていてね」


奈々に馬房へ連れていかれたスターは

大人しく馬房へ入り頭を入り口から

出してこちらを見ている


「楯さん、いずれ父から正式に依頼されると思いますが、

ブリリアンスターの主戦騎手をお願いできないでしょうか?」


依頼されて驚く盾さんとやっぱりなという顔の横長さん


楯さんは真剣な顔で俺を見て頭を下げ


「天馬さん、僕で良ければ喜んでお引き受けします

正直今日ここへ来た用件の一つはその件なんです

お話がなければ僕から切り出すつもりでした。」


「ブリリアンスターをこの牧場で見て一目惚れしました。

私が主戦騎手をしていたメテオプリズムと瓜二つ

なんですよ。毛色は違いますけどね

さすが親子です。」


「ありがとうございます。スターの主戦騎手には

お二人のうちでどちらかにお願いするつもりでした

 盾さんが引き受けてくれて正直ホットしました。」


(盾さん)「横長さん僕が騎乗してもいいですか?」


横長さんに気を使う優しい盾さんですが、


「盾さん、大丈夫です、正直残念ですけどね

私には先約がありまして2歳馬は、

伊藤さんの馬の主戦を引き受けました。」


伊藤さんの2歳馬も牝馬なんですよ


ただ今回のスターは、2歳馬の時から

牝馬とは対戦はしません

対戦するのは、牡馬ですから伊藤さん安心してください





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