プラチナのおかげです。
登場する人物、団体名、競走馬の名前は、すべて架空です、フィクションです。
早朝、俺とプラチナは昇りゆく朝日を見ながら歩いている
いつもの日課である散歩の帰り道
「プラチナありがとな」
「天馬、いきなりなんだ気持ち悪いぞ」
「俺の本心だよ、お前がいなければ牧場は、
赤字で運営ができない状況に陥るからな」
「なぜだ、牧場の会員もたくさん集まったのではないのか?」
「会員からいただいた会費はすべてNPO法人に寄付してるよ
生産牧場とかだと必要経費分を除いて
寄付してると思うけど俺は、全額寄付してるよ
それでも今年処分される引退馬10頭しか救えないけどな」
「天馬お前は馬鹿正直すぎるぞ
自分とこの牧場経営が上手くいかないのに寄付をする
それも自分のためじゃなく俺たち同胞のためか
ほんとお前らしいな」
「それでなんで俺のお陰なんだ。」
「この牧場の収入は、メリー達牝馬の委託費と
お前の種付けの手数料なんだよ
他の収入はないからな
仔馬はお義父さんと伊藤さんが上場するし
昨年と今年でお前の種付け料と種付け件数が
大幅に増えたおかげで、赤字は免れているんだよ
だから。ありがとうプラチナ」
「そうか、まあ、気にするな」
「俺が元気なうちは、何とかしてやるから
お前にはいろいろ世話になっているからな」
「ほんと俺が牝馬なら惚れてるな」
「今日はこれから種付けがあるから頼むな
直ぐ迎えの馬バスが到着するはずだから」
「それを早く言え、朝食は食べていくからな」
プラチナは急いで駆け出した。
俺は振り落とされないようにしがみつくだけ
プラチナを送り出した後は、イベントの準備です
普段は、土日開催のイベントを祭日を利用して
行うことにしました。
まあ、理由は、予約が多すぎて土日だけで回らなく
なったからです。
なんかうちの牧場のホームページが人気らしく
会員登録をしたいお客様が増えた。
それも金額的に一番高いAコース
無料宿泊と乗馬体験が受けたようで
毎週土日はほんと忙しかった。
繋養馬は、乗馬できませんとお断り文をいれてあり
通常はお義父さんから借り受けた
乗馬クラブ用の馬で対応している。
指導係りは、美鈴と奈々の二人だが、
本日は、特別にゲストがお見えです。
ホームページにも記載していないので
プレミアム企画です。
ゲストをご紹介します。
DRAの盾騎手と横長騎手です。
皆さま、拍手でお迎えください
なんとレジェンド騎手の盾さんと横長さんです。
お客様は大盛り上がりです。
歓声があがります。
後ほど、お二人には乗馬の指導と
記念撮影会、サイン会をお願いしていますので
ふるってご参加ください。
実はこの二人平日にはよくお見えです
馬具も自分用の持参されていますよ
今回は、特別にお願いしました。
それもボランティアでいいそうです。
勿論宿泊と食事はご用意いたします。
あくる日
会員の皆さま乗馬体験を済ませて
バス停にお見送りに行きました。
「盾さん、横長さん、今日はありがとうございました。
イベントも無事に終わりおかげさまで大盛況でした。」
俺はお二人に頭を下げてお礼を言う
「このイベントで、今まで以上に馬が好きになって
もらえればいいですね。」
「DRAのためにもなりますよ」
「それよりも天馬さん、プラチナは大丈夫そうですか?」
「昨日は、はりきって種付けに行きましたからね
健康状態は問題ありません」
「楯さん、お先にどうぞ。わたしはチャコちゃんに乗ります」
「それじゃあ、お先に失礼します。」
プラチナに騎乗するのは楯さんのようです。
横長さんは、チャコですね
美鈴が、プラチナを馬房から連れてきました。
楯さんは、手慣れた手つきで鞍などの馬具を
取り付けています。 乗馬用でなく競馬用の専用馬具です。
楯さんは、鞍上に上がるとプラチナに語り掛けて
そして首筋を撫でて 牧場を後にします。
横長さんも競馬用の馬具をチャコに取り付け
準備万端です。
「天馬さん チャコはほんと短距離得意ですね
この小柄な体格で、見事な加速しますからね
なんかもったいないですよ、」
「横長さん チャコは母親が走った函館2歳ステークス
を走りたかったんですよ、母親と同じで1着でしたからね
本人も満足しています。それに今は、乗馬クラブ用に
調教もしてますからね 諦めてください」
横長さんも自分の専用馬具を取り付け
チャコに一声かけて牧場を出ていく
今現在、プラチナに乗ることが許されているのが、
俺と美鈴と奈々の3人と騎手の楯さんと横長さんだけ
これは伊藤さんが決めたルールでそれ以外は
乗せないことに決まりました。
伊藤さん的には、新人乗せてプラチナに
怪我でもされたら困るのでこうなりました。
楯さんと横長さんプラチナに定期的に騎乗してから
レースでの成績もよくなり勝ち星を積み上げている
なんでもプラチナに乗ると自分のダメなところが
改善されるそうです。素人にはわかりません
この後、横長さんもプラチナに騎乗して
散歩コースを走りにいかれました。
楯さんと横長さんが牧場へ戻られると
プラチナの指導が始まります。
楯さん達がプラチナに質問したのを
俺が返答を受け取る感じになります。
専門用語が飛び出すため素人には解読不明です。
プラチナほんと頭いいな
二人とも、疑問が解消されたようで
表情が晴れ晴れしてます。
どうもこれから始まる新馬戦の話で
2歳馬の特性についてプラチナに質問したようです。
今年から3歳の新馬戦廃止になりました。
お二人が帰るときに
「楯さん、横長さん 今日はほんとにありがとうございました。
宿泊の場所と食事くらいしか提供できなくてすいません」
「天馬さん気にしないでください。
私たちは、プラチナに乗れるだけでも感謝してます
普通種牡馬には乗せてもらえませんからね
それとエクセレントローズに騎乗できただけでも
感無量ですから また呼んでください」
お二人は、ハイヤーに乗り込み牧場を後にしました。
見送りが終わった
「美鈴さんほんと天馬さん変わってますね」
「私は、前からだからもう慣れっこよ」
「でもでも騎手の時もそうですけど
あのお二人の前に出ると緊張しますね」
「そうよね、私も最初はほんと緊張したけど
天馬がこれだから、ほんと慣れって恐ろしいわ」
「レジェンドですか、ほんと神さまですよね
今でも勉強熱心なかたですから
新人騎手も大変でしょうね、」
厩舎内の馬房では、密談が
「ねえ、ママ 今回出番なかったね」ローズ
「そうね、天馬呼んでくれないし」 メリー
「私も、出番ないですよ」 マロン
「私は前回の主役だし」 シルバー
「チャコは、出番あったよ~」
「俺はまあ、たまにはな 今度はいつだろう」プラチナ




