2歳最優秀牝馬エクセレントローズ
レースの内容が貧弱でほんとにすいません、
あと数話で本題である引退馬繋養牧場のお話になります。
阪神JFの終了後 俺たちは馬バスで美浦のトレセンへ帰京する
俺はローズとの約束どうり馬バスに乗り込みローズと遊ぶ
この馬バスは、俺が後ろに乗りやすいように改造されていて
俺もローズの横で仮眠が取れるようになっている
ローズは遊び疲れたのか立ったまま ウトウトする
『パパ おやすみなさい ローズ寝るね』
馬はほとんど横にならず立ったまま寝るが
睡眠時間は平均4時間くらいと言われている
動画サイトだと完全に寝ころび熟睡している
馬たちを見かけるが、普通の馬は立ったまま寝る馬が多い
翌日午後 関係者会議が行われその休憩中での出来事
俺の携帯には、着信のお知らせとメールが大量に届いていた。
俺は着信履歴の数とメールの内容に
ため息をついた
今回たまたま佐藤さんも馬バスに乗っていたので
「天馬クン またかね」
「はい、いつもの馬主さんからのお誘いです。 今日はDRAの上司からも届いてます」
「DRAも天馬クンの引き留めを真剣に考えているようだね」
俺の退職願は既に受理されている
「で、馬主からの引き抜きの待遇は」
「年俸〇千万払うから来年からでも来てくれとメールで届いてます」
俺がDRAを退職後お義父さんの牧場で厩務員をやることは既に
知られているので、それならば待遇が良ければ
引き抜けるのではないかと考えられているのだろうが
「天馬クンと美鈴が婚約したのまだ知らない馬主さんが
いたようだね」
娘と婚約したのにほかの牧場へ就職すると誰も考えないだろう
まあ、離婚でもすれば可能性も出てくるが
「そのようですね、なぜ俺が厩務員を目指しているか
理由を知らないからしょうがないですけどね」
「いやいや、天馬クン 普通のサラリーマンの年収で
静内で牧場を経営するの無理だからね
天馬クンほどの自己資金がなければ不可能だから」
俺はお義父さんに土地代金を現金で渡している
自宅と厩舎の建築の代金も既に支払い済みで
借金もない 両親には毎月送金はしているけど
厩務員になるのなら自分の牧場でも条件と待遇次第で
なびくのではないかと思われているようです。
静内で牧場を開設する以上登録は必要だけど
静内以外の関係者には俺が牧場を始めるとは
公言していないのでその弊害のようです。
「でも牧場ができるまで最低でも2年かかりますよね」
「普通なら潰れた牧場を安く手に入れて始めるから
意外と早く済むけど新規だと最低でもそれくらい
時間は必要だね 厩務員はまだ募集してないよね」
「はい、暫らくは俺と美鈴あと奈々さん入れて3人の予定です
追々必要なら募集します。」
「あの元騎手の七草奈々さんが厩務員やるとわね
なんかすごい牧場ができそうだ。
繋養予定の馬もメリーローズ、エクセレントローズ
それにプラチナも加わるよね」
「馬主の伊藤さんからは、権利譲渡の書類もいただいてますし
当人のプラチナも別に不満はないようです。」
牧場の厩舎の馬房の数は今のところ30頭まで繋養可能
生産牧場の施設設備も最新型を導入予定のため
伊藤さんからも快く了解をいただけたようです。
「生産牧場といっしょだよね
繁殖も種付けも問題なく行える設備導入予定
だと聞いているけど」
「はい、設備ではおそらく静内で一番の新型を導入します
建屋完成したらお披露目会でもしようかと
考えてます。」
「お披露目会かそれは楽しみだね」
休憩も終わり本題に移る
「天馬クン、エクセレントローズの体調は問題ないかな」
「大阪からの馬バスでの輸送でしたが、帰りも睡眠取れてましたから
トレセン到着したら 直ぐに調教するの?
と聞かれましたよ 元気な娘です」
「それじゃあ計画どうりで次走は、中山 HPSで決まりだね
おそらく今年の2歳馬でエクセレントローズに敵う
牡馬もいないからいいレースができるだろう
締めくくりのレースも1着とって存在を示そう」
阪神のレースから2週間後いよいよ中山でのレース当日
パドックは牡馬14頭 牝馬2頭が円を描いて周回中
「オイ見ろよ身の程知らずのお嬢ちゃんが2頭も
出走するみたいだぞ」
「お嬢ちゃんたち 危ないから俺たちの後ろを
ゆっくりとついてきてね」
『ご丁寧にありがとうございます。
大丈夫ですからお気になさらないでください
私のほうが先に行きますので
そちらこそ後からゆっくりと転ばないように
のんびりと歩いてきてください』
「何だと オラ調子こいてんじゃないぞ
こちとら既にGⅡ2勝してるんだ」
鼻息荒い鹿毛の牡馬ちなみに2番人気だ
『ああ、それはまあなんか凄いですね
GⅡレース2勝ですか~は~へ~
私は阪神のレースでG1勝ってますよ』
『あなたも偉そうな口を利くならせめて
G1くらい勝ってからいってください』
「え、G1馬だと まさかあの最後の直線で
捲って差し切った、あのエクセレントローズさん」
『はい、そのエクセレントローズです
どうぞお見知りおきください』
「姉御 あの走りはお見事でした
是非とも舎弟にしてください」
『残念ですが謹んでお断りします
わたしより足の遅い牡馬に興味ないので
せめてこのレースで私に勝ってから
出直してください』
こんな感じでローズは喧嘩を売りました。
本日のレースの作戦は先行逃げ切りで
2000メートル走り切ります。
「美鈴さん ローズが牡馬たちに喧嘩売りましたので
十分気を引き締めてローズにしがみついてください
振り落とされないように落馬には気を付けてください」
「天馬そんなこと言われても
私はどうすればいいの?」
「冗談抜きでローズ本気で逃げますから
ゲート出たら手綱しっかり握っていてください」
『美鈴大丈夫 心配しなくても
ローズ あの駄馬に追いつかれるほど
遅くないから』
「天馬 ローズはなんて?」
「駄馬に追いつかれるほど遅くないから
安心してだそうです。」
「そういわれると余計に不安なんだけど」
レースはローズの宣言どうりでスタート直後
いっきにハナを取りスパートする
観客は驚きながらもローズの逃げ足に魅了された
ローズが4コーナーを通過する時点で
後続は、10馬身ほど離されている
中山の直線には難所の上り坂があるが
ローズの足は少しも衰えることもなく直線を駆け抜けていく
観客たちは、この光景を見て驚きのあまり声を失う
アナウンサーのエクセレントローズ今1着でゴール
の声で我に返る
歓声やどよめきが中山競馬場を支配する
ローズはウイニングランをしながら
観客の声援に答えるかのように
いななき「声援ありがとう」
美鈴も唖然としながらも声援に答えるように
大きく手を振りかえすその視線の先電工掲示板には、
レコードと示されている
中山2000メートルのレコード記録を2歳牝馬が塗り替えた
その歴史的名馬の名前は、エクセレントローズ
エクセレントローズの次なる舞台は3歳牝馬戦と3歳クラシック
~~馬主の人が集まる新年会でのお話です。~~~~~
エクセレントローズは見事 最優秀2歳馬と2歳牝馬に選出されました。
「佐藤さん昨年の2歳馬エクセレントローズは、ほんと見事でした
あのような優秀な牝馬を所有されている
貴方がほんと羨ましいですな」
「ありがとうございます。私なんて何の役にも立っていません
部下が優秀なんですよ」
「いやいや ご謙遜を
エクセレントローズの母親は確か
佐藤さんが所有されているメリーローズですね
あの牝馬も見事な成績を残して引退しましたけど
その産駒も見事なものですよ」
「是非とも今年生まれる仔馬を庭先取引で
私に譲ってほしいものですね」
「金山さん ずるいですよ 佐藤さん是非私にお願いしますよ
最近所有馬の成績が良くないものですから
ここらで挽回したいので是非」
「そういえばメリーローズ産駒と言えば種付けは」
伊藤さん登場
「はい、うちの牧場のプラチナシップですね
おかげ様で種付けの金額が値上がりしましたよ
これも佐藤さんのお陰ですね」
「種牡馬もそうですが、産駒も所有されてますよね
エクセレントローズの弟で名前は~」
「プラチナアイアンですよ、今年デビューします」
「なかなか優秀な牡馬のようですね
育成も順調だと聞いてますけど」
「育成と言えば今年から佐藤さんの牧場で厩務員になった彼、名前は確か」
「天翔天馬ですよ、それに天馬君は
娘と婚約しましてね」
「美鈴さんと婚約ですか? それはおめでとうございます。」
「確か彼は昨年まではDRAの職員でしたよね
エクセレントローズの育成担当もされていたと
聞き及んでおりますが、」
「そうです、昨年退職してから
エクセレントローズの専任厩務員として
雇い入れました。今年の3歳馬戦も彼に任せてますよ」
その話に伊藤さんも話題に加わる
「天馬クンには、2歳馬のプラチナアイアンの初期育成
の時に世話になりました。彼のお陰で育成が
スムーズに進行したから調教も順調ですね
それに彼には、プラチナシップが世話になってますからね
ほんと感謝してますよ」
「あの~伊藤さん プラチナアイアンの件は
私も小耳にはさんでますからわかりますけど
プラチナシップで世話になってる件は
どのようにですかな」
「それがですね、プラチナシップが種牡馬になって
随分とストレスがたまっていたのですが
彼がストレス解消にと乗馬につきあってくれていましてね
厩務員たちが喜んでましたよ。
蹴られることがなくなったと」
「その彼は、調教助手もできるのですか?
あの暴れん坊を手なずけることが出来るほどの
優秀な人材だと」
「調教ではなくほんとに乗馬です。
2人で仲良く出かけてますからね
私も彼のお陰で願いが叶いました。」
「伊藤さんその願いとは何ですか
大変興味がわきます」
「些細なことですよ、プラチナシップが
私を乗せて走ってくれました。
ほんと感動しましたよ」
「あのプラチナシップが伊藤さんを乗せて
走ったのですか? よく振り落とされませんでしたね」
「走りは大人しく、のんびりした乗馬です
有意義な時間を過ごせました
私の自慢できる話が一つ増えましたね」
こんな感じで和やかに新年会は行われました。
今年のメリーの産駒は誰の手に?
庭先取引かセレクトセールに出して落札最高金額を目指すのか?
エクセレントローズは3歳になってまたやってくれました。
3歳馬では、ローズはどの路線で進むのか?
牝馬三冠を目指すのかそれともクラシック3冠を目指すのか
お楽しみください。最後にドラマがまっています。




