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安奈編 残された家族と希望  後編

ヘリの不時着地点の上空でふわりと浮かび下の様子を観ている

安奈と穂香の霊魂


「良かったね 周りの民家に被害が無くて」


「最後にショコラが助けてくれたのよ もうだめかと考えたとき

 今まで動かなかった飛行制御するレバーが動いたのよ

機体が上昇してくれたから公園まで辿り着けたの

そうでなかったらこの辺りは一面火の海よ」


「そうだったんだ。私は最後怖くて安奈の手を握って目を閉じて

 しまったからごめんね安奈、何もできなくて」


安奈は首を横に振る


「無理もないよ それが普通なんだから

ただ私たちパイロットは、最後まで責任があるからね

地表がどんどん迫ってきてわたしも怖かったけど

最後まで諦めなかっただけ」


現場では消火作業もほぼ終わり事故調の調査が始まっていた


そこへ


「安奈さん お疲れ様でした。

お見事ですね 貴方がたお二人以外の死傷者はゼロ

民家への被害もありません」


「神様、ほんとですか ホッとしました

これで安心して馬の国へいけます」


神さまがニコリと微笑むと


「そろそろ安奈さん達のご遺体の捜索が始まりますから

 その前にちょっと待っててください」


二人は神様の動向が気になるが暫くすると神様が現れ


「はい、お待たせしました。」


「え、神様 今何をされてたんですか?」


「はい、飛行機事故の現場は悲惨な状況になります

特にご遺体は五体満足のほうが珍しいくらい

破損状態が酷くなりますのでそれだと葬式での

最後のお別れでお顔をみることできませんので

私の力で修復しました。褒めてください」ニコッ


「はあ、そうなんですね ありがとうございました。」


「安奈さんはホラー映画やグロイの大丈夫ですか?

安奈さん達は獣医さんだから耐性があるかもしれませんが

飛行機事故の場合遺体が見つからず所持品が棺の中にあるだけ

なんてこともありますから」


「そ、そうなんですね 勉強になります。」


「それでは名残り惜しいと思いますがそろそろ

行きましょうか」


「はい、」


神様は、安奈たちの目の前にゲートを顕現させ

安奈と穂香に中へ入るようにと促す


安奈と穂香はもう一度ヘリの残骸と自分たちの遺体が搬送される

のを見て


「さあ、穂香新天地へいこう」


安奈は穂香に手を差し出し穂香は、


「そうね、行こうか安奈」


手を握り返し二人でゲートの中へと進む


其の姿を見送った神様


「玲奈さん あとのことは頼みましたよ」


安奈たちの後を追うようにゲートに向かう神様


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


病院から葬儀社の方と遺体の引き取りから戻ると

葬儀の準備は、ほぼ終わっていたようで

後は棺を安置して準備が整うようだった。


翔平は祭壇の上部に飾られている安奈と穂香の遺影を見て呟いた


「次は俺の番だな」


※四十九日までは遺骨と位牌など仏壇の横に安置するので

 翔平の場合は安奈たちの納骨が終わる前に

 余命を迎えるため同じ場所に並ぶことになるでしょう


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


たくさんの参列者に見送られ安奈と穂香の御遺体をのせた霊柩車が

クラクションを鳴らして牧場から出ていく


玲奈は霊柩車に同乗し火葬場へと向かう


安奈との別れを悲しんでいるのか厩舎から馬たちの

いななく声が聞こえる


数時間後母屋の仏間には新しい遺骨と位牌が置かれていた。


ここにいるのは玲奈と花音夫婦と翔平と爽太の身内だけだった。


花音が玲奈のほうを見て


「お姉ちゃん 私がホースパークの経営の指揮を貴史と執る

から安心してね 住むところは紫苑おばあちゃんが

前に住んでたとこ使うから」


「え、花音すごく助かるけど会社はどうするの?

それと都心にあるマンションは売却するの」


「安心して辞表はここへくる前に部長へ出してきた

部下たちも優秀だから何とかなる」


ここで貴史が発言


「花音が辞めて困るのは部長か役員たちだろうね

今まで花音一人に任せきりだったし

今頃てんやわんやだろうね」


苦笑いする花音


「今日からうちのライバルだから

来場者数でうちが追い越してやるから」



「それは無茶だよ ここだとキャパがオーバーする

流石に年間5千万人は来場できないよ」


ぷんすか怒る花音


「貴史 心構えの問題よ

ホースパークを日本一のテーマパークに

してみせる」


と意気込みを見せる花音


「でも花音どうしてそこまでしてくれるの?

決断速くない。それとマンションどうするの」


「マンションは娘たちが大学卒業までそのままよ

卒業後はまた考える それとね

ホースパークのことは以前から私が指揮を執ると

決めてたしね そもそも最初は大学卒業後に地元へ

戻ってホースパークへ就職するつもりだったんだけど」


「母さんから言われたの最初から中に居て気がつかなかった

ことも外から第三者の視線で見てみると

見えてくるものも違ってみえるからとね」


「なるほど 母さんらしい」


花音は1通の封書を取りだし玲奈へ手渡す


「読んでみて」


宛先は花音あてで差出人は母さん


郵便局の受付日は母さんが亡くなる前日の午前中で

東京都心ならば当日届く速達郵便だった。


玲奈は手紙を最後まで読むと花音を見るがその顔は

涙があふれていた。


「母さん 前日には翌日亡くなるの分かっていたんだ。」


※ここには貴史がいるので神様のことは

  言えません


「玲奈、母さんたちが残してくれた天翔牧場のこと

私たちで今以上に盛り立てていきましょう

勿論 爽太とミハイルさんと貴史も手を貸してね」


「ああ、任せろ」


団結した玲奈たちだが翔平の余命が残されて

いないことを知っているものはおらず


「それとお父さんの料理でお客さんを呼び込む計画もあるの

だからお父さん力を貸してね」


「ああ、任せておけ」


約束を果たすことはかなわず


一月後


四十九日を迎えた安奈と穂香の遺骨の横に新しい遺骨が

仲良く並んでいた。








次回では安奈と穂香のその後のエピソードを書きますので

よろしくお願いします。

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