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安奈編 エクレアの馴致とやっかいな依頼

このお話はフィクションです

治療の方法などは詳しくわかりません

また説明文が不明確なところがあります



ショコラ産駒の牝馬は安奈がエクレアと命名した。


安奈が凄く可愛がるので同じ馬房で生活する


母親のショコラも嫉妬している、エクレアにとって安奈は二人目のママだった。


生まれてから半年エクレアは既に馴致を初めて成果も出ている


安奈の父親はエクレアをセレクトセールに出さないか?

と安奈に迫ったが安奈はショコラとの約束があるから

自分が馬主になると断固拒否した母親の明菜も安奈の味方です


やはり意思疎通ができると話がはやい まず念話で説明し理解できたとこで


厩務員や調教師が調教時に使う動作や言語を覚えてもらう


二度手間のようだが最初から人間が身振り手振りで教えるより


効率がいいし理解しやすいようだ。


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


そしてある日の週末 安奈は明菜と往診に出かけることになった


依頼者はDRAで当初は祖母の弥生へ話が来ていたが


既に現役を引退してるため弥生が明菜を推薦し明菜が代わりに


依頼を受けることになり安奈はそのお供だ


相手先には獣医の卵が同伴しますと承諾を得ている


「ねえ、お母さん その牡馬さん 病名は何?」


「ああ、蹄葉炎だと聞いてるわ それも重篤だと

このままだと安楽死処置されかねないの」


「でも牧場にも獣医さんいるでしょ?」


「お母さんより経験がある65歳くらいの獣医さんがいるわ」


「獣医がいるのにDRAへ派遣の要請したの?」


「そうね まあ考えられるのは獣医ではほんとに手に負えない重症か

それとも既にその馬に見切りをつけて診察し治療した

獣医に責任を押し付け賠償金を取るのが目的ね

母さんとしては前者であってほしいけど」


「酷い話だね 馬がかわいそう

母さん その馬うちで引き取ろうよ

確か名前はラプターロマンだっけ G1を6回も勝利した」


※今向かっている牧場は伊藤牧場と同じ主に種牡馬を扱う牧場で

 種牡馬のラプターロマンは中央で活躍しG1を6勝した優秀な牡馬で

 年齢はまだ6歳 昨年引退したが病気のため種付けはしていない


「その馬を引き取るかは相手の出方次第ね ひどい扱い受けていたら

母さんと相談してうちで引き取るわ それと安奈に注意しとくわ

いいことこれから行く牧場はごく普通の牧場よ

天翔牧場と比較しないでねうちが特殊で他が普通だからね」


明菜のいってる意味が理解できたのはそれから数分後の事でした。


※このお話は全てフィクションです

 病名は実在しますがその治療方法や治療中に温泉に入れるかなど

 事実と異なる表現が出てきますのでその点ご了承ください


牧場へ到着し牧場長と獣医に挨拶を済ませ

馬房へと向かうが厩舎へ入った瞬間


安奈は酷い悪臭で顔を背け思わず鼻を抑えようとし明菜に止められる


横の明菜を伺うと首を横に振っている 安奈は車での会話を思い出す


「安奈いい 天翔牧場の空調設備は、人と繋養馬にも好評だけど

コストがかかるのそれも想像以上にね

だから普通の牧場だと簡素な換気設備と夏の暑い時期は未だに扇風機よ

だから匂いもこもるし非衛生的なの」


「それとうちの牧場の寝藁は毎日すべて新し藁と交換するけど

ほかの牧場の大半は尿と糞で湿ったとこのみ取り除き

あとは不足分補充するか寝藁を天日干ししてリサイクルよ」


「中央の施設だとコストと衛生面を考えてウッドチップ【おがくず】

のところもあるわ 病気の治療中の馬がいる馬房なら

寝藁を食べないように紙製の寝藁を床へ敷くわね」


安奈はなんとか耐えた


案内され到着した馬房の中に葦毛のラプターロマンがいた。


病気になる前は綺麗な毛並みで精悍な顔つきだったと思われるが

今はもうその面影もない


明菜は馬に近寄り診察を始める  安奈は母親の横に座り馬の頭を優しく撫でる


母親の明菜は獣医に問う


「まず 原因はわかりますか? 」


蹄葉炎はいろいろな要因で発症する病気で骨折した馬も

併発して最悪安楽死処置される場合もあるそうです


「はい、ラプターの場合は怪我ではなく炭水化物の過剰な取りすぎ

 と推測されます。どうも配合飼料の配分を間違えて与えていたようです。」


「わたしも治療をしていますがわたしの力量不足なのか改善しません

知人の獣医にも相談しましたが皆わたしとどんぐりの背比べ

情けないことですが馬のことを考えDRAへ相談した次第です」


「どうかお願いします。ラプターを助けてください」


と獣医は明菜に頭を下げた


「そうですか 私も努力しますが一つお願いがあります。

ここより設備が整っている天翔牧場で治療したいのですが

よろしいですか?」


さあ、明菜の挑発 相手はどう出るのか?


牧場長


「それは許可できませんな オーナーも同意しないでしょう

理由は相良先生の腕前は存じてますが万が一医療ミスで

そのまま安楽死処置される可能性も否定できないので

治療はわたしの目が届くこの牧場でお願いしたい

通いが難しいなら社員寮を提供しますよ」


まあ、これは想定内 どのみち明菜は天翔牧場の獣医なので

わざわざ他の牧場で寝泊まりはあり得ないこと

明菜は考えるそぶりをみせるが


牧場長


「そうですね それで提案なんですが、ラプターロマンを

天翔牧場で買取されたらどうでしょう

今なら評価額の半額でお譲りしますよ 完治すれば種牡馬として

お値打ちだと思いますがどうされますか?」


やはり狙いはそこか 明菜は怒りに震える


明菜


「わかりました ラプターロマンはうちで面倒見ます

すぐに馬運車の手配と代表に連絡しますので

契約は後ほど」


牧場長


「それは即決の大英断ですな馬も喜びます

わたしも契約の準備をしますのでこれで」


にたりといやらしい笑みを浮かべた牧場長と

こちらに深々とお辞儀をした獣医もそれに従い

馬房から出ていく


「安奈 今から母さん呼ぶから その子のこと頼んだわよ」


携帯をもって馬房から出る明菜


安奈はラプターロマンへ念話で問いかける


「ラプター君は今日からうちの子だよ

わたしは安奈よろしくね」


安奈に撫でられなぜか癒されていたラプター君は驚いた


「あなたは私と会話できるのですか?」


「はい、わたしは馬の神様の使徒ですから

当然ですよ 私が必ず完治させますから

安心してうちの牧場へ来てください」


「はい、あなた様に従います 使徒様」


それから小一時間馬バスが到着し厩務員数人で馬バスへ

安奈とラプター君をのせ新天地の天翔牧場へと旅たっていった


ラプター君の契約は麗華が来て交渉の末

半額よりも値引きされた条件でまとまった

それでも〇億円ですが 種牡馬の種付けは1回で

〇千万単位の馬もいますからね


馬バスが天翔牧場へ到着まずは


ラプター君を綺麗に手洗いしてから馬房へ案内しよう

当然蹄葉炎を患っているため数人がかりで

優しく丁寧にピカピカにすると


「え、ラプター君は白毛なの?

 今度病気が治ったら温泉入ろうね」


当初グレーの葦毛だと安奈は思っていましたが

洗い終わったラプター君は見た目白毛の綺麗な葦毛馬です

天翔牧場には天然温泉施設があります病気の治療にも

効果があります


「いいえ葦毛ですよ 引退する頃にはほとんど白毛になって

いたのでほら肢の先はまだ灰色ですよ」


※病気の馬を洗っていいのかわかりませんが感染症対策から

 綺麗にしましたとご理解の程よろしくお願いします


そして厩舎から馬房へ向かうときラプター君は


「この厩舎 空気が綺麗ですね それに過ごしやすい環境です

熱くも無く寒くもなく 私は暑がりなので涼しいのが好きです」


「それなら馬房は個別で温度管理できるから大丈夫だよ」


綺麗な寝藁が敷き詰められた快適な馬房を見て


「ここは天国ですか? そうかわたしは既に死んで馬の国へ

来ていたのですね まあ 悔いはありません」


「ラプター君はまだ死んでいないよ 死ぬのはまだ早い

馬の神様には会ってないでしょ ラプター君は長生きするから

わたしが保証するよ」


まあ こうしてラプター君の闘病生活が始まります

治療方法は主に獣医学的療法と装蹄療法です。


安奈と明菜の手厚い看護 癒される空間

自由に身動きできない窮屈な環境だが

ラプター君は使徒様のため我慢し苦しい治療にも耐えた

やはりコミュニケーションは大切です

意思疎通できる環境構築でしょう


そして数か月後には放牧地でのんびり寛ぐラプター君の姿が見られる

ようになりました。


※蹄葉炎は治療でき完治する病です。ただし治療中に

 暴れて骨折したりストレスで疝痛になったりして

 予後不良と判断され安楽死処置されるケースもあります

 骨折してから蹄葉炎になった競走馬もいましたが

 安楽死処置されました。


ラプター君が完治しましたと連絡したところ

獣医さんから訪問したいと連絡がありました。


元獣医の田中


「設備の整った素敵な厩舎ですね

この施設で繋養される馬たちも幸せでしょう」


明菜


「田中さんは獣医師引退されたのですね」


田中


「はい、ラプターロマンが無事に完治したと聞いて

やっと踏ん切りがつきました

わたしはもともと親の方針で獣医になりましたので

未練はありません 今は息子の家で暮らしています」


「相良先生は私と違い優秀なかたなので

私より先生が治療してほんとによかったと思います

娘さんの安奈さんも獣医に向いてると思いますよ

純粋に馬と向かい合うあの姿に感動しました。」


明菜


「ありがとうございます。安奈も喜びます」

 ここがラプターロマンの馬房です」


馬房の中で仲良く遊んでいる安奈とラプターロマンを見て

涙ぐむ田中


「ほんとによかった。ラプターロマンのあの嬉しそうな顔

初めて見ました。 うちの牧場ではいつも不機嫌な顔

してましたから 安心しました 安奈さんにも

よろしくとお伝えください」


田中は明菜に一礼すると出口へ向かっていった

それを黙って見送る明菜


「田中さんも悪い人ではないですね

悪いのは牧場長とオーナーですか」


ラプターロマンが元気になり話題は来年の種付けだが

病み上がりということもあり来年の種付けは見送る

予定だったが天翔牧場の繁殖牝馬のお姉さんたちがラプター君を

気に入り是非種付けされたいと安奈へ懇願したため急遽

限定で種付けすることにないました。


元気になったラプター君はお姉さまに大人気のようです。


後日談


「安奈最近ラプター君を放牧へ連れて行くとき

騎乗しているようだけどなんか訳でもあるの?」


「たしか白馬に乗るのは女の子の憧れじゃなかった?」


「それを言うなら いつか白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるよ」


「え~私は一人でも馬にのれるから別に乗せてもらえなくてもいいよ」


「ほんと安奈はまだお子様ね 梓ちゃんを見習いなさい」


「そういえば 今度の週末久しぶりに梓に会うよ」


「そう、じゃあ ついでに惚気話でも聞かされてきなさい」


次回は安奈と梓の夏休みです。






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