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ローズの新馬戦始まる

遂にこの日がきた


6月某日東京競馬場、5R 新馬戦距離は1600メートル


競馬場のパドックには今年デビューする牝馬12頭がやや緊張した面持ちで

厩務員に引かれてパドックを周回している


緊張のあまり立ち上がる馬もいれば、落ち着きがあり

風格もある牝馬がここにいる


2歳馬の中に3歳馬がいる パドックを埋め尽くす観客からもどよめきがおこる

馬番1番のエクセレントローズの美しい姿に観客は魅了された。


「おいおい、あの馬見ろよ周りの馬より大きい 3歳馬じゃないのか?」


「あの馬だよ 今年1番の注目牝馬 プラチナとメリーローズ産駒

のエクセレントローズ 母親に似た尾花栗毛の綺麗な馬だな

あの筋肉のつきかたは現役のころのプラチナのようだな」


見事な馬体に観客の目が行く


『パパ、なんか恥ずかしいよ 皆 ローズを見てるみたい』


「ははは、皆 ローズが綺麗だから注目しているんだぞ

ママみたいにローズも綺麗に成長したからな

パパ自慢の娘だぞ」


パドック内の観客は皆 カメラかスマホでローズを撮りまくる

まあ、昔なら警備員からストロボ撮影は馬が興奮するのでおやめくださいと

言われるけど今のデジカメは高性能だから問題ないだろう


「ねえ、ねえローズ今日のレースはガチでいく?」


『勿論 ガチでレースするよ 皆も頑張って頂点目指そうよ』


「真面目だね~3歳までなら引退させられないし 気軽にいこうよ~」


いやいや、2歳でも未勝利レースの内容が悪いと登録消されます

3歳の前半までに1勝しないと馬主も見切りつけますよ


でもやる気ある牝馬は、


「ローズちゃんには、負けないよ~」


『ローズもパパが見ているから負けないよ』


今日のレースに出る牝馬たちは皆同じトレセンなので

会議は問題なく終了。取引のない真剣勝負だ。


パドックに号令が、馬がその場で止まり 騎手が鞍にまたがるのを待つ

1番のエクセレントローズには主戦騎手の美鈴さんが鞍上


今日美鈴さんに伝えたのは、


「美鈴さん ローズは人間の言葉を理解してますから

安心して指示を出してください」


「ローズのことは心配してないけど会話ができないのは

少し寂しいわ 天馬ならおしゃべりしながら

騎乗できるのにね」


「まあ、そればかりはほかの人には無理ですからね

ローズの健康状態も良好ですから

新馬戦勝ちにいきましょう」


美鈴は鞍上から首筋を撫でながらローズに語り掛ける


「ローズちゃん 2人で頑張ってパパに勝利をプレゼント

 しようね」


ローズは、ブルッ ブルッと返事する


『勿論パパに勝利をプレゼントするよ』


美鈴は電光掲示場に目を向け自分が1番人気なのを

確認すると


「やっぱり1番人気? 馬より私のほうが緊張するわね」


出走時間がせまり誘導馬を先頭にコースへ向かう馬たち

俺もレースを見るためパドックを出る


いつもならレース見ないでここにいるけど

今はまだローズの育成期間でもあるため

ローズのレースを見ることができる


ターフに出た競走馬たちはウオーミングアップをしながらゲートへ向かう


のんびりと向かう馬とスパートの練習も兼ねて走る馬

ローズはのんびりとゲートへ向かう


今日のレース前に行われたミーティングでは

このレースの作戦は、逃げで行くことになった。


2歳馬戦で距離の適正を把握して同時に脚質もみる

見たところローズは中、長距離向きだが、マイルもいける

それなら差しよりも新馬戦では逃げを試すいい機会になる


ローズは芝のレースだけでなくダートも苦手じゃないけど


雨の日は、『泥で汚れるからいや』だそうだ。


ダートのレースだと大逃げの馬以外は皆ドロドロになるからな

ローズは綺麗好きだから雨の日は苦手なのかも


ファンファーレがなり スターターが赤旗を振る

すると各馬が順番にゲートへ入る


ゲートへ入るのを嫌がる馬がいるから

スターターの仕事は大変だと思う

ゲート内で立ち上がる馬がいるからだ

タイミングを見てゲート後方の係り員が合図を出す


するとゲートに赤いランプが点灯、

スターターがゲートの開閉ボタンを押すとゲートが開き

スタートだ。


新馬戦とはいえ 綺麗なスタート どの馬が先行するのか?


1枠1番からスタートしたローズがハナに立つ

先行で2番手の馬からも徐々に差が開く展開だが、


ここから観客は驚きの展開を目の当たりにする

ローズの作戦はただの先行ではなく大逃げで

1コーナーから2コーナーあたりで10馬身差が


「ローズちゃん ペースこれ以上あげないで

ゴールまで走るわよ」


『ウン、わかった。』


ローズの返答は聞けないがペースが安定したので

美鈴は一安心


3コーナー4コーナー通過しても後方からローズに迫る馬はいない

ローズは2着に10馬身以上差をつけゴールした。


2着は2番人気のイナカムスメがゴール


観客からしてみれば順調な勝ちだが配当は安いな

3連単だと高配当になるが、


ローズがゴールするとどよめきが起こる


「あれが2歳馬の走りか?」


「あと少しで1600メートルのレコード記録だぞ」


「こりゃあ、今年の2歳牝馬はローズがダントツだな」


「お母さん譲りの美貌とお父さん譲りの走りか

こりゃあ、人気出るぞ」


俺は戻って来た ローズを労う


「ローズ、おめでとう 1着だね」


審議もなくそのまま着順が確定した。


『ありがとう、パパ ご褒美に飴ちょうだい』


「何がいい?」


『うんとねえ~ ハチミツミント飴』


新商品ですか? プラチナ推奨の新作


「はい、どうぞ 」


あ~ん 口の中へ飴をいれてあげる


『ウン 美味しいね』


「美鈴さんもお疲れ様です、どうでしたローズ」


「あははは、ほとんどローズ任せ

指示したのペースの配分だけかな

こんなレースしたの初めてよ」


「ローズとなら 2歳牝馬女王だけでなく

最優秀2歳馬でもとれそうね」


いいですね、それ 佐々木さんとお義父さんにも相談して

レース考えましょう


ローズの目指せ頂点計画は始まった 






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