もしも白毛の馬と出会っていたら ミソラ編 ③ 完
ミソラ編の最終章です
馬の国 神様はぼやいていた
「は~数十年ぶりの快挙ですか
それにしても意思疎通ができて愛情をあれだけ注がれたら
やっぱりこのような結果になるんですね」
「ソラシドさんを助けて和馬さんへ一任したのはわたくしですから
仕方がないですね いろいろめんどくさいですが
馬の神としてなんとか尻拭いしましょう」
「それに今回の件で競馬のファンの方も増えて引退馬協会への寄付も
増えたことで養老牧場へ預けられる引退馬も増えるでしょうから
今回は良しとしましょう でもこれ以上歴史的快挙な出来事は
あまり増やしてほしくないですね」
フラグになりますかね
ここで副官のかたが
「それよりも神様、問題はグレイさんですよね
まさか馬の国での記憶が残ったまま転生するなんて
管理の不備ではないでしょうか?」
あちゃ~の顔した馬の神様
「あ~その件もありましたね チャコチャンはまあ
天馬さん絡みですからイレギュラーです。やはり同時の転生は
多少問題がありそうですね システムの改善も急がないと
記憶があると平等になりませんからね」
「でもグレイさんが良識があってほかの馬たちへの
影響が少なかったのはよかったですね
今は和馬さんの牧場にいますから安心です」
グレイさんの検疫による隔離が終了して天翔牧場へ到着しました
今は空胎なので貨物機での移動も問題なくてよかったですね
これで天翔牧場の繁殖牝馬は4頭に増えました
増えましたが馬房はまだ30近く空いていますね
それはなぜか?
繋養馬がいません シオンさんとソラシドの産駒はミソラを除き
牡馬でしたので1歳の時にはセレクトセールにして上場して
売却済みだからです。
ミソラは1年休養して来年から繁殖に入ります
そして天翔の厩務員は和馬と嫁の紫苑とその両親の光秀と琴音
ソラシド担当の今枝さん 麗華は今年で騎手引退して
来年からここに移住し厩務員になります
さて朝です 馬房の掃除も終わり朝食も食べて
「ミソラ 散歩行こうか?」
「うん パパ 行こう」
和馬はミソラに騎乗して牧場を出発し向かう先は
新たな散歩道の遊歩道
フェンスは安全確保の為ありますが道はパークのお客さんも出入り
できるところを通過するため今では大人気の場所です
「綺麗な白毛の馬ね ミソラちゃんかな?」
「ミソラちゃんに会えるなんてラッキーだね」
ミソラも声に反応して頭を下げている
「パパ お客さんでいっぱいだよ」
「皆さん ミソラを見に来てくれてるんだよ」
まあ こんな感じで放牧地へ向かう際に迂回して
パーク内を通行する道路を作り
ファンサービスを始めました。
昨年の年度代表馬をまじかで見れるなんて最高の施設です
放牧地へ到着後
「ねえ ミソラ来年から繫殖牝馬として種付けしてもらうけど
種付けしてほしい相手は誰かいるかな?」
ミソラ間髪入れず
「それはもちろんパパだよ」
驚く和馬だが
「軽いジョークだよ ミソラはクールハヤブサさんかな」
まさか すぐに返答があると考えていなかった和馬だが
「ハヤブサさんてチャンピオンズCの2着馬だよね
どうしてハヤブサさんなんなの ミソラより
後着の馬だけど」
ミソラは和馬を見て真剣な顔で
「あれは距離が1800メートルだからだよ
ゴールがあと200メートル先だったら
間違いなくミソラがま...から」
ミソラの最期のつぶやきが聞こえない
ミソラは以前から自分よりも走るのが速い馬に
憧れていたのだ 芝ではいなかったがダートでは
気になる相手が見つかったようだな
「パパ 種付けするなら ハヤブサさんがいい」
「わかった 手配しておくからね」
和馬は牧場へ帰るとパソコンで情報を検索する
ダート馬で種牡馬になるのは意外と少ない
種牡馬で大成するのは短距離とマイルが得意の
スピード重視で芝がよくステイヤーは人気がない
「あ、やっぱり あそこにいた」
後日 和馬は伊藤牧場にいた
「伯父さん こんにちわ 」
「や 和馬君 いらっしゃい 今日はなんだい」
「はい、商談です 来年の種付けの件でお邪魔しました」
「それはそれは毎度ありがとうございます。
それで どの種牡馬にするかお決まりですか?」
伯父さんは ニコニコ顔です
「はい、ミソラの相手ですがクールハヤブサに決めました」
「え、クールハヤブサなの? まあ確かにダートなら
うちの牧場でも上位人気だけどねえ ほかにも
3冠馬も年度代表馬もいるよ」
「はい、それでもハヤブサで決めました
ミソラが決めた相手ですから変更はありません」
「ミソラちゃんが決めたんだ なら決まりだね」
※馬と会話ができることは教えています
「それで 今から...」
「いいよ、見ておいで 馬房はわかるよね」
伯父さんから了解をもらい 和馬は一人馬房へ向かう
「ハヤブサ ハヤブサ あ~ここだね」
和馬は馬房の扉を開けると中へはいる
とうぜん いきなり知らない人間が来たので
ハヤブサは警戒する
「なんだ だれだ お前は?」 当然念話です
「突然すいません ハヤブサさん
天翔牧場経営者の相良和馬と言います
今後ともよろしくお願いいたします」
丁寧な挨拶をされて戸惑うハヤブサ
「いいえ、ご丁寧にどうもクールハヤブサと言います」
優しくて丁寧なかたで安心しました
ここでハヤブサは人間と念話で話していることに気が付く
「どうして人間のあなたが念話で会話ができるのですか?」
「わたしは馬の神様の使徒なんです もちろん公認済みですよ」
ハヤブサは驚いたが馬の神様の名をだされ
和馬が使徒だと名乗った以上認めるしかなかった
「そうですか その使徒様が私に何の御用でしょう?」
和馬やっと本題をきりだす
「あなたとも面識があるミソラの種付けの相手をお願いします」
ハヤブサもミソラと言われてG1レースを思い出した
「ああ、引退レースを優勝したあの綺麗な白毛の娘さんですね
でも種付けの相手がダート馬の私でいいのですか?」
「勿論です ミソラのたっての願いですからね
わたしに異存はございません」
「そうですか わかりました 喜んでお相手しましょう
それでつかぬ事お聞きしますが 私を選んだ理由とか
あるのでしょうか?」
和馬はふとミソラとの会話を思い出し
「娘が言うには芝のレースで自分より足の速い馬はいなかったけど
ダートのレースなら自分よりも速い馬がいたから
といってましたね」
ハヤブサはこの時 ゴールの瞬間の記憶が蘇った
娘の肢は速かったが ゴールがあと200メートルあれば
間違いなく差し切っていたと自負している
「なるほど出来ることならもう一度再戦したいものですね
どちらが真の最強馬か確かめるために」
和馬はハヤブサを見て呟いた
「それなら戦い方を変えればいいでしょう
あなたとミソラとの産駒でダートの世界一になる
競走馬をみんなで育てましょうよ」
※ダートレースで世界的に有名なのは
アメリカ3歳馬のケンタッキーダービー
BCクラシック ドバイワールドカップでしょうか
ハヤブサとの間で生まれた産駒は、
芝とダートのレースで活躍し最優秀2歳馬に選出されたが
3歳では規定路線から外れ日本ダービーではなく
アメリカへ遠征しケンタッキーダービーへ参戦
見事勝利した。
ミソラの産駒がケンタッキーダービーを勝利した年
和馬の祖父相良優駿が馬の国へ旅たっていった
人は皆 死んだらどうなるんだろう? 死に対して当然不安になるが
優駿は最後はほんとに良い笑顔で逝ったのだ
数年前に長年連れ添っていた最愛の妻の最期を看取り
ほんとに寂しかったのであろう
「これでまた皐月に会える」
この最後の言葉に知人は泣き顔になるが
天翔と相良の身内は笑顔を浮かべた
馬の国で再会できてよかったねと
次回からはまたこの世界観での続編を投稿予定です。
本編で和馬編中途半端な感じでしたので
これからもよろしくお願いします。




