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馬の国での再会 

ローズが馬の国で天馬との再会までの補足的な感じのエピソードですね

周りの牡馬たちを魅了しながら尾花栗毛の牝馬が足取りも軽く草原の小道を歩いていた


「オイ見てみろよ 栗毛の綺麗なお姉さんがいるぞ」


話しかけられた牡馬が呆れた顔をする


「お前も懲りないな あんな綺麗なお姉さんがお前なんか

相手にするわけないだろ あきらめな」


「それにな 俺たちは来週には転生するんだ

声かけるならG1勝利してからにするんだな」


「まあ、それもそうだな」


綺麗な牝馬は牡馬たちの何気ない一言が気になり


「ねえ、お兄さん 転生ってなんなの?」


牝馬が牡馬たちの傍まで来たので童貞の牡馬たちは少し緊張している


「転生は転生だよ お姉さん知らないの

俺たちみたいなG1未勝利の競走馬は転生して

G1勝利しないとこの馬の国で余生を過ごすことができないんだ

で、俺たちは来週には転生するんだよ」


そこに割り込むようにもう1頭の牡馬が前に出る


「ちなみに綺麗なお姉さん現役でG1勝ったの?」


「え、私」


「そうだよ 綺麗だから未勝利でも繫殖牝馬になって長生き

したと思うけど競走馬での戦績はどうなの?」


「ローズわね G1は確か3回ほど勝ったよ 最後のG1レースで怪我して

現役引退したから悔しい思いしたけどちなみに私の娘もG1馬だよ」


実に誇らしい態度の勝ち組エクセレントローズ

人族なら腰に手を当ててふんぞり返るような態度だろうか


「ほらみろ G1馬の綺麗なお姉さんだったろ

あきらめろよ 俺達には超高嶺の花だぞ」


牡馬2頭はうなだれその場から立ち去ろうとするが

ローズが声をかける


「ねえ、お兄さんたち ローズねパパからは

馬の国へ来たら同族は平和にのんびりと暮らせると

聞いたけどG1勝てないとここにいられないの?」


2頭が振り返り何を今更という感じ


「お姉さん 現実は甘くなく残酷なんだ

俺たちも処分されて馬の国へきて

最初はこれでのんびり暮らせると思っていたさ

ところが数日後馬の神様が現れて俺に笑顔でいったのさ」


「貴方はG1勝利していないので誠に残念ですが

近いうちに転生していただきます

それまではトレセンでしっかり調教してもらってくださいね」ニコッ


馬の国でトレセンで調教と聞いて神様へ問いかける


「ねえ神様 この国でもトレセンあるんですか?」


神様はどや顔で


「確かに昔はありませんでしたが今はりっぱな

調教施設がありますよ 調教師の方も才能がある方なので

頑張れば転生も1度で終わりますから努力してくださいね」


牡馬は過去を振り返るように空を見て


「だから俺も毎日調教してもらったのさ

調教師の人の名前は天翔天馬さんだよ

今回の転生でG1勝ちたいよな

天馬さんの恩に報いるためにもさ」


ローズの顔が途端に笑顔になる


「その人がローズのパパだよ ママも当然傍にいるとおもうけど」


人族の男性のことをパパというローズ


「人族なのにパパなの?」


その言葉に


「何をいっているの パパはパパだよ 旦那様でもあるけど

ママが一番だからローズは2番目の奥さんなんだよ」


その言動に不思議チャンを見るしぐの牡馬2頭

その場から離れる決断をした


「じゃあ 俺たちトレセン行くから

お姉さん 天馬さんによろしくね」


その場から離れていく牡馬を引き留めようと


「え~それじゃあね ローズがレースで勝つコツを教えてあげようか」


二人は歩みを止め ローズに視線をうつす


「お姉さん どうすれば勝てますか?」


真剣なまなざしでローズをみつめ


「ローズはすべてのレースをパパのために頑張ったんだよ

パパの喜ぶ顔が見たいからあなたたちも

大切な仲間とか恋人とか見つかると頑張れるかもね」


牡馬たちもその意見には一理あると判断する


「姉さん 参考になりました 転生したら俺大事な人

  必ず見つけますね」


ローズは牡馬に頭を下げるとその場から立ち去った


「なあ、お前前世で大切な人っていたのか?

俺は思い浮かばなかったがな」


「俺の場合は厩舎で世話になった厩務員の人かな

俺の前世最期の未勝利戦後に厩舎へ戻った時に

その人が泣きながら褒めてくれてな

俺の大好きな人参とリンゴを沢山食べさせてくれたんだ」


あれは俺にとっての最期の晩餐だったなと思い起こす


「俺はスタートが苦手だったんだが最後のレースだけ

すごく上手くいったんだよ

そのおかげでゴールの直前までトップだったんだが

最後の最後で差されたんだ」


「それは残念だったな」


悔しそうな顔の牡馬


「やっとスタートのコツをつかんで次のレースでは

1着とってやるとやる気になってたんだが

時すでに遅しだよ」


「どうしてだ 次のレースはどうなったんだ 聞かせろ」


聞かれた牡馬は泣きながら大声で叫ぶ


「次なんてないよ 3歳最後のレースで負けたんだ

未勝利の競走馬に4歳で出れるレースはないんだ

俺は年明けを待たず処分されたんだよ」


嗚咽をもらす仲間を見て


「すまん つらい思い出 思い出させてごめんな」


※中央競馬では未勝利馬がレースに出走できるのは3歳まです

 馬主によりますが地方競馬へ転厩する場合もありますが

 ダートの適性がない馬では勝つのは難しいですね


そんなつらい話をしていると知らないローズは

自慢のパパのことが聞けて早く天馬に会いたくなったローズは

草原の小道を走りだすが正確な場所がわからない


「しまったな さっきのお兄さんたちに正確な場所聞いておくんだった」


「お嬢さん 何かお困りですか?」


そこへ下心ありげな牡馬がローズに話しかけると目的地までエスコート

してくれたがローズは愕然となる


「なんで 馬の国に府中東京競馬場があるの?」


天馬が創造した東京競馬場の正門前で立ち尽くすローズ


ローズの横を調教へ行く馬たちが不思議そうな顔をする


馬の中には俺にもその気持ちわかるとうなずく馬もいた


数分の時が過ぎたころ気持ちを切り替え正門のゲートからターフへと向かう


観客席の横の通路を抜けると馬のひずめの音が大きくなる


コース内に特別に作られたスタートゲートの前には愛しいパパの姿が


「パパ...」


「やっと会えた パパ会いたかったよ」


天馬のもとへ駆け出すローズ


まあ、当然のように天馬に寄り添う母親メリーの姿も目に入るが


観客席のほうから不自然に現れた牝馬の姿に天馬も気がつき

すぐに愛娘とわかり笑顔になる天馬


「お帰り ローズ会いたかったよ」


その優しい天馬の言葉にローズは近寄り甘える仕草


「ただいま パパ ローズも会いたかったよ」


その横で娘との再会に喜ぶメリーもいたが馬の国で

新たな戦いの火ぶたが切られようとしていた


「いくら娘でも天馬は譲らないわよ」


天馬に甘えながらも


「ママ勝負だよ ローズがパパの一番になるからね」



その様子を周りで微笑ましく見守るプラチナたちだった









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