(7)結末、佐倉ハルと妹生活
あれから三日が経った。
古西からの指示で金曜までにみんなを説得させると言われ、ハルは三日間を自宅で過ごした。
今日は秋月の面倒は夏祭に任せ、ハルは愛乃とメグと共に堂々と正門から学園へ入る。
自然と周りの目は集まって来るが、ハルはそれを気にすることなく自分の教室に向かう。
「それじゃあね、ハル」
「何かあったらすぐにアタシたちに連絡するのよ」
「分かってる。それじゃ、また後で」
クラスの違う二人とは途中で別れ、
「ふぅー……」
自分の在籍する教室、『1―A』と表示された扉の前に立つと、ハルは深呼吸を一つする。
――大丈夫、怖くない。
何度も何度も胸の中で呟いて、今朝の佐倉家の食卓を思い返す。
いつもと変わらない、賑やかで楽しい家族の食卓。
その光景を思い返していると、自然と勇気が湧いてきた。
「よし」
振り返る必要は無い。
もう逃げないと決めたから。
ハルには護りたい家族がいるから。
傍に居てくれる家族がいるのだから。
扉を開き、勇気を持って言った。
「おはよう!」
もう一人でどうにかしようとなんて考えない。
ハルは秋月が男性恐怖症を克服するその日まで、
佐倉家に住まう少女たちと共に、この『妹生活』を続けるのだ――。




