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スピリットヘブン  作者: 嵩宮 シド
Infinite Hope(1st Season)Ⅲ
61/70

Dreamf-15 明かされし嘘

「う……ん……」

 真っ暗な視界があけられ、光が目にはいると意識が現実へと引き戻された。

「ん……」

 友里はあたりを見渡し今自分がどうなっているのかを考える。

 ベッドで寝ている。

 だが旅館のではない。どこかの医務室だろうか。どこかと考えれば、おそらく研究施設の。

 何故寝ているのか、それを思い出す。

(私、ビーストの戦いの衝撃で……)

 閃光と爆音に意識が吹っ飛ばされたことまでは覚えている。

 きっとそれを放ったのは円ではない。

 もう一人いた。自分よりも少し年が離れたような青年。円とは何もかもが正反対。

 考え方も、立ち振る舞い方も、その力も。

 円が守るために強くなってビーストを倒している。

 対して、あの青年は強さを求めるそのなかでビーストを倒している。

 パッと見た感じで何となくそう感じた。

「友里……? 友里っ!?」

「ん……?」

 思い返していたその時、里桜が駆け寄ってきて友里の顔をのぞき込んできた。

「友里? 生きてる?」

「里桜……。うん、生きてるよ。大丈夫」

「ああ、良かったぁ……」

 目元がほんの少し赤い。

 思いっきり泣きじゃくっていたのだろうか。今まで見たことの無い顔をしている。

「顔、ぐちゃぐちゃだよ……?」

「当たり前じゃないの! どんだけ心配してたと思ってんのよ!」

 まるでお母さんかお姉さんみたいな事を言って身を乗り出してきた里桜。また泣きそうに声を震わせて、友里は少し嬉しくなった。

 いつも意地悪をしてくる分、こういった友里の危機に必死に鳴ってくれると、里桜が親友で良かったと、安心できる。

「私……」

「天ヶ瀬君が運んできたのよ。すっごい必死な顔して『友里を頼む!』って。あんた、心底大事に思われてるのね」

「…………」

「友里……? あんた、何か隠してない?」

「何かって……?」

「警報鳴ったとき、あんたどこにも居なかったじゃん」

「………………」

「それで終わったと思ったら気絶して帰ってきて」

「それは……」

「友里」

「……」

 勝手に教えてはいけない事だと分かっている。だが、円がいつも友里の場所にいないものとは違って、友里のそばにはいつも里桜がいる。隠し通せない。分かっている。

(私、ほんとに弱いな……)

 グッとこらえていた思いがはじけ目元が少し熱くなってきた。

 円の秘密を話すという事が何を意味しているのか。

 円を裏切ること。そして自分に好意的に接してくれていたSSCの皆を裏切るという事。

 今分かった。

 鈴果が、言った嘘つきとは、


 自分の事だったのだ、と。

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