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三十一話 雪、銃火と騎士

どうも漸く次話が書き上がりました。

なお、いつも通りのお察しの内容です


「雪か・・・」


 そう呟く俺は、戦列の最右翼で部下達を率いて、銃を手にしてたたずむ。

 降り始めた白い雪が肩や頭に降り注ぎ、容赦なく体温と共に体力を奪っていく。

 もっと確りと防寒対策をするべきだったと後悔しても、それは後の祭りで、俺に出来るのは、ただただ我慢する事だけだった。


「中隊!出来るだけ指を温めろ!いつでも射撃に移れるように備えるんだ!」


「「了解!」」


 俺の無責任な命令にも関わらず、中隊の200人から返ってきた返事には覇気があり、士気の高さが窺える物だった。

 思えば、彼らのこの士気の高さには今までに何度も助けられてきたものだ。

 こんな俺なんかでも今日まで生きて来れたのも、一重に彼等と言う優れた配下に恵まれたからなのだろう。


「・・・嫌になるな」


「どうかしたか?」


 あまり大きな声で言ったつもりは無かったが、その声はワルドには聞こえていたようで、いつも通りの感情の読めない表情で、俺の事を見詰めてくる。


「いや・・・何でも無い。気にしなくても良い」


「そうか」


 ワルドは、それ以上は何も聞いてこなかった。

 ただ、俺はこの短いやり取りで自分の立場と言う物を改めて自覚した。

 俺はコイツらの隊長で指揮官なのだ。

 その俺が部下の前で弱気な態度や迷いを見せてはいけないのだ。

 指揮官が迷走すれば隊はそれ以上に迷走し、やがて全てを殺すことになってしまう。

 今更になってそんな事を思い知った俺は、気持ちを切り替える為に頭を軽く振って前を見据えた。

 視界に広がるのはだだっ広い平原と、その奥の鬱蒼としたウシャの森があり、右前方には小高い丘が見える。

 偵察によると敵は森の中を進軍してきているとの事で、騎士団の力を最大限に発揮するために森からは距離を取り、俺の中隊200を最右翼に中央に馬を失った騎士1000と左翼に乗馬した騎士1500を配置し、残りの500を予備兵力として戦列の後方に待機させた。

 右前方の丘に陣取って迎え撃つ事を俺は提案したのだが、森との位置が近すぎる事と、全軍が丘に登ることが出来ずに分断各個撃破される恐れがあるとして却下された。

 作戦はシンプルで、敵がある程度まで森から出てきたら左翼の騎士団が半数を残して突撃し、左から右に敵の前線を抜けていって丘の手前を回って元の位置に戻り、その間に残っていた半数が突撃する波状攻撃を行うと言うもので、騎士団はコレまでの蛮族との戦いをこの方法で打ち破ってきた。

 今度も上手く行くだろうと、そう考えての布陣だった。


「見えた・・・!」


 俄に森の方が騒がしくなったと思って目を凝らすと、遂に森の中から姿を現した蛮族の群れを見た瞬間に、俺は全身が粟立つのを感じる。

 森から続々と現れる蛮族の数は、予想を遙かに上回る物で、また、予想以上に整然としていた。

 コレまでにも幾度かの蛮族の戦いを経験してきてはいた俺は、それなりに自信を着け、敵は数だけの烏合の衆でしか無いと高を括っていたが、改めて敵の姿を見た俺は、コレまでに無い恐怖を感じている。

 アレは最早烏合の衆などでは無く、確りと隊列を組み訓練された強大な軍隊だと言う事が直ぐに分かった。

 そして、それは俺の部下達と、轡を並べる騎士達も同じだった。


「・・・っ」


 隣に立つワルドの息をのむのが感じられ、整然としていた騎士団が俄に浮き足立つのが分かる。

 だがそれも無理も無いことだ。

 目の前に広がる蛮族の群れを見れば誰だろうと怯まずにはいられないだろう。


「落ち着け!敵は所詮蛮族だ!我が騎士団の敵では無い!!」


 良く通る声で叫ぶのは、我らが大将カリス殿だ。

 カリス殿の声に鼓舞された騎士団は僅かに落ち着きを取り戻したが、それでも尚、敵を見れば怖気が立った。


「落ち着け。敵がどれだけ居ようと俺達のやることに変わりは無い」


 俺の言葉が彼等の中に、一体どれ程響いたのかは分からないが、少なくとも表面上は落ち着きを取り戻した様に見える。


「前進開始、速歩!」


 敵軍が目の前の平原を埋め尽くすほどになった時、カリス殿の号令が響き、左翼の騎士達が前へと進み出した。

 左手に盾を持ち、右手にバトルアックスを持つ帝国騎士は、他の国の騎士団とは違い槍を持つことは希で、甲冑も俺の知っている騎士よりも軽装かつ防寒対策のために毛皮が多用されており、前世の本で見たバイキングに近い印象を受ける。

 彼等は槍を持たず、やや軽装な為、大陸中央の騎士の中でも衝撃力は一枚劣る物の、機動力が高く一撃離脱と白兵戦は大陸に数ある騎士団の中でも随一の強さを誇る。


「駆歩!!」


 進んで行く騎士達が速度を上げて更に前進する。

 既に200mは離れているにも関わらず、ここまで聞こえる指揮官の号令が練度と士気の高さを物語っていた。


「アレで新人ばかりと考えると恐ろしいな」


「・・・全くだ。共和国の騎兵よりも怖いぞ」


 そうワルドと言い合っている内に、遠ざかる騎士達が更に増速したのが土煙で分かった。


「襲歩だ。突撃体勢に入った」


 凄まじい怒声を上げながら走る騎士達は、各々が手にする武器を振り上げて敵の隊列に目掛けて突き進んで行き、遂に先頭の騎士が最初の敵を弾き飛ばした。

 まるで、そこに何も無いかの如くゴブリンモドキを跳ね飛ばし、右手の斧を振るう度に、その首が鞠のように中に舞った。


「第二陣前進!常歩から速歩へ!!」


 再びカリス殿の号令が上がると、待機していた第二陣がゆっくりと進み出し、それから徐々に速度を上げていく。

 一方の前線では第一陣の騎士達が敵を跳ね上げながら敵の右翼から左翼へと走り抜けて行き、そのまま敵から離れていった。

 絵に描いた様な惚れ惚れする程美しい一撃離脱の後には死屍累々の光景が広がり、敵が体勢を立て直そうとしていた正にその瞬間、第二陣の騎士達が雄叫びを上げて突っ込んで行った。


「コレは酷い・・・」


 余りにも圧倒的で、もはや虐殺に近い蹂躙を見た俺の口から漏れた言葉は、しかし、戦場の様子を表現するのに最も適した言葉だっただろう。

 敵から聞こえてくる断末魔の叫びとは裏腹に、俺達はすっかり押し黙ってしまい、隣の騎士団からも既に勝利を確信した雰囲気さえ漂っていた。







「第八陣前進!」


 アレから一時間ほどが経過した。

 当初、直ぐに撤退するかに思われた敵軍は、此方の予想に反して意外な程の粘り強さを見せていた。

 開始から既に七度の突撃を行った騎士達は疲弊し始めており、前線はこちら側に200mも押し込まれてしまっていた。

 騎士の突撃も最初の頃の様な精彩さを欠き始め、六度目の突撃から予備に残していた500騎が参加してローテーションに余裕を持たせようとしたのだが、それでもペースが速い事に変わりは無かった。

 本来ならば、この連続の突撃はもっと数を集めて行う所なのだが、今回はそう言う訳に行かなかったために、騎士達の負担が大きくなりすぎたのだ。


「っ!」


 平静を保ってきたカリス殿にも焦りが見え始め、騎士団も俄に騒ぎ始めていた。

 敵は今だ、森の奥から続々と現れていて、戦いはまだまだ続くことが予想できる。

 そんな時、一人の兵士が叫んだ。


「敵の新手だ!」


 俺は彼の叫びを聞いて指さす方を見るとそこは敵の左翼の更に外側、丘の陰に隠れた場所だった。


「アレは・・・何だ?」


 距離があり、また、雪が少し強くなってきた事もあって良く見えなかったが、その数が増えてくるい連れて、俺は嫌な予感がしてきていた。


「四足の獣の様だ・・・」


 ワルドがそう言うと、俺にもそのように見えてくる。

 大型の熊と虎を掛け合わせたかの様な姿形で、騎士の馬よりも一回り小さいそれは、灰色の毛並みで何かを背中に乗せていた。

 その背中に乗せた何かがかすかに動いた様な気がしたその時、獣の集団が一斉に走り出す。

 それを見た瞬間に、俺はアレが何なのかを直感的に理解してしまった。


「マズい!」


 もの凄いスピードで走る獣の集団は、その背中にゴブリンモドキを乗せていた。


「カリス殿!アレは騎兵だ!敵の騎兵だ!!」


「何っ!!」


 俺が叫ぶのとほぼ同時に、七度目の突撃を終えて移動していた騎士達に獣の集団が食らい付いた。


「っ!!」


 疲弊していた騎士達はまともな防御の態勢を取ることも出来ないままに突撃を受け、甚大な被害を出しながら乱戦へと突入してしまう。


「クソッ!第九陣!!援護へ・・・」


 カリス殿はそこまで言い掛けて口を噤んだ。

 何故なら、カリス殿の目に写った騎士達は馬上に居ながら視線を地面に移し、手をダラリと下げ、肩で息をしてカリス殿の言葉にも反応出来ないでいたからだ。

 また、彼等の乗る馬も鼻息が荒く、全身から滝の様な汗を流して煙幕の如き湯気を立ち上らせている。

 誰が見ても彼等に直ぐに動く気力など無いことが歴然としていた。


「っ!!徒歩部隊・・・」


「散兵中隊!!戦闘用意!!」


 カリス殿が徒歩の騎士達に号令を掛けようとした瞬間、俺はカリス殿の言葉に被せるように部下達に命令を出す。


「カイル殿!?」


「中隊!駆け足!!前へ進め!!」


 驚愕に満ちた表情で俺の方に向いたカリス殿を俺は無視して前進の指示を出し、ヘンリーの腹を軽く蹴る。

 その姿を見たカリス殿はそれ以上は何も言わず、ただ俺の背中を見詰めているのが見なくても感じられた。


「中隊!!目標は丘の頂上だ!!」


「「応っ!!」」


 コレは完全な命令違反である。

 しかし、カリス殿が口を噤んだ様に、今取れる手段がコレしか無いのも事実だった。

 先に出撃した第八陣の騎士達には命令が届かず、徒歩の騎士達はその装備故に移動に時間が掛かる上に、着いた後に直ぐ戦闘に移ることが出来るかと問われれば、それは不可能だろう。

 かと言って何もしなければ、今攻撃を受けている騎士達が全滅してしまう可能性が高く、これからの戦闘の事も考えれば、できる限り早急に救出する事が求められた。

 俺と散兵中隊ならば距離的に一番近く、軽装であるため移動に掛かる時間も徒歩騎士よりも早い。

 しかし、中隊がそのまま混戦状態の場所に突入したところで簡単にやられてしまうだけだと判断した俺は、現場の騎士達の力と指揮官の判断を信じて丘へと向かった。


「急げ!敵は待ってはくれないぞ!」


「「応っ!!」


 俺が彼等に檄を飛ばすと、彼等から返ってくる返事は俺よりも元気でヤル気に満ちている。

 そうして、徐々に足を速めながら丘を一挙に駆け上った俺達は、ライフル隊員だけが銃を構え、他の小銃を持った隊員は息を整えながら敵の居る方に向けて横隊を組んだ。


「ライフル兵!準備が出来た者から順次射撃開始!」


 そう言いながら、俺もカービンを構えて引き金を引いた。

 断続的に銃声が鼓膜を震わせる度に、敵の獣やゴブリンモドキに光弾が命中し、鮮血を飛び散らせる。


「気付いたか」


 射撃を開始して幾分も立たない内に、騎士達を束ねていた指揮官らしき騎士が此方に気付き、声を上げた。


「味方が来たぞ!!丘の上まで走れ!!」


 騎士達はその声を聞くと、最後の力を振り絞って馬首を此方に向けて馬を走らせる。

 彼等の乗る愛馬たちも、そんな主人の意に答えんと視力を振り絞って丘を駆け上がってくる。


「小銃隊構え!」


 小銃隊は二列横隊となり、騎士達が逃げ込めるように左右に分かれて中央を開けて待ち構えた。


「早く上がれ!!頑張れ!!」


 騎士達は続々と俺達の下へと辿り着き、その直後に馬から飛び降りて仲間達に声を掛けて励ました。

 主人の為にと力を振り絞った馬の中には、走り抜いた途端に力尽きて倒れてしまう馬もいた。

 無念にも主の求めに答えきれずに、道半ばで崩れる馬もいた。

 騎士達も己の愛馬を愛し、倒れた相棒をいたわる者や、共に逃げようと励ます者も居る。

 しかし、時は待ってはくれない。

 逃げろと言っても頑として愛馬の下を離れようとしない騎士は、無理矢理に引きずる仲間を、泣きながら罵倒する様も見受けられた。


「小銃隊前列撃て!!」


 生きている騎士の全てが頂上に到達し、眼前に敵が迫り来る中、俺が号令を発すると間髪入れずに銃声が鳴り響き、木霊の様に断末魔の叫びが返ってきた。

 飛び散る汚物と鮮血が、雪で白くなった自然のキャンバスに世にも醜悪な赤い花畑を浮かび上がらせる

 それでも奴らは止まらない。

 醜い叫び声を上げながら味方の亡骸を踏みつけて前に出てくる連中は、さながら地獄の底から現れた魔物の様だ。


「後列撃て!!」


 俺は連中に更なる被害を与える為に再びの射撃を命じ、その後に続いて横隊の二列目が斉射を行った。

 銃声がなった後には先程と同じく凄惨な光景が生み出され、死体が折り重なった分だけ、より恐ろしくなったように思える。


「装填!ライフル隊は援護しろ!」


 射撃を終えた小銃隊が再び斉射を行うにはおよそ40秒の時間を要し、その間に突っ込んでくる敵を何とか押し止めなければ、俺達に待つのは死のみである。

 俺も弾が続く限り撃ち続けて敵を阻止しようとするが、恐ろしい事に獣は一発二発では倒れなかった。

 俺の使うカービンは確かに連発が出来るのだが、その分、ライフルや小銃に比べて口径が小さく、威力が低いため、大型の猛獣などには効果が薄かったのだ。

 オーガとの戦いの時にも、この問題はあったのだが、今回の獣はオーガの時よりも更に皮や筋肉が厚いために一撃で仕留めきる事が出来なくなっていた。


「クソッ!後20秒!!何とか押さえろ!!」


「応っ!」


 全ての隊員が全力を尽くしているのは分かり切ったことだった。

 しかし、それでも言わずには居られない。

 焦りと恐怖が前進を支配し、寒さで手が悴んで上手く装填が出来ずに更なる焦りが俺を襲う。

 そして、次の瞬間一体の獣が俺に目掛けて飛びかかってきた。


「ぐっ!!」


 視界が自棄にクリアになり世界の動きがゆっくりとした物に感じられ、目の前に振りかざされた鋭い爪が迫ってくる。

 俺はこの時、自分の死を悟った。

 もうどうしようも無いと諦めて、己を襲う筈の衝撃や痛みを待った。


「・・・?」


 しかし、いつまで経っても何も起こらなかった。


「何を突っ立っているんだ!!お前は!!」


 いきなり怒声を浴びせられた俺は、閉じていた瞼を開けて声の主を捜すと、それは目の前に居た。


「騎士クリストフか?」


 直前まで俺を襲おうとしていた獣の姿は無く、目の前には長剣を手にした血塗れのクリストフと首を失った無残な獣の亡骸が転がっている。

 一瞬状況が理解できなかった俺だったが、直ぐに意識を切り替えて、救われた命を少しでも役立てようと銃を構えた。


「すまない!助かった!!」


 俺が引き金を引きながらクリストフに礼を言うとクリストフは正面に向き直って鼻をならした。


「コレで相子だ!礼などいらん!!」


 そう言いながら、長剣を両手で構えて俺を守るように立つ彼を俺は心強く思った。


「団長!装填完了!!」


「了解!!射撃用意!!」


 俺達は騎士達を助けるためにやって来た筈だった。

 しかし、今は逆に彼等に助けられている。

 彼等は疲れ切っているにも関わらず、武器を掲げて前に出て、獣たちの突進を受け止めてくれている。

 その間、俺達中隊は安心して装填と準備を済ませることが出来た。

 既に、敵の獣もその数を減らして最初のような勢いは無く、正に後一押しと言った所だ。


「構え!!」


 今度はライフル隊も会わせた中隊の全力射撃の為に、隙間無く横隊を配置してその時を待つ。


「後退!騎士団は後退しろ!」


 騎士達の動きは見事な物だった。

 多少精彩さを欠きながらも、確りと連携して敵に対処しつつ、確りと指揮官の言葉を聞いている。

 後退を指示された騎士達は、一瞬だけ一斉に前に踏み込んで敵に攻撃を仕掛け、それに怯んだ瞬間に直ぐさま身を翻して、横隊の後ろに避難した。


「今だ撃て!」


「前列撃て!!」


 俺の近くに飛び込んできたクリストフの言葉を聞いた俺は、間髪入れずに一度目の射撃号令を出す。

 一撃目の射撃は敵が怯んだ所で追い打ちとなり、既に足を止めていた所へ撃ち込まれた銃撃は、敵の士気を挫いて後ずらせるのには十分な威力だった。


「後列撃て!!」


 二撃目には一撃目程の劇的な効果は無かった。

 死体や傷ついて倒れた者が盾代わりになったのと、多くの者が顔を背けてしまっていたために急所に当たらなかった為だろう。

 それでも、最後の一押しになったこの射撃で、敵が潰走を始めた。

 獣が暴れ出して背に乗るゴブリンモドキを振り落とし、森の方へと走り去り、あまつさえ進路上の者を薙ぎ倒して行ったのだ。


「勝ったか?」


 敵が去り安堵を感じた俺は、ふと周りを見回して、それから本隊の方を見た。


「誰か!本隊の様子が見えるもの居るか!!」


 いつの間にか強くなっていた雪のために視界が塞がれてしまい、本隊の様子は愚か、丘の下の様子さえも分からなくなっていた。


「一体どうなっているんだ・・・」


「雪が晴れるぞ!!」


 僅かに日の光が差し始め、徐々に雪が弱まって視界が開けてきた。

 そして、周りの様子を目にした瞬間、先程までの安堵感から一転して俺達を絶望感が支配した。


「嘘・・・だろ・・・」


「ああ・・・あ?」


「・・・」


 近くにいたクリストフとワルドも、余りの光景に驚きが隠せないで居る。

 

「団長・・・我々は如何したら?」


 そう声を掛けられて振り向くと、あの若いライカンの青年が立っていた。

 如何したら良いのかと訪ねられた俺は、何も言うことが出来ずに口を噤み、立ち尽くす事しか出来ないでいた。


「・・・」


 俺達が目にしたのは平原にひしめくゴブリンモドキの大群と、懸命に戦いながら包囲されていくカリス殿達の姿だった。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

今回は字数がそれなりに多いかと思いますが、その分だけ苦痛が伸びるという誰得仕様でした。

しかし、まだ続きます。

自分で始めた筈なのに一体何時になったら戦争は終わるのか、何時になったら恋愛とか出来るのかと、最近思い始めています。

では、よろしければ次回も読んで頂ければ幸いです。

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