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新藤は怪しげな目出し帽を被った男を、一人排除する。。最初は五人程度しか見当たらなかったが、どう考えても数が増えている。いったい、どれだけの人間が投入されたのだろうか。時間もそれなりに経過してしまったが、未だに瀬崎ありすと少女佐藤を見付けられていない。


しかし、それでも怪しい男たちが撤退しないところを見ると、彼女らはまだ無事で、どこかで隠れているということだ。敵よりも彼女たちを見付けなければならないが…。


それにしても、敵の目的が不明だ。少女佐藤を追っているのか。それとも瀬崎ありすか。だとしたら目的は? 神父との関わりは? 奇跡の教会も関係しているのだろうか。


「見付けたぞ!」


そのとき、声が聞こえた。敵であろう、男の声だ。

まずい、と新藤は心の中で呟き、声の方へ向かって走った。


「新藤、助けてー!」


「さ、佐藤ちゃん?」


運の良いことに、と言うべきか、敵よりも先に少女佐藤と瀬崎ありすの姿を発見した。ただ、こちらに向かってくる彼女らの背後には、目出し帽を被った男が五人も追いかけてきていた。あれでは、新藤が壁になって彼女らを守ろうしても、二人か三人の足止めがやっとだろう。


「新藤、あの小屋を開けるから走って!」と少女佐藤が叫ぶ。


「あの小屋?」


新藤はあの小屋が何を指しているのか理解したが、それを開けたところでこの状況を打破できるとは思えなかった。あの中には、二人の中学生が閉じ込められているだけ。それでも、少女佐藤の行動を信じよう、と彼は自然と考えていた。教会の敷地に入る。神父の姿は見当たらなかった。


あと少しで小屋に辿り着くが、敵の集団はすぐ背後まで迫っていた。このままでは、自分はもちろん彼女らも追い付かれてしまう。数秒でも良い。敵を足止めするしかない。新藤は踵を返し、迫る男たちを迎え撃った。新藤は咆哮を上げ、男たちを威嚇する。それに、一瞬だけ足を止めた男たちだったが、すぐに歩みを再開する。新藤は先頭を走る数名の足止めに成功したが、すぐに横手を男たちが駆け抜けて行く。


「瀬崎、開けて!」


「分かっている。ちょっと集中させて!」


そんな声を聞きながら、新藤は何名かを殴り飛ばし、彼女らの方へ駆け付けようとしたが、後ろから肩を掴まれてしまった。


「邪魔しないでください!」


新藤は掴む手を振り払い、男を殴り飛ばす。だが、間に合わない。男たちが、少女佐藤と瀬崎ありすを捕らえようとしていた。手をかけられ、瀬崎ありすが抵抗する。少女佐藤も担ぎ上げられ、悲鳴を上げた。


どうにもならない。新藤は飛びついてきた男を力任せに投げ付け、二人を助けようと駆け出そうとした……そのとき、小屋の扉が開いた。


「よっしゃーーーー! 開いたーーー!」


その声は、新藤のものでなければ、少女佐藤のものでもないし、瀬崎ありすのものでもない、猛々しい女の声だった。その小屋には、三郎と妃花の二人がいたはずだ。だとしたら、妃花という女の子の声……であることは違いない。まだ顔も知らない、少女の声のはずだが、新藤は何度も聞いたことがあるように感じた。


「よーし。状況は分からんが、どうやらやることはシンプルみたいなだな、乱条」


と今度は三郎と思われる男の声。


「おう、ずっと小屋に閉じ込められていたストレス。解消するにはもってこいだぜ、成瀬さん」


三郎と妃花が、小屋の中から姿を現した。新藤は、二人の姿を見て自分の目を疑う。


「成瀬さんと、乱条さん…?」


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