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久坂大和と中岡悠里は風紀委員長に報告する。

ご覧いただき、ありがとうございます!

「あー、メンドクセエ」


 四時間目の授業を受けながら、俺はつい愚痴をこぼした。


 や、だって、休み時間になるたびに、芹沢と藤堂の周りにクラスメイトをはじめとした生徒達が群がって、廊下からも教室を覗く奴が後を絶たなくて、トドメは二人(主に藤堂)と話した奴が、俺とユーリを睨みつけていきやがる。


 つか、芹沢を邪険にしてたのはオマエ等だろ! 鏡見ろよ! と、声を大にして言いたい。


 それに、芹沢も芹沢で、こんなにユーリに嫌われてんだから、いい加減キレイさっぱり諦めて、慕ってくれる藤堂に行けよ! と、声を大にして言いたい。


 ま、そんな愚痴を言ってみたものの。


 俺はチラリ、とユーリの席を見ると……彼女は、真剣な表情で授業を受けていた。


 はあ……可愛いなあ……。


 すると。


 あ……ユーリがこっち振り返って手を振ってくれた。

 それだけで、さっきまでの愚痴だったりイライラだったり、俺の中にあった嫌なモンが全部吹き飛んじまった。


 あー……ダメだこれ、完全にユーリにベタ惚れだ。


 ◇


 ——キーンコーン。


「ヤマト! ご飯食べよ!」


 四時間目が終わるやいなや、ユーリが満面の笑みで俺の席にやってきた。

 俺はカバンの中から弁当を二つ取り出すと。


「おう、んじゃ行くか」

「うん!」


 ユーリと二人並び、教室を出る。


「なあなあ、今日はどこでメシ食う?」

「うーん……昨日と同じ、風紀委員会室にする……?」


 俺がメシを食う場所について相談すると、ユーリは周りをキョロキョロした後、少しウンザリした表情でそう答えた。


「んー……そうすっか」

「だねー……」


 はあ……このクソ生徒共、昼休みくらい、俺達を睨んでないでどっか行けよ……。


 つーことで、俺達は風紀委員会室に入るんだけど。


「あれ? 木戸先輩?」

「む? おお、悠里……と、むむ! 久坂くんじゃないか!」


 そこには、風紀委員長の木戸先輩がいた。


 お、俺、この人苦手なんだよなあ……。

 や、前にユーリに呼び出された時にたまたま知り合って、それ以降、妙にウザ絡みしてくるっつーか、風紀委員長なのにノリが軽いっつーか……。


 この前も、『む、久坂君、君が風紀委員になってくれるなら、悠里の身体だけじゃなく、この私もつけるぞ! ナイスバディだぞ!』などと、訳の分からない勧誘をしてきたからなあ……。


 ま、まあ、自分で言うだけあって、その容姿は圧倒的ではあるんだけど。

 少し茶色かかった腰まであるストレートロングの艶々した髪に、切れ長の目、高く整った鼻筋、少し薄めの、だけどすごく柔らかそうな唇、透き通るような白い肌。

 そして何より、その圧倒的なお胸様である!

 や、ユーリもそれはそれは素晴らしいものをお持ちではあるが、それすらも超える圧倒的破壊力! 挟まれたい!


 そんな校内一の美少女である木戸先輩ではあるが、この残念な性格と、反抗する者には一ミリも容赦しないその徹底した独裁者ぶりに、誰一人として告白しようとする勇者は現れないんだけど。


「それで、木戸先輩はここで何をしてるんですか?」

「ああ、ホラ、君達も知っていると思うが、昨日、アイドルの藤堂エルザがうちの学校に転校してきただろう? それに加えて、悠里の知人の正体が若手俳優の“沖田晴斗”だということが判明して、校内は騒然としている」

「「あー……そうですねー……」」


 俺とユーリは一連の出来事を思い浮かべ、魂の抜けた声で返事をする。


「それで風紀委員会としても、この事態に対応するため、今日の委員会で議論するための資料を作成していたのだ」

「ああ、それで「ちょ、ちょっと待って下さい!?」」


 先輩の説明に、俺が納得の相づちを打とうとしたところで、ユーリが困惑しながら声を上げた。


「む? どうした?」

「どうしたじゃないですよ! 今日は委員会ないってRINEで言ってたじゃないですか!」

「ああ。だが、さすがに今の事態を看過するわけにはいかんだろう?」

「で、ですが……」


 先輩の説明に、見るからショボンとしたユーリが俺をチラリ、と見た。


 あー……ま、しょうがないよな。


「ユーリ、ここは先輩の言う通りだ。ユーリはちゃんと委員会に出たほうがいいよ」

「だ、だけど……」


 するとユーリは、ますます落ち込んだ表情になる。


「大丈夫だよ。元々家事は俺一人でやってきたんだし。それに、その……委員会が終わったら、来てくれるんだろ?」

「っ! も、もちろんだよ!」

「じゃ、それでいいじゃん。ユーリが喜びそうな晩メシ作って待ってるからさ」

「あ……う、うん!」


 ふう……やっとユーリが笑顔になった。

 やっぱりユーリには、その顔が一番似合うよ。


「へえ……」


 見ると、先輩がニヤニヤした表情で俺達を見ていた。


 あ……そういや先輩に、俺達が付き合ったこと、言ってなかったな。


「あ、先輩。その……俺達、付き合うことになりました」

「え、えへへ……そうなんです……」


 俺とユーリは手を握り合うと、先輩に正式に報告した。


 すると。


「うむ! やっと結ばれたか! ここはあえて、“おめでとう”と言わせてもらおう!」

「「! ありがとうございます!」」


 先輩の祝福の言葉が嬉しくて、俺は思わずユーリと見つめ合う。


「ふふ、ならいつまでも私がここにいるのは野暮だな。そろそろ退散させてもらうよ」


 そう言うと先輩は立ち上がり、風紀委員会室を出ようとして。


「あ、久坂君、ついでに私もどうだ? 私はナイスバディだぞ?」

「は、はあ!?」

「せ、先輩! 何言ってるんですか!」


 そんな軽口を叩いて、先輩は手をヒラヒラさせながら今度こそ出て行った。

お読みいただき、ありがとうございました!


次話は明日の夜更新予定です!


少しでも面白い! 続きが気になる! と思っていただけたら、ブクマ、評価、感想をよろしくお願いします!

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【俺の理解者は、神待ちギャルのアイツだけ】
― 新着の感想 ―
[良い点] 大和君がツッコミ入れてる通り、クラスメイトは大丈夫なんでしょうかね? 自分達のしてきた事、覚えてないんですかね? そして、藤堂さん。 あの子、色々な意味でお馬鹿ですよね? 芹澤某が色々と…
[気になる点] もう、風紀委員会に入っちゃえばいいんじゃないかな? ずっと隣で守れるし… 何より素晴らしいオマケが付いてくるようだし…www [一言] クラスメイト、うざったいな…
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