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16年目の片想い  作者: 雪本はすみ
第4章 もう二度と会えない
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 スライドショーの時間が迫ってきたので様子を見にいこうとしたとき、知った顔の男とすれ違った。向こうも気づいたらしい。同時にふり向く。


「市之瀬も来てたのか」


 汐崎は、目を細めて意外そうな顔をした。


「さっき諸見里が探してたけど……会ったか?」

「会った」

「あいつ、ますます派手になってたなあ」


 細い目をさらに細めて、汐崎はにこにこ笑った。


「おまえ、今何してんの? 東京だったよな?」


 汐崎が聞く。


「何って、サラリーマンだけど」

「そうか。俺、市役所に勤めてるんだけどさ。ゴールデンウィークのイベントで親子写生会を企画してるんだ。もしこっちに帰ってきたら、連絡くれよ」


 意味がわからない。親子写生会と俺の帰省とどういう関係があると言うのだ。


「いや、スタッフが足りなくてさ。よかったら、手伝ってくれないかなーと」

「おまえさ」


 俺はしみじみと目の前の生真面目そうな男を眺めて、溜息をついた。


「俺が親子写生会を手伝いたがると思うか?」

「思わない。一応、言ってみただけ。知ってるやつには、全員声をかけてるんだよ」


 あっさり答えて、汐崎は「まあ、気が向いたら」と言い残して立ち去った。

 地元のこととなると見境がないところは、子供の頃から変わっていないらしい。

 市役所の職員か。

 天職だな、と俺は思った。

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