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賢者の石を手に入れた在宅ワーカーだけど、神様って呼ばれてるっぽい  作者: パラレル・ゲーマー


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第135話

 世界の中心、四つの首都を結ぶ最高機密のバーチャル会議室。

 そこには、いつものように四カ国の首脳たちと、その分身たる補佐官たちが顔を揃えていた。だが今日の空気は、いつになく刺々しく、そして焦燥感に満ちていた。


 季節は巡り、ダンジョン開放から数ヶ月。

 F級ダンジョンでの「魔石ラッシュ」は定着し、続くE級ダンジョンでの「耐性装備へのパラダイムシフト」も、探索者たちの血と汗と、そして多額の投資によって乗り越えられつつあった。

 人類は順応していた。


 毒の沼地も、燃え盛るスケルトンも、今や日常の風景となり、攻略法メタは確立され、経済は再び安定成長の軌道に乗っているかに見えた。


 だが人間とは強欲な生き物だ。

 一つの壁を越えれば、すぐさま次の壁を――より高い報酬と、より強い力を求める。


「――単刀直入に申し上げよう」


 口火を切ったのは、中国の王将軍だった。

 彼のホログラムは、いつもの冷静さを装ってはいるものの、その指先がテーブルを苛ただしげに叩くリズムが、彼の内心の焦りを雄弁に物語っていた。


「KAMI様への要請だ。直ちに『D級ダンジョン』の解禁をお願いしたい」


 その要求に、議長役である日本の九条官房長官が、眉ひとつ動かさずに応じた。


「将軍。E級の開放から、まだ日が浅い。統計データによれば、E級ダンジョンの攻略完了率(踏破率)は、全探索者の25%にも満たない状況です。時期尚早では?」


「統計などどうでもいい!」

 王将軍が声を荒らげた。


「我が国の『青龍』ギルドの精鋭部隊は、既にE級の最深部ボス『カースド・リッチ』の周回作業に入っている! 彼らは飢えているのだ。より強い敵、より希少な資源、そして更なるレベルアップに! 現場の突き上げは限界に達している!」


 アメリカのトンプソン大統領が、葉巻をくゆらせながら冷ややかに口を挟んだ。


「ほう。人民解放軍の精鋭たちは優秀なようですな。我が国の『アークエンジェル』も似たような状況だが、我々はもう少し慎重だぞ? 焦りは禁物だ」


「貴国とは事情が違うのだ!」

 王将軍がトンプソンを睨みつける。


「とにかく、これ以上の停滞は許されん。KAMI様に伝えてくれ。中国は準備万端であると!」


 そのあまりにも剣幕な様子。

 沢村総理が九条と顔を見合わせ、ため息をつこうとしたその時だった。


「――えー、D級ねぇ……」


 円卓の中央、何もない空間から気だるげな声が響いた。

 四人の男たちの背筋が、条件反射で伸びる。


 ホログラムのノイズと共に現れたのは、いつものゴシック・ローリタ姿の少女、KAMI。

 今日の彼女は、なぜか片手に赤ペン、もう片方の手に分厚い仕様書のようなものを持ち、髪を無造作にかき上げながら、まるで徹夜明けのデスマーチ中のプログラマーのような疲れた顔をしていた。


「KAMI様……!」

 王将軍が身を乗り出す。


「お聞き届けいただけましたか! D級の解禁を!」


「聞こえてるわよ。声デカいし」

 KAMIはペンをくるくると回しながら、面倒くさそうに言った。


「まあ解禁してもいいんだけどね。あなたたちの進行度プログレッションが、想定より早いのも事実だし。ただ……」


 彼女は言葉を濁し、手元の仕様書に視線を落とした。


「今ちょっと、並行世界の事例データを見つつ最終調整中なのよね。D級からは、ちょっと『世界が変わる』から」


「……世界が変わるとは?」

 九条が、嫌な予感を隠しながら尋ねた。


 KAMIは顔を上げ、四人の指導者たちを、まるでこれから屠殺場へ向かう家畜を見るような、憐れみと残酷さが入り混じった目で見つめた。


「あなたたち、今の『耐性』の仕様、覚えてる?」


「はい」

 と九条が即答する。


「属性耐性の上限は75%。ただし低ランク帯では補正がかかり、数値以上の軽減効果が得られる。E級では25%確保すれば無効化できるという……」


「そう。今は『初心者モード』なの」

 KAMIは冷酷に告げた。


「でもね、C級からはその補正が消えるわ。そしてさらに上の『B級』からは……本当の地獄が始まるの」


 彼女は空中に、一枚の残酷な数式を投影した。


【難易度補正:B級以上のダンジョン侵入時】

【全属性耐性:−20%(永続デバフ)】


「……は?」

 トンプソン大統領が眼鏡をずり落とした。


「マイナス……20パーセント?」


「そう」

 KAMIは淡々と説明を始めた。


「B級以上のダンジョンに入った瞬間、その空間の呪いによって、探索者の全耐性が強制的に20%下げられるの。これは永続効果よ。装備を外そうが、どんなスキルを使おうが、ダンジョンにいる限り絶対に解除できない『環境デバフ』」


「ちょ、ちょっとお待ちください!」

 沢村総理が、悲鳴のような声を上げた。


「耐性の上限は75%ですよね? そこから20%引かれたら、最大でも55%にしかならない! それでは高火力の魔法攻撃を受けたら即死してしまいます!」


「だから」

 KAMIは、さも当たり前のことのように言った。


「上限の75%を維持したければ、装備とスキルで合計『95%』分の耐性を稼がないといけないのよ」


「はぁ!?」

 全員の声が重なった。


「きゅ、95%!?」

 麻生大臣(今回もオブザーバー参加)が計算機を叩きながら絶句した。


「今のE級装備で全身を固めても、せいぜい40%から50%が限界だぞ!? それを倍近く……いや、基礎値がマイナスされることを考えれば、装備の質を劇的に上げなければ、ダンジョンに入った瞬間に蒸発するということか!?」


「そんな無茶苦茶な!!!」

 王将軍が机を叩いた。


「無理だ! 今の装備水準では物理的に不可能だ!」


「うん、かなり厳しいわね」

 KAMIは、あっさりと認めた。


「並行世界でも、この『B級の壁』で探索者の6割が脱落してるわ。あっちの世界じゃ、B級以上のダンジョンに潜れる人間を『プロ』、それ以下を『アマチュア』って、はっきり区別してるの。C級までは、まあ頑張れば誰でも行ける。生活も余裕でできる。


 でもB級からは、選ばれた才能と完璧なビルド構築(理論武装)、そして最高級の装備を揃えた廃人だけが生き残れる修羅の国よ」


 彼女は遠い目をした。


「B級の『業火の悪魔』のファイアボールなんて、耐性75%積んでてもHP半分持っていかれるからね。もし耐性が足りなくて、マイナス補正のまま食らったら?……灰も残らないわね」


 会議室に死の沈黙が降りた。

 彼らは理解した。


 今までのダンジョン攻略が、いかに生ぬるい「遊び」であったかを。

 そして、これから彼らが足を踏み入れようとしている領域が、本当の「異界」であることを。


「……だから」

 KAMIはペンを走らせながら言った。


「いきなりそんな仕様をぶつけたら、あなたたち全滅しちゃうでしょ? だからその手前の『D級』と『C級』で、準備をさせてあげる必要があるの。具体的にはドロップ品の調整よ」


 彼女は仕様書の一部を、ホログラムで共有した。


「D級ダンジョンからは、今までよりも『高い耐性値』がついた装備が落ちやすくする。あと『パッシブスキル』のツリーにも、耐性を底上げするノードへのアクセスルートを緩和する。そういう細かい調整を、今やってるとこなのよ」


 KAMIは四人の男たちをねめつけた。


「万一、調整ミスで死人が出たらまずいでしょ? あなたたち、すぐ『政府の責任だ!』とか騒ぐし。ここは運営として、しっかりバランス調整ナーフしないといけないの。だからD級解禁は、もうちょっと待ちなさい」


 そのあまりにも理路整然とした、そして配慮に満ちた(?)説明。

 これに反論できる者は、この場にはいなかった。


 王将軍も渋々といった体で、しかし深く頷いた。


「……分かりました。そういう事情――『死のデバフ』への準備期間であるというなら、致し方ありますまい。我が国の兵士を無駄死にさせるわけにはいかん」


「ご理解いただけて何よりだわ」

 KAMIはにっこりと笑った。


「準備不足でB級に突っ込んで全滅する未来バッドエンドは、私も見たくないしね」


「……はぁ」

 沢村が安堵のため息をついた。とりあえず直近の危機は回避された。


「ではD級解禁は、KAMI様の調整完了を待つということで……」


「あ、そうそう」

 KAMIが思い出したように言った。


「その調整の一環なんだけどね。合わせて『ユニークスキル』を貰えるオーブを、ドロップテーブルに追加しようかと検討してるんだけど。その相談も必要ね」


「……ユニークスキル?」

 九条が、その不穏な単語に反応した。


「それは以前仰っていた『生まれつきの才能』のようなものを、後天的に付与するアイテムですか?」


「ええ、そうよ」

 KAMIは楽しそうに説明を始めた。


「例えば……『鉄壁アイアンクラッド』。これは自分の装備についてる耐性値を、常に『二倍』として計算するパッシブスキルよ。これがあれば、装備で48%稼ぐだけで95%達成できちゃう。B級のデバフなんて怖くないわ」


「に、二倍……!?」

 トンプソンが身を乗り出した。


「それは強力すぎる! 戦略級の能力だ!」


「他にもあるわよ」

 KAMIは指を折って数えた。


「『狂戦士バーサーカー』。攻撃力を三倍にする。『魔力収束マナ・コンバージェンス』。魔法の消費MPを半分にする。……どれも一つ持ってるだけで、探索者の性能を劇的に変える、切りジョーカーのようなスキルね」


「す、素晴らしい……!」

 王将軍が目を輝かせた。


「それがあれば、我が軍の戦力は飛躍的に……」


「でもね」

 KAMIは悪戯っぽく笑った。


「もちろん『ハズレ』もあるわよ」


「……ハズレ?」


「ええ。例えば……『アイスクリエイター』。1日1回、虚空から美味しいバニラアイスを一本召喚できるスキル」


「…………はい?」

 全員が固まった。


「あと『猫の言葉がわかる(気がする)』とか、『寝癖がつきにくくなる』とか、『足音がラッパの音になる(消去不可)』とか。そういう戦闘には何の役にも立たない、むしろ邪魔なだけのネタスキルも大量に混ぜる予定よ」


「そ、それは……」

 沢村が顔を引きつらせた。


「オーブを使うまで中身は分からない。『鑑定』も不可能。使った瞬間、魂に刻まれる。上書きも削除もできない(高額な課金アイテムを使えば別だけど)。……どう? 最高のギャンブルだと思わない?」


 KAMIは無邪気に笑った。

 だがその提案を聞いた四人の指導者たちの顔色は、一様に青ざめていた。


「……KAMI様。お待ちください」

 九条が冷や汗を拭いながら進言した。


「それは……新たな、そして最大級の火種になるのでは?」


「火種?」


「ええ。探索者の中に、決定的な『階級』が出来てしまいます」

 九条は懸命に説明した。


「『鉄壁』のような当たりスキルを引いた者は、一夜にして英雄となり、国家レベルのVIP待遇を受けるでしょう。一方で『足音がラッパ』のようなハズレを引いた者は、一生その烙印を背負い、嘲笑の的となる。しかも、それが『運』だけで決まるとなれば……。持たざる者の嫉妬と絶望は、これまでの比ではありません。社会の分断を決定的なものにしてしまいます」


「その通りだ」

 トンプソンも同意した。


「『神に愛された者』と『神に見放された者』。その格差が可視化されれば、暴動どころか宗教的な反乱さえ起きかねん。政治的リスクが大きすぎる」


「……価値が不明瞭すぎるのも問題ですな」

 麻生が、財務大臣としての視点で加えた。


「中身の分からない宝くじに、国家予算を投じるわけにはいかん。それに、ハズレを引いた自衛官や兵士の処遇をどうする? 『ラッパの音がする特殊部隊員』など使い物にならんぞ」


 四カ国の総意は「No」だった。

 あまりにもカオスすぎる。管理不能だ。


「……ふーん」

 KAMIはつまらなそうに頬杖をついた。


「だよねー。まあ、そう言うと思ったわ」


 彼女は意外にも、あっさりと引き下がった。


「まあ実装は当分なしかなって感じ。ただね……」


 彼女は少しだけ真剣な目で、彼らを見つめた。


「並行世界は、こういうユニークスキルがあってこそ繁栄してる面もあるのよ。多様性ビルドの幅が広がるし、何より『一発逆転』の夢がある。ハズレが多いからこそ、当たりを引いた時のカタルシスが凄いの。どのみちB級以降の攻略には、必須級の要素になってくるし、いずれは実装した方が良い気はするのよねぇ」


 彼女は空中のウィンドウを閉じた。


「ま、ハズレ枠の『アイス召喚』だって、砂漠の真ん中で遭難した時には命を救うかもしれないし? 使い道がないだけ、損はないわよ。デメリットスキル(呪い)はないように調整してるし」


「いや、価値が不明すぎますって」

 沢村が苦笑した。


「そうね。だから迷い中。一度実装して『やっぱ無し!』って撤回するのは、流石に私でもないと思うし。世界システムの根幹に関わることだからね。……というわけで、ユニークオーブについては『調整中』ということで。とりあえずは、堅実な耐性装備のドロップ率調整を優先するわ」


「ありがとうございます……」

 四人が心底安堵のため息をついた。


 神の気まぐれによる「運ゲー社会」の到来は、ひとまず回避されたのだ。


「私からは以上ね」

 KAMIは伸びをした。


「で? 4カ国の問題は? なんか中国がうるさいみたいだけど」


 彼女の視線が王将軍に向けられる。

 それまで他国の懸念に同調していた王将軍の顔が、一瞬にして強張った。


 彼は、この会議の冒頭で見せていた焦燥の、本当の理由を語らねばならなかった。


「……そうですね」

 王将軍は、苦渋に満ちた表情で口を開いた。


「中国では現在……『探索者至上主義』というのが流行ってまして。少し難儀してます……」


「稼げるということ?」

 KAMIが首を傾げる。


「それなら日本もアメリカも同じでしょ? ゴールドラッシュじゃない」


「いや、質が違うのです」

 王将軍は声を低くした。


「我が国では建前上、あらゆる物は共産党の、そして人民の共有財産です。富も力も党の指導の下に管理され、分配される。それが秩序の根幹でした」


 彼は拳を握りしめた。


「ですがダンジョンは、それを破壊した。身一つで、党のコネも学歴も家柄も関係なく。ただ己の腕っぷしと運だけで成り上がり、巨万の富を得て、そして『暴力』という絶対的な力を手に入れることができる。それが我が国の若者たちを熱狂させてしまったのです」


「行き過ぎた共産主義への反動だな」

 トンプソンが皮肉っぽく呟いた。


「悪口は聞かないことにして」

 王将軍は無視して続けた。


「今、中国全土で探索者の地位が急上昇しています。官僚になるよりも、軍人になるよりも、探索者になることが『成功』だと。親たちは子供に勉強をさせず、幼い頃から武術を仕込み、スパルタ教育で身体を鍛えさせている。『我が子を最強の探索者に!』と狂信的なまでに」


 モニターに、中国の地方都市の映像が映し出される。

 そこには、学校の校庭で数百人の子供たちが、軍隊のような規律で剣術の型を練習している姿があった。


 そしてその周りで見守る親たちの目は、期待と欲望で血走っていた。


「『探索者になれば全てが手に入る』。その思想が蔓延し、党の権威が揺らぎ始めているのです。力ある探索者が地方政府の言うことを聞かなくなりつつある。『俺たちはレベル10だ。文句があるなら力で来い』と……」


「……なるほど」

 KAMIは興味深そうに、その映像を見つめた。


実力主義メリトクラシーの極地ね。管理社会の中国で、最も個人的な『力』が崇拝されるようになるなんて。皮肉だけど、面白いわ」


「面白がらないでください!」

 王将軍が悲鳴を上げた。


「このままでは我が国は内部から崩壊します! だからこそD級を! より強い敵を! より高みへの道を用意し、彼らのエネルギーをダンジョン攻略へと向けさせねばならんのです! 国内で暴発する前に、ダンジョンという『はけ口』が必要なのです!」


 それが、彼が冒頭でD級解禁を急かした真の理由だった。


 攻略のためではない。

 国内に溜まった行き場のない「力」の暴走を、ダンジョンの奥底へと誘導し、発散させるためのガス抜きとしての解禁要求。


「……ふーん」

 KAMIは王将軍の必死の形相を見つめ、そして少しだけ冷めた目で言った。


「まあ自業自得じゃない? 力を求めたのは、あなたたちよ。その力が自分の首を絞めるようになったからって、私に泣きつかれてもねぇ」


 彼女は突き放した。

 だが完全に切り捨てることはしなかった。


「でもまあ、その『熱量』は嫌いじゃないわ。親が子を鍛え、子が親の期待を背負って強くなる。そういう『英才教育』の果てに、どんな怪物が生まれるのか。……ちょっと見てみたい気もするし」


 彼女はニヤリと笑った。


「いいわ。D級の調整、少し急いであげる。その代わり、中国のその『探索者学校』のデータ、詳しく送ってちょうだい。育成カリキュラムの参考にさせてもらうから」


「……は、はい! 感謝いたします!」

 王将軍は安堵でその場に崩れ落ちそうになりながら、深々と頭を下げた。


「さて、今日はこんなところかしら」

 KAMIは立ち上がった。


「D級は近いうちに来るわよ。耐性装備、しっかり集めておきなさい。特に中国は、その自慢の英才教育を受けた子供たちが、最初の部屋で全滅しないように気をつけることね。……今のままだと、ただの『無鉄砲な特攻隊』にしか見えないから」


 痛烈な忠告を残して、KAMIは姿を消した。


 後に残された四人の指導者たちは、それぞれの重荷を背負い直した。


 日本は調整地獄。

 アメリカは格差と銃社会の歪み。

 ロシアは経済の閉塞。

 そして中国は、制御不能な力への信奉。


 ダンジョンという劇薬は、それぞれの国の急所を的確に突き、その傷口を広げつつあった。

 だが彼らはもう止まることはできない。


 傷つきながらも前へ進むしかないのだ。

 95%の耐性を確保するために。

 そしてその先にある、まだ見ぬ「B級」という絶望(と希望)にたどり着くために。


 彼らの眠らない戦いは、いよいよ人類の生存を賭けた総力戦の様相を呈し始めていた。



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― 新着の感想 ―
 歩くたびにラッパ音・・・タップダンスとかあるから新しいダンスや人体を演奏に利用した奴みたいなのが生まれるのでは?
平行世界のデータがあって助かってるねぇ
会談の場で採掘系と採取系ダンジョンの話題が出てこないようだけど、どうなってんのかなー。 あれ、認識次第で化けそうなコンテンツでは。 財務大臣としてのダンジョン大臣とかどう捉えてるのか気になりますね。
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