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第93話 陛下の行動

あとがきを書いているので、読んでくださると嬉しいです。

よろしくお願いします。


「やはり、こうなってしまいましたか……」


 私――イェレミアス・アスタラは目の前の光景を見てため息をついた。


 本来ならこうなる前に、決着をつけたかった。

 しかし、そうなってしまってから言っても仕方ない。


 今この状況をどうにかしないといけない。



 数時間前にベゴニア王国が襲われ、兵士にすぐに指示を出した。


 そして指示を出してから私が向かった先は、レオナルド陛下のもとだった。


 普通の王だったら、このような急襲があれば王宮に留まるだろう。

 それか裏道などから逃げ、姿を隠すだろう。

 王である者が殺されれば、このような戦いは完全に敗北となってしまうからだ。


 しかし、我がベゴニア王国のレオナルド陛下は違う。


 私は陛下の部屋の扉に着き、軽くノックしてすぐに開ける。

 いつもなら返事をするまで待つのだが、今は緊急事態だ。


 中に入ると陛下と、メイドと執事の姿があった。

 他にも何人かのメイドが部屋にいて、その方々は私に気づいて会釈をしてくる。


「陛下! 剣をお収めください!」

「何を言う! 敵が目の前まで来ているというのに、王である俺が出ずに誰が出るのか!」

「陛下だからこそ、出てはいけないのです!」

「なんだと!」


 陛下がメイドと執事二人と言い争いをしている。

 それを他のメイド達が為す術もなく見守っている状態だ。

 陛下の格好はいつもの執務用の服ではなく、鎧などを来て完全に武装している。


「陛下、イェレミアス・アスタラです」

「おお! イェレか!」


 言い争いに夢中になっていた三人に声をかけ、陛下が私を見て笑った。

 どうやら味方が来たと、勘違いしているようだ。


「イェレからも言ってくれ! こいつらが俺に逃げろと言うのだ! なぜ王である俺が民を置いて逃げないといけないのだ!」

「イェレミアス様! 陛下をお止めください!」

「私達が何を言っても聞かないのです!」

「俺の命令を聞かないのはお前らだろ! 俺、王だぞ!? 王の命令を聞け!」


 王である権限を用いてまでメイドや執事を退かそうとするが、いつも従順であるはずの二人は退かない。


「いいえ! 貴方様が前線に向かおうとするからいけないのです!」

「万が一を考えて武装するのはいいですが、なぜ前線に行こうとするのですか!」

「俺が前線に出ないでどうするのだ!」

「「貴方が前線に出てどうするのですか!」」


 陛下の言葉に、メイドと執事の二人が同時にそう言った。


 お互いに全く引かない言い争い。

 お互いがお互いを思って争っていると思うと、場近いだが笑みがこぼれてしまいそうになってしまう。


「イェレ! お前はどう思う!?」


 陛下が私に意見を求めてくる。


 ならば、私はこの争いを見て思っていることを言いましょう。


「ええ、正直に申すのならば」

「ああ、こいつらに言ってやれ!」

「何を馬鹿なことをおっしゃっているのだろう、このアホ陛下は、です」

「ああ、本当に馬鹿なことを言って……何で俺なんだ!?」


 私と一緒にメイドと執事を説得しようとしていた陛下だったが、私の言葉を聞いて驚いた。


「お前まで何を言うのだ!」

「なぜ一番に守るべき貴方が、一番危ない前線に行こうとしているのですか」

「一番に守るべきなのは俺ではない、この国に住む民だぞ!」


 そう叫んで私を睨む陛下。


「まさかお前、俺が言ったことを忘れているのではないか?」


 陛下が言ったこととは、私達騎士団が第一に守るべきなのは民であるということ。


「それこそまさかです。騎士団の皆含め、私も陛下の言葉を身に染みていますから」

「ではなぜ俺を守ろうとする」

「貴方が、この国に住む民だからです」


 私がそう言うと、陛下は目を見開いた。


「……なるほど、そう考えるか」

「はい、貴方様が死んでは例え民が生き残ったとしても、それを導く者がいません」


 それを聞いて声を荒げていた陛下は少し冷静になったようだ。


「そうか、そうだな。すまない、俺もいきなりのことで少し冷静を欠いていたようだ」

「お分り頂ければ幸いです」

「お前らも、すまないな」


 先程まで言い争っていた執事とメイドに謝る陛下。


「いえ、大丈夫です」

「はい、陛下が暴走するのはいつものことですから」

「うむ、あのまま邪魔され続けていたらお前らを斬っていたかもしれん」

「シャレにならないのでやめて頂いて本当に良かったです」


 実際に剣を持っている陛下が言っていい冗談ではない気がしますが……まあ落ち着いたのならいいです。


「だが、本当に危なくなったら俺は出るぞ。戦う力を持っている者が戦わないでどうするのだ」

「わかりました。その時は私もお共します」


 そしてその場は一度収まった。


 しかし、それから戦いが始まると何度も陛下は前線に行こうとしてしまう。

 それを止めるために私や執事、メイド達が必死に止めていた。



 だが、もうここまでだ。

 私と陛下の意見が一致する。


 裏門が大きな爆発によって前線が崩れ、危ない状況になってしまった。

 ここで出ないで、いつ出るというのか。


 私が先に裏門を出て、戦おうとしたのですが……。


 重い鎧を着ているはずの陛下が後ろから私を追い抜いて、そのまま敵に剣を振り抜いた。


「やはり、こうなってしまいましたか……」


 敵を一人殺した陛下が、剣を上に掲げ叫ぶ。


「我がベゴニア騎士団の皆よ! 今こそ踏ん張る時だ! 俺に続けえぇ!!」





来週の金曜、1/18に「死に戻り、全てを救うため最強へと至る」が発売されます!

伝えるのが遅くなりましたが、表紙なども公表されています。

貼る方法がわからないので、活動報告の方にガガガ文庫のサイトを貼っておきますのでよかったらご覧ください。

自分はTwitterもやっているので、そこでは色々と情報を発信していますのでよかったらフォローお願いします。

そしてもうすでにAmazonなどで予約ができるようなので…よろしくお願いします!


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