第43話 一緒の部屋
「えっ……なんで43話途中で終わってるの? めっちゃ書いた覚えあるのに。もしかして……保存しないで消した?」
と、昨日なっていました。
……萎えて一日空けてしまったのを許してください。ごめんなさい。
夕飯を食べ終わり、俺とユリーナさんは部屋に戻ろうとする。
ティナとは食堂で別れたが、その時に念押しするように、
「エリック、さっき言ったこと……忘れないでね?」
と言われて、身を震わしながら返事をした。
「エリック、ティナが言ったことというのはなんなのだ?」
「……余計なことしないで早く寝ろよ、ってことです」
うん、マジでそういう意味だと思う。
そうすればティナが言ったことを守れるから、そう思っておこう。
「そうか。ふふふ、ティナが私と同い年と聞いてビックリしたが、ちゃんとお姉ちゃんしているんだな」
先程食堂で食べているときに二人は自己紹介をしたが、ユリーナさんはティナが俺と同い年かそれ以下だと思っていたらしい。
俺達の様子を見ていると、俺の方がお兄ちゃんに見えたようだ。
まあ一応歳はティナの方が上だが、俺の方が前世を加えれば生きている年数は上だからな。
そう見えるのも仕方ないだろう。
「エリック君」
部屋に戻る道を歩いていると後ろから声を掛けられて、振り向くとイェレさんがいた。
「少し聞きたいことがありまして」
「なんでしょうか?」
「あなたのお願い事についてです」
お願い事……?
あ、そうか。クリストを探して欲しいって言ったんだった。
「探している人物がいるという話でしたが、その人物のお名前を聞いておりませんでした」
「あ、すいません。クリスト、という名前です」
「クリスト……姓の名は?」
「すいません、わからないです……」
あいつの名前はクリストとしか聞いてなかった。
前世の頃は名前だけ聞いてそう呼んでいたからな……しっかり聞いておけばよかった。
「クリスト、ですか。それだけしか情報がないと少し時間がかかってしまいますが、よろしいでしょうか?」
「はい、大丈夫です。すいません、大変なことをさせてしまって」
「いえ、国を救ってくれたお礼なのでこのくらい大変の内に入りませんよ」
イェレさんは快く引き受けてくれた。
「では、明日も早いのでもう休んだ方がいいでしょう。おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい」
「ユリーナさんも、おやすみなさい」
「はい、お疲れさまです!」
声をかけられたユリーナさんはしっかり敬礼のようなポーズを取って挨拶をした。
イェレさんが去っていくと形を崩し、また部屋へと歩き出す。
ユリーナさんは今の会話を聞いて驚いてるようだ。
「団長に頼みを聞いてもらえるとは……エリックは何をしたんだ?」
「自分の村を守っただけですよ」
「そうなのか? だがそれぐらいなら少しの謝礼金が出るだけだと思うが……騎士団団長にお願いを聞いてもらえるほどになるのか?」
俺の村を救ったことによって、この国が救われたということだからだろうな。
「まあ国にとって重要人物を倒したということもあって、お礼を聞いてもらえるようになりました」
「そうか、だがクリストという名前……貴族では聞いたことないな。市民の中には居るかもしれないが」
そりゃそうだろう。あんな適当な奴が貴族なわけない。
「見つかるといいな、その人が」
「ありがとうございます」
しかし、見つけてもどうすればいいかは決まってない。
前世の頃の記憶は俺しか持っていないから、クリストにとって今の俺はただの他人だ。
ただ俺はあいつの無事を確認したいだけだが……こっちでもしっかり親友としてやっていきたい。
しばらく歩いていると、部屋に着いた。
中に入り、各々寝る準備に入る。
この寮は大浴場もあるらしいが使えることはほとんどなく、お風呂は部屋についているものを使うようだ。
大浴場は一ヶ月に一回だけ湯が入り、その時は騎士団全員が入るらしい。
「ユリーナさん、先に入っていいですよ」
「そ、そうか? それなら、お言葉に甘えて」
少し緊張している様子のユリーナさんは、お風呂のドアを開けて入っていった。
さすがに仲良くなったとはいえ、今日初めて会う男と同じ部屋なんて緊張するに決まってるよな。
数分後、シャワーの音が聞こえてきた。
音だけしか聞こえないはずなのに、何か妙な気持ちになってきてしまう。
逆に音だけだからこそ、何か変な想像が思い浮かんでしまうのだろう。
何か、違うことを考えろ……! なんでもいい……!
……ダメだ、何も思い浮かばない!
いや、むしろ何も考えるな! そうだ、瞑想しよう!
目をつぶって何も考えずに、集中し始める。
すぐにシャワーの音さえ聞こえなくなって、自分の世界に入ることに成功する。
「え、エリック? ちょっといいか?」
「は、はい!?」
いきなり話しかけられて声が裏返ってしまった。
どうやらシャワーの音が聞こえなくなったのは、シャワーが止んだからだったらしい。
お風呂場の方を見ると、ユリーナさんが顔だけ覗かせていた。
「その、いつもの癖で服を持つのを忘れてしまって……シャツとズボンだけ取って渡してくれないか? それだけ着れば、君の前には出れるだろうから」
「わ、わかりました」
今まで一人だったら、風呂場に服を持っていくのを忘れても無理はないか。
言われた通りにカバンを少し漁らせてもらって、シャツとズボンを取りだす。
しかしそれをカバンから出した時に……一緒になって出てしまったものが目に入ってしまう。
それは赤いブラジャーであった。
派手な色だが、パンツの方も赤だったので色だけ見たらそこまで驚かなかっただろう。
俺を驚かせたのは色ではなく……そのサイズだった。
男の俺から見ても、とても大きいと思わせるようなものだ。
だが、今日ユリーナさん一緒に行動していたが、そこまで大きいと思わなかったが……。
「エリック? あったか?」
「は、はい!? あ、ありました!」
またも声が裏返ってしまったが、とりあえず服をユリーナさんに渡す。
手渡す時になるべくそちらを見ないように。
「あ、ありがとう」
ユリーナさんは頭を引っ込めて、着替え始めた。
そしてすぐにお風呂場から出てきたのだが……。
「――っ!?」
大きい。
何がとは言わないが……いや、言わなくてもわかってしまうが、大きい。
シャツの膨らみが尋常じゃなく豊満だ。
今日一緒にいてそんなに大きいとは全く感じなかったが、なぜいきなりそんな……!
「あ、あんまりジロジロ見るな!」
「す、すいません!」
俺の視線があからさま過ぎたのだろう。
ユリーナさんは胸を隠すように腕を組み、赤い顔のまま睨んできた。
俺は身体ごと顔を背ける。
「こ、これはその……訓練とかの時邪魔だから、いつもはサラシを巻いているのだ……! だがサラシはキツイから、寝るときは外して……!」
「そ、そうだったんですか。本当にすいません!」
「い、いや、こちらこそ。見苦しいものを見せてしまって……」
「そんなことは!」
「えっ……?」
ダメだ、この会話は絶対に良くないところまでいってしまう。
「俺、風呂入ってきます!」
俺はちゃんと替えの服を持ってお風呂場へと駆け込んだ。
そして服を脱ぎ風呂へと入る。
ていうか、ユリーナさん一度脱いだ服をもう一回着れば俺に探させなくてもよかったんじゃ……。
まあ、緊張とかもあってそこまで頭が回らなかったのだろう。
俺は風呂に入って、最初にお湯ではなく水を頭からかぶる。
熱くなった顔や頭を冷ましてくれる。
はあ……一日目でこんなんじゃ、この先どうなるか……。
イェレさんは他の部屋が空いたらすぐに移ることはできると言っていたが……それがいつになるかもわからないし。
早く部屋が空くのを願うばかりだ。
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