表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/174

第174話 人体実験



「人体、実験……!」


 最悪な文字が見えてしまい、俺は思わず呟いてしまった。

 あまり大きな声ではなかったから見つかる心配はないだろうが、気をつけないと。


 だが本当に、まさかこんな情報が隠されていたなんて思わなかった。


 人体実験の情報が書いてある書類を何枚か読んでいく。


 十数枚に渡る書類に、人体実験の結果が書いてある。

 一枚一枚に、複数の実験の結果が書かれているのを見て、思わず書類を掴む手に力が入ってしまう。


 一枚の書類に、複数人の人体実験の結果が書いてあるのだ。

 書類に書いてあるものを読むだけで、虫唾が走るような実験ばかり。


 書いてある実験は短く適当にまとめられたものが多い。


 例えば、「電気による筋肉への刺激、活性化を実験。三人にやったものの、二人は壊れ、一人は壊れなかったが特に変化は見られなかった」とある。


 この一行か二行にまとめられた実験結果に……人間が二人も死んでいるのだ。

 本当に、反吐が出るような書類だ。


 最初の方の日付を見る限り、十数年前から人体実験を行っているようだった。

 十数年間も、こんなことをやっているのだ。


 しかし数年前からこの国は、奴隷制度を禁止している。


 だから書類を見ているとその年から、人体実験の数が確実に減っていた。

 だが……減っているだけで、なくなっているわけじゃない。


 この書類を見ている限り、ハルジオン王国での奴隷制度がなくなっただけで、他の国がなくなったわけじゃないのだ。

 だから他の国から奴隷を買い取って、人体実験をしているようだった。


「クソが……」


 この書類を読んでいるだけで本当に胸糞が悪くなる。

 だがこれに書いてある情報をしっかり読まないといけないので、それを我慢して読んでいく。


 ここの貴族は人体実験に金を注ぎ込んでいるようで、直接その実験を行なっているわけじゃないようだ。

 しかし罪としては同罪だ、この書類を然るべき場所に持っていけばここの貴族はおそらく死刑になるだろう。


 それに金を投資しているのはここの貴族だけじゃなく、他の貴族やいろんな国の有力者達も出資しているようだ。

 そこまで人数は多くないが、こんなことをやっているとは。


 俺は一枚一枚読んでいっていたが……最後の方に行くと、一つの実験に目が止まる。


「これは……」


 その実験は一人に対して行われている実験のようだ。

 今までやってきた効果のある実験をほとんど全てその者に行っても、壊れない。


 人体実験にとても適した身体だとその書類では書かれていた。


 その後、複数回にわたってその一人に対して実験を行なったようだ。

 並行していろんな人間にも実験を行なっているが、どの人も「壊れた」と書かれて終わっている。


 しかしその一人だけは、その身体に何回も何十回も人体実験をされても、生きているようだ。

 最後の書類を読んでもまだその人が「壊れた」と書かれていないので、その人はまだ死んでないのだろう。


 数年前から奴隷となって、人体実験を受け続け……今もなお生きている。 



 この人は誰なのだろうか。

 何か……嫌な予感がする。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ