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『学園のトップ3美女がバ先で全員俺の部下 ~君たち高嶺の花なんだから、平凡男子に甘えるのはやめましょう』  作者: 波瀾 紡


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【第60話:いよいよ始まる】

***


 怒涛のランチタイムも終わり、忙しさも少し落ち着いた。

 カウンター裏のごみ箱を整理しながら、ほっとひと息ついたところで思い出した。


 そう言えば浜風さんも京乃さんも、ちょっと様子が変だった。

 明らかによそよそしい感じだった。

 とうとう俺は愛想を尽かされて、嫌われてしまったんだろうか。


 そうじゃないと思いながら、不安な気持ちも拭いきれない。

 そしてその不安な気持ちが、胸の苦しさにつながっている。


 そう。これは今までは感じたことのない胸の苦しさだ。


 実際のところはどうなのか、二人に確かめたい。

 だけどもしも「はい。嫌いになりました」なんて言われたらどうしよう。

 不安が先に立って実行できない。


「ねぇ雄飛君。今日はお店が終わった後、何か用事はある?」

「ふわぅっ!」


 突然神ヶ崎が後ろから声をかけてきた。

 色々と思い悩んでるところだったから、マジびびった。

 心臓が止まって死ぬかと思った。


「どうしたの?」

「あ、いや別に。突然だったからびっくりしただけ。店が終わった後は、特になにもないよ」

「じゃあちょっと話したいことがあるから、時間を取ってくれるかしら?」

「え? 神ヶ崎が話したいこと?」


 あまりに意外すぎる申し出に、思考がフリーズした。いったいなんの話なんだ?


「いえ、私と言うか……雅と鈴々がね」

「二人が?」


 ……あ。察した。

 やはり心配していたことは事実だったのか。

 二人が俺に、何か文句を言いたいということか。


「うん。また詳しくは閉店後に私から説明するわ。いい?」

「ああ、わかった」


 京乃さんと浜風さんが話があるのに、なぜ神ヶ崎が声をかけてきたのか。

 そんな疑問も湧いたが、きっと直接俺には言いにくいんだろう。


 仕方ない。まずは二人の言いたいことを聞こう。

 そして俺に悪いことがあるなら、全力で謝るしかない。


 ──そう覚悟を決めた。


***


 閉店後、片付けも終わって本日の業務が完全に終了した。

 親父は俺達が何か話をすると聞いて、「じゃあ後はよろしく」と言い残して先に帰った。

 女性陣は、今は三人とも更衣室で着替えをしている。


 俺は神ヶ崎に言われたとおり、客席の所で待っていた。

 審判を待つ受刑者の気分だ。


 そこに着替え終わった神ヶ崎が一人で現れた。


「お待たせ」

「あれ? 一人?」


 俺に話があるのは、京乃さんと浜風さん……だったはずだよな。


「ええ。先に説明したいことがあるの。いいかしら?」

「ああ、うん」


 説明? いったいなんなんだ?

 訳がわからなさすぎて怖いぞ。


「今から雅と鈴々が、それぞれ個別に雄飛君にお話をするんだけど、私からあなたにお願いがあるの」


 神ヶ崎の真剣な眼差しに、ごくりと唾を飲み込んだ。


「一つ目は、二人の話を真剣に受け止めてほしいの」

「……あ、うん。わかった」


 これから聞かされる話は、冗談でも悪戯でもないってことだな。

 そして俺に、『覚悟しなさいよ』と、そう言いたいんだろう。


「それともう一つ。私も含めて三人とも、この店が好きだし、これからどういう結果になろうとも、今後もこの店で雄飛君と一緒に働きたいと思ってる。それはわかってほしいの」


 ……ということは、俺のことが嫌いだとか、バイトを辞めたいという話じゃないってことか。

 うわ、よかった。ほっとした。


 でも待てよ。『これからどういう結果になろうとも』ってどういう意味だ?

 何か大変なことが起こりそうで恐いんだけど……


「いいかしら?」


 彼女たちは三人とも、この店を好きだと言ってくれている。

 今後もこの店で俺と一緒に働きたいと言ってくれている。


 ということは、店運営に関する俺への苦言や要望だという気がしてきた。

 そこまで言ってくれるなら、俺も彼女達の言いたいことをしっかりと受け止めなきゃな。


「あ、ああ。わかった」

「それじゃあ雄飛君はここで待ってて。あの子たちを呼んでくるわ。最初は雅からね」


 そう言い残して神ヶ崎は客席フロアから、更衣室のあるバックヤードの方に出て行った。

 いったいどんなことを言われるのか、ドキドキして待っていると、奥から京乃さんが現れた。

 黒髪の美少女はいきなりぺこりと頭を下げる。


「ごめんなさいね雄飛さん」

「いや別に大丈夫だよ」


 俺のすぐ目の前にまできて、彼女は立ち止まった。

 そしてまっすぐに俺の目を見た。


 いったい何を言われるのか。

 ディスりだろうが愚痴だろうが、苦言だろうが厳しい要望だろうが。

 どんなことであっても、真正面から受け止めよう。


 俺はそう覚悟を決めた。


「雄飛さん!」

「はい」

「わたし、京乃 雅は、秋月雄飛さん、あなたが大好きです!」


 ……は? なんですと?


 一瞬、京乃さんの言葉の意味がまったくわからなかった。

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