16.まずは慣れること
「手始めに君たちには自分以外全員が敵となる、通称:フリー・フォー・オールを行ってもらう」
ほほぉー、ゲームみたいで楽しくなってきたねー。
ついニヤニヤしちゃう。
「ルールは簡単だ。
最初に30キルしたものが勝ち、やられても何度でもリスポーン可能だ!
死んだらもう一度ポッドのボタンを押せば、また演習場:レステイゲンに戻ってくる。
なお、復活位置は人のいない場所にランダムとなる。
途中スコアや自分の周囲の地形は左手首のデバイスに表示出来るぞ。
なにか質問はあるか?」
ふひひ…まんまゲームだねぇー。
「先生死んだらデメリットはあるんですか?」
ゲームと一緒なら特にないのでは?
「んー、今回のルールはデス数ではなく、キル数だからな。特にデメリットはないが、強いて言えば、復活するまで最速でも10秒くらいかかることだな」
確かにそれはデメリットだね。クラスメイトに安堵の色がでる。
「あぁ。それと死ぬのは痛いぞ!」
……え??
付け加えられた情報は、1番気になる部分だった。
「え?先生?」
「アバターとはいえ、繋がっているんだ。死ぬ程の痛みは体感してしまうぞ。
大丈夫だ、君たちならできる。ここまで訓練を詰んだのだ!
なに、大体は一瞬だ。アバターが死んだら、意識は本体に戻るから痛みも一瞬でなくなる」
......つまり、そうじゃなかったら苦しむと。
「ハハハっ!
不安なら装備の所に瞬間回復薬があっただろう!あれも演習でならコストが掛からないから、使っても大丈夫だぞ!
まぁ、時間経過でアバターの傷は回復する。それまで痛みに耐えるだけだ。」
レイン先生、笑ってるぞ。
「お、俺は装備変えよ……」
「僕もそうする...」
イーノスとロブは瞬間回復薬を使うつもりか...
ちょっと怯むよねー。
「後は質問あるか?
……よし、ないな!
最後に、絶対の注意点だ!
あくまでも死んで大丈夫なのはこの演習場の中だけだから、勘違いするなよ!たまに錯乱する者がいるからな。不安になったら左手首のデバイスを確認しろ。
皮膚にくい込んで固定されているのがアバターである証拠だ。
慣れれば大丈夫だ。まずは体験だな、1度死んでみることだな。そうしたら演習ルームに戻ってくるように!
じゃあ、全員私に習って、自殺するんだ!」
なんの躊躇もなく、レイン先生がハンドガンをこめかみにあて、躊躇なく引き金を引いた。
バン!!
血飛沫が舞い、ドサッとその場に崩れ落ちるレイン先生。
………見た目は死んだようにしか見えない。血が流れ、広がっていく。
ちょっとグロテスク表現が明瞭過ぎるよ、これ。
あまりのことに、みんな声を発することが出来ていない。
10秒くらいだろうか、倒れたレイン先生がうっすらと透明になり始め、直ぐに消えてしまった。
.....なるほど、ゲームと同じってことね。
「ザザ……まぁ、こんな感じだな!
ほら、全員一旦、死んで戻ってこい!コツはビビらない事だ。外した方が痛むからな!」
アナウンスのように聞こえてきたレイン先生の声...
うーん、現実としてこれを簡単に受け入れるのは、中々な状況になるんだなぁ。
ゲーム知識がない人にとって、急に受け入れ難いものだろう。始めは想像しにくいはず。
案の定、みんな動けていない。
しょうがない、私が先陣を切るか…
「じゃあ、私から...」
「リリちゃん!?」
シア達が心配そうに見てくるが、大丈夫だ。
時計が腕に埋まっているし、間違いなくアバターだよ。
「大丈夫、勇気を出してね」
性格的に1番大変そうなミシェルに声を掛けてから、少し離れる。
「じゃ、お先に!」
ハンドガンをこめかみに当てて、引き金を引く。
瞬きした瞬間にはポッドの中だった。
「ヘッドショットなら痛みはないんだね」
ポッドの内側にある、解放レバーを引き、ポッドから出る。
演習場の至る所を映したたくさんのモニターの前にレイン先生が立っていた。
なるほど、ここからなら全体が見れるな。
「...リリーナ、早いな」
「えぇ、生き返る出来るので」
「そ、そうか、大抵は時間かかるんだがな。ほら、見てみろ」
__
「リリちゃんが消えちゃった!!」
「ア、アバターなんだよね!?」
「だ、大丈夫なんだよな!!」
シアもミシェルも慌ててる。イーノスもビビってるのは意外だったね。
「う、うん...本物なら死体が消えるなんてありえない……」
カンナちゃんはまだ冷静だね。次はカンナちゃんかな?
_
「先生、私も喋っていいですか?」
この様子なら少し押せば続々と続くだろう。
「あぁ、ここだ」
「おーい、みんな大丈夫だから早く〜、演習やろうよ」
_
「ふふっ、リリーらしいね。待たせちゃ悪い。先にやるね」
バン!!
カンナちゃんの銃声が響く。
「……、うぉー!!俺もやるぞ!」
バン!!
ハーヴィンも続く。
_
この調子ならそんなに掛からないかな。
「やはり1人目が出ると早いな...」
「私、早くフリー・フォー・オールやりたくて!」
「そ、そうか」
「ここは放課後も使用できるんですか?」
たくさんやりたいんですけど!
「できることはできる。が、演習場の使用は教師の引率が必要だ」
あー、勝手に使えないのかー。
「まぁ、私の都合が合えば付き合ってやる。事前に話してくれ」
「はい!ありがとうございます!!」
やったぜ!!これはありがたい。
「もしかして、ここと違うマップもありますか?」
「察しがいいな。この基地にはあと2つあるぞ」
2つも!?どのマップだろう?
ますます楽しくなってきたぞぉ〜!!
「先生!!毎日でもお願いします!」
「...ま、毎日は難しいかもしれないが、可能な限りいいだろう。
引率を辞めることも出来ないしな」
「引率は絶対なんですね」
「あぁ、この死なないが痛みを与えるシステムを利用して、いじめが行われた事があってな。それ以来引率が無ければ利用出来ないようになっている」
あー、
確かに悪用しようとしたら、ヤバいシステムだね。どれだけ痛みを与えても本物じゃないから、証拠が残らない。が、精神的にはかなりキツイものとなる。
うん、絶対許可が必要な形にするのがいいね。
「先生も大変ですね!」
「ふっ、お前が言うな。
なんなら私も相手しよう。せっかくだ私の訓練にもなるしな」
「やった!やっぱり相手がいないと面白くないですからね」
「手加減しないからな。
お、どんどん戻ってきたな」
私が戻って来てから15分後、最後にミシェルが戻ってきて全員が揃った。
いよいよ、フリー・フォー・オールが始まる。
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