何が何でも切実に、逃れたい縁談2
最近、時間が経つのが本当にあっという間で……皆様、投稿が遅れて本当に申し訳ありません。
私事ですが、12月くらいから毎月ずっと残業時間が40時間超えている毎日。
なんとか残業限界時間内に納めようと四苦八苦している今日この頃。
ここ数カ月はなんか感覚も麻痺してきて、定時に帰れないことが気にならなくなってきました。
「家と交流のある侯爵家……祖父の、若かりし頃の上官に当たる侯爵の孫息子は、俺の祖母が初恋なんだそうだ。そのせいか、子供の頃からいやに絡まれる。会う度に、俺は男だと言っているにも関わらずドレスを勧められる。近頃は現物をわざわざ押し付けてくる始末だ」
そんなものを手渡されて、誰が着るか。そもそも、喜んで着るとでも思っているのか? 馬鹿かアイツ。
心底忌々しそうに、ヒューゴは吐き捨てる。
いや、うん、なんというか……居たたまれないね? 特に最近、クラスの出し物って名目はあるものの、率先してヒューゴに女装っていう苦行を押し付けていた一人として、大変居たたまれない。すまん、ヒューゴ……君にそんなトラウマになってもおかしくな背景があるとか思わなかったんだ。
「やめてヒューゴ君、それ以上は言わないで!」
「やっべぇ、思った以上に厄介ごとのニオイが! 巻き込まれる! 野次馬の俺達まで巻き込まれそうだから、そこでストップして!」
「それ以上はミシェルと二人きりになってからお話しようぜ!?」
「なお、その某侯爵家の孫息子は、跡取り息子の長男様だ」
「ますますもって厄介ごとの気配しかしねぇー!?」
「その厄介事に、俺はもう十年以上晒され続けている」
わな、と。
微かに震えるヒューゴの拳をそっと両手で包み込み、私は真心を込めてヒューゴに声をかけた。
そう、そうだ。今の私の正直な気持ちをありったけ込めるんだ。
「ごめん、ごめんねヒューゴ……君にそんな事情があるとか、微塵も思わずにレディシルバーとかやらせてさ。だってはまり役だったんだもん。お色気くのいち」
「別に……ミシェルやナイジェル君は侯爵家の勘違い野郎とは違うって、わかるし。本気で俺の事を女扱いしてる訳じゃないのは、わかるからいい。くのいちがなにかは知らないけど、ネタ扱いなら逆にアリなんだ。ただしガチめな奴は闇夜に気をつけろよ?」
「闇夜で何する気?」
侯爵家令息、あいつは駄目だ。
きっぱりとそう言うヒューゴの目には、決然とした光。これは色々溜め込んでいそうだな、おい。
「えーと……纏めるとなんだ? ヒューゴがミシェルを嫁に欲しいのは、侯爵家の息子への対抗措置としてってことか?」
「えー? でもそこまで警戒せんでも、どうせ野郎同士なんだから結婚させられるなんてことはないだろ」
「………………」
「……おい、その意味深な沈黙はなんだよヒューゴ」
「え……まさか、嘘だろ? 嘘って言って、ヒューゴどん! 流石に法律は曲げらんねえだろ!!?」
「バカ息子本人とじゃない。その妹と結婚させられそうな可能性がある」
「あ、ああ……なんだ、妹」
「そしてその令嬢は、俺ではなく俺の父上が真の狙いだ」
「うそん! ヒューゴの親父さん、若い令嬢受けあんまり良くなさそうなビジュアルなのに!? 外見の事をとやかく言うのもなんだけどさ!」
「その令嬢は、どうやら……性格の穏やかな筋肉が好きらしい」
「……穏やかな性格の筋肉」
はて、気のせいだろうか。
今この瞬間、ヒューゴの言葉を受けて……少なくない視線が、エドガーに向けられたような?
クラス一、いや学年一の筋肉量を誇り、令嬢口調がデフォルトなせいで人当りマイルドに見えるエドガーは……そう言えば穏やかな筋肉ってジャンルに分類しても間違いではないような?
「俺は対象外だが、父や祖父はドンピシャなようだ。そして祖父の場合は寡夫ではあるが、若くして亡くなった祖母が美貌で名を馳せているだけに、狙い薄と判じての父狙いという事らしくてな……当家は母が健在なんだが」
「やめろよヒューゴ! これ以上どろっとした何かをぶちまけるのは!?」
「マジでやめて、俺達はもうお腹いっぱい!」
「でもまあ、いざとなればその令嬢にはエドガーを紹介すれば良いんじゃね」
「わたくし!? え、今何の前振りもなく巻き込まれましたわ!?」
「ああ、でもエドガーって伯爵家の嫡男じゃん? 侯爵直系の孫娘なら、身分的には釣り合うんじゃね……?」
「止めてくださらないこと!? わたくしだって、そんな厄介臭しかない御令嬢は御免ですわよ! あとわたくし、長男ではあっても跡取りではありませんので、将来的には家を出される予定ですの。侯爵家のお嬢様なんて、一騎士には釣り合いませんわよ!」
「え、長男だけど後継ぎじゃないんだ……ごめん、なんか複雑な事情とかあった……?」
「いいえ? 単にお父様の采配ですわ。体面がよろしくないので、この口調を改めるか爵位を諦めるか選びなさいと以前に言われましたの」
「それで跡取りじゃないって事は……」
「家を出て騎士になる事を選びましたわ。幸い、肉体は丈夫で頑丈、体質も恵まれていましたもの」
「爵位より口調を取ったのかよ! すげえ、潔いなエドガー! 知ってたけど!」
「それで急に跡取りに抜擢された弟さんの反応が気になるぜ! 兄を前に喜んだのか、恨んだのか……」
「あら、それでしたら喜んだ方ですわよ。将来、家を出て一人でやっていく自信がなかったので助かったと言っていましたわね。お父様にマンツーマンで教育を受けられるし、家を継いだ後も補佐が望めるので願ったりかなったりとのことでしたわ。後はお父様が健在な若い内に結婚して子供が生まれば完璧だと言って、幼馴染の御令嬢へ意気揚々と告白に行きましたわ。わたくし達と同じ歳で弟からすればちょっと年上ですけど、伯爵の身分であれば求婚も成功率が上がると言って」
「弟くんの行動力……! 兄貴の方は女っ気ゼロなのに!」
「まあ、振られて帰ってきましたけれども」
「弟くん……!」
「既に家の力を駆使して年上の初恋のおにいさんとの婚約を取り付ける事に成功しているので、私の弟はお呼びじゃないとの事でしたわ。あと、単純に年下は好みじゃないそうですわ」
「弟くん……っ!!」
なんだろうね、この流れ。
ヒューゴのお家の事情に引っ張られたのか、予想外に友人の特に聞いてもいない事情がぼろぼろ出てくる不思議。
しかし何故だ。
エドガーが意味ありげに、若干の申し訳なさと憐れみがブレンドされた目で私を見てくる。
「ちなみに弟を振った御令嬢、エスメラルダ嬢というのだけれど」
「あれあれー……? どっかで聞き覚えありますわー」
具体的に言うと私の幼馴染的親友で、将来の義姉が同じ名前な気がするよ。
ついでにいうと国内で、私達と同じ年齢で、エスメラルダって令嬢ひとりしかいなかった気がするよ……? けど多分、うん、きっと気のせいだよね!
うちの長兄の婚約者が、エドガーの弟の恋敵とか、そんな微妙に面倒くさそうな予測はきっと気のせい。世間はそこまで狭くないはずだ。
「ミシェルの兄君の婚約者ですわ」
「気のせいじゃなかった……! やっぱお兄様と婚約しているエスメラルダだった!」
マジかよ!? あのツンデレこじらせたお兄様にだけ素直じゃないエスメラルダちゃんが!?
うっわ、将来的に面倒なことにならないよな!?
そんなことになったら、世話焼きで心配性なお兄様の胃が今よりもっと大変なことに!
「なんだか話が脱線しているが、それではいざとなったら、侯爵家の娘にはエドガーを紹介するという事で。そうなったらなったで、他の娘を宛がおうとしてくる可能性は高いが、侯爵家の令息本人との縁は実の妹に比べれば多少遠くなるだろうし少しはマシか……」
「ヒューゴ、貴方わたくしの話を聞いていまして!?」
「結果的にエドガーはフリーで予定もないという理解だったんだが、間違えたか?」
「それはその通りなんですけれども! あらやだ、思いがけないタイミングで怖い未来が近付いて来る予感に自分でもわかるくらいに心臓がバックバクでしてよ!? なに、この動悸! めちゃくちゃ心臓がギュンギュン鳴ってますわ!」
「それはきっと、恋だよ」
「これが、恋……!? ………………いや、違うわ。騙されませんわよ。これ恐怖ですわー!!」
思わぬところで、生贄を見つけた……と。
よくよく見たらヒューゴの口元がうっすら笑んでおる……。
いつか級友に厄介臭漂う令嬢へ売られるかもしれないと、一方でエドガーは大鷲のような胸をギュンギュン言わせていた。恐怖で。
はははははー……巻き込まれたくねえ。
現時点でめっちゃ巻き込まれる未来が確定しているが、それでも敢えて言おう。
他人の恋愛とか、絶対に巻き込まれたくねえ……!!
「っつうか、お前らんち闇深すぎんだろ……貴族ってみんなそうなの?」
「馬鹿を言うな、当家に闇なぞない。祖父も父母も公明正大、姉は裏など微塵も存在しない単細胞だ。……ただ、顔の皮一枚で惑わされる人間が家の交友範囲に多いだけで」
「それだけでもう、十分だよ……」
「何にせよ、当家は某侯爵家からだけは絶対に縁談を受け付けないと方針を固めている。だが家の力関係的に、正式に縁談を申し込まれると断り難い。そこでミシェルだ」
「これ以上隠す気もなく、思いっきり縁談よけの縁談じゃん」
「その侯爵家の御曹司が姉ちゃんの方に結婚申し込んできたらどうするんだよ」
「知らん。俺は俺自身の自衛で精一杯だ。姉は姉でなんとかするだろう。今、好きな男を全力で口説いている最中だと言っていたしな。だから家で縁談は用意してくれるなと」
どうやら肖像画から受ける印象の通り、ヒューゴの姉ちゃんは中々に活動的っぽい。なんかヒューゴの姉、『お姉様』とか『姐さん』っつうより『姉ちゃん』って感じなんだよな。貴族の御令嬢にこんなこと面と向かって言ったら名誉棄損で訴えられそうだけど、なんか下町の食堂でウェイトレスしているのが妙に様になりそうな感じ。ちなみに当家の姉二人は圧倒的に『姉上』もしくは『お姉様』って感じデス。
「そういう訳でミシェル、将来的に俺と結婚してほしい」
「うーん……そう言われてもなぁ。家の兼ね合いとかもあるだろうし、ほら、貴族の結婚てそういうとこありますわよね。私の独断ではお答えしかねますわ」
「そうか。俺も今すぐの決断を迫るつもりはない……が、本当に俺の事情故に申し訳ないが、何とか色よい返事を貰えると大変助かる。ミシェルの感情を斟酌していないようで申し訳ないが、それだけこちらも形振り構っていられない状況なんだ。すまない」
「ひゅ、ヒューゴ……普段はツンと澄ましたお前が、何て切羽詰まった物言いを」
「それだけ本気なんだな。本気で、侯爵家からの秋波が煩わしいんだな……!」
「一応、私の方からうちの当主……お父様にお手紙は出しておくけどさー。ヒューゴの家からも念の為、手紙送っといてよ。私ひとりの手紙じゃ信憑性疑われかねないし?」
「そうだな、当然だが正式な求婚状を仕立てて速攻で送るよう父と祖父には願っておく」
「い、いいのか、ヒューゴ……正式な書状を出したらもう後には引けないぞ!?」
「引くつもりはないが?」
「良いって言うのか、本当に良いって言うのか!?」
「……さっきから何なんだ、お前達は。この場で求婚を始めたのは俺だから文句を言う訳じゃないが……やけに、人の話に口を突っ込むな?」
「だって!」
「だって? まさか、お前らの中にミシェルへ想いを寄せている奴でも……」
「だって、亀じゃん!」
ヒューゴが僅か、眉間に皺を寄せて何事か言おうとした瞬間。
クラスメイトの一人が切実そうな、深刻そうな感情を込めてはなった一言が食堂の空気を切り裂いた。
偶然そう言うタイミングだったのか、放たれると同時に場へ沈黙が満ちる。
うん、亀? 何故、亀?
居合わせた諸先輩方が、話の流れを見失って首を傾げる姿が見えた。
しかしクラスメイト達にとってみれば、納得の流れだったらしい?
みんな本気の顔で、物凄く心配そうにうんうんと頷いている。
いや、なんでだよ。
私は納得がいかない。
そしてヒューゴも納得はしなかったらしく、怪訝そうな顔をしている。
「うん、どういうことだ」
「だって亀じゃん! ミシェルの使い魔、あの化物亀じゃん!!」
「ミシェル本人をどうこう言うつもりはないけどさ、でもさ、でも……ミシェルの家にはあの亀がいるんだぞ! 使い魔としてミシェル本人に帰属してるから、高確率で嫁に行ったら婚家について来るんだぞ! 高確率で、確実に!」
「しかも一匹ならまだしも! アイツら複数形じゃん!」
「軍団じゃん! 亀軍団!! 何匹いるかもわからない!」
ヒューゴが問えば、それを皮切りに皆がわっと言い募る。
おい、その物言い……私の亀に何か思うところでも?
え、なに? 私本人よりサブマリンの存在の方がハードルたっけぇの?
みんなそこが気になるの? どういうこと? いや、マジで。
なお、何匹いるかは私もわからない。
疑問符を飛ばす私。
そんな私をじっと見た上で、ヒューゴは言った。
「問題あるか、それに」
「なんですと?」
「あの亀は俺も見たことがあるから知っている。確かに戦力過多ではある」
「それがわかっていて、なんで」
「その上で言うが、戦闘能力の高い使い魔は武門の家系としては願ったりかなったりだが? あの亀とその一族であれば、保有戦力の増強に直結する。いざという時の備えに充分だろう」
「予想もしてなかった武門の理屈! そうだ、そういえばコイツの家、先祖代々の騎士家系!」
「え、いやでも、あんな亀が何匹いるかもわからないんだぞ!? 養えるのかって思うじゃん!? あと何かの拍子に家壊されないかなっとか!」
「その心配は尤もだな。ミシェルも使い魔を養えるかという点は気になるところだろう。だが心配はいらない。当家の先祖が領地の城や王都の屋敷を建造する際、籠城面での備えを重視したらしい」
「領地の城はともかく、王都の屋敷まで何を想定して籠城に備えた造りにしたんだ。お前の先祖」
「それは知らん。重要なのは王都の屋敷は水堀で周囲を固め、水を一部屋敷の敷地内に引き込んで庭に大きな池がある。亀を連れて来ても棲息環境を整えるのは難しくないだろう。王都屋敷の池だけじゃ手狭なら、領地の城は湖を背にしているのでそちらへ移ってもらっても良い」
「え、池……? 湖!」
え、マジで?
なんと言うことでしょう、確かに考えてみるなら嫁入りの際に一番のネックとなるのはサブマリンとその一族の居住環境。嫁に行かない選択をしたとしても、いずれは兄が継ぐ子爵家の池を亀にいつまでも占拠させておくのは問題かもしれない。だけど、そうなの? ヒューゴんとこに嫁に行けば、問題にならないの……?
え、それって素敵なお話じゃない?
「み、みんな、見て! ミシェルのあの顔!」
「うぉ、マジか……めっちゃ目ぇキラキラさせとる!」
「アレは紛れもない! ときめいてる顔だ! ろくでもないナニかにときめいてる時の顔だ!」
さっきのエドガーじゃないけど、自分でもわかるくらい、胸が高鳴っていた。
自分で言うのもアレだが、こんなに胸がきゅんとしたのは初めてかもしれない。
これは間違いない……期待以上のお買い得商品を目の前にした時の、胸の高鳴りだ!
「え、で、でもぉ……領地の湖って他の人も来るんでしょ? 領民さんとか、生活の糧に湖の環境を活用している人もいるんじゃなくて? 亀を大量に投じて、生態系が変わったりとかー……問題あるでしょ?」
自分で言っていて、思った。
なんか自分の声、前世の世界でテレビ通販の司会に「でも、お高いんでしょ?」って合の手を入れる時の声に響きが似てるなって。
「安心しろ。何十年か前に、規制された鰐を違法輸入した闇業者がいてな。騎士団の強制捜査から逃れる為、現物の一部を湖の放つという馬鹿をやらかされている。気付くのに年単位で遅れたせいで生態系はとっくに破壊されている後だ。以前は湖で漁をしていたらしいが、今は巨大鰐が出るとあって、危険だから立ち入りを制限している」
「まあ、なんてこと! つまり湖に放した場合、湖の主の座を賭けた鰐との覇権争いが待っている訳だな?」
「そうだな。その通りだ。流石に湖に放つのは難しいか?」
「うちのサブマリン達が野生の鰐(※外来種)程度に後れを取る筈がありませんわ!」
「……問題なさそうだな。毎年、領地の騎士団で駆除をしているんだが、根絶できないまま今に至っている。鰐を減らす……むしろ根絶してくれても誰も困らない。いっそ助かるくらいなので、その際は覇権争いに名乗りを上げてくれ。湖で好きに繁栄してくれ」
「なんて素敵な環境なのかしら……!!! きっとサブマリンも、子亀達もいっそうイキイキ充実生活を送れること間違いなし! これは、お父様にはお相手はサブマリン達ごと、丸ごと受け入れて下さる意志があると太字で書いて手紙を送らなくては!」
私は意気揚々、拳を突き上げて決意のほどを言葉に籠めた。
ヒューゴからの求婚に乗り気であると、父への手紙には認めるつもりだ。
そんな私を、何故か食堂にいたクラスメイト達がげんなりとした顔で見守っていた。
がやがや、ざわざわ。
なんだかとっても、騒がしく終わった夕食の席。
時間が過ぎて皆が三々五々、各自の部屋へ戻り行く中……
私はヒューゴの腕を捕まえ、引き留めた。
さりげなくそっと、耳元に口を寄せて一言だけ囁く。
なるべく短時間で、簡潔に。本当に一言へと用件を込めて。
「――明日の明け方、談話室で待ってるわ」
物言いたげな視線が、チラリとこちらを見たけど。
私とヒューゴは互いに何事もなかったような顔で、さっとその場を後にした。
明け方の談話室、ヒューゴを呼びだすミシェル。
呼び出されたヒューゴを待ち受けるものとは?
a.早朝デートの誘い
b.早朝盗み食いの誘い
c.早朝手合わせの誘い
d.早朝寝起きドッキリの誘い
e.早朝七不思議巡りの誘い
某侯爵家のご令嬢。
幼少の砌よりヒューゴ父に会う度、将来お嫁さんにしてね、だとか。奥様とはいつ離婚されるの?だとか。離婚したら後妻に立候補しますわ、だとか。
そんなことばっかり言い続けるので、最近は小ゴリラのおっさんも若干怯えている。
そして穏やか癒し系のその嫁も、堪忍袋の尾が切れかけている。




