戻ってきた少女4
お姉さまのお家に来た私は、お姉さまのお母様に使ってよい部屋に案内されました。
そこに持ってきた着替えなどの荷物を置いて、ちょっぴりお部屋をアレンジ!!
お母様(お姉さまの)にはゆっくりしていくように言われたので、急がず焦らずの気持ちでお姉さまと距離を近づけていきましょう!
と言う事で、まずはお姉さまのお部屋にこっそり行きましょう!
部屋の中からこっそりと廊下を覗きます。
誰もいないことを確認してから、俊敏に移動。
お部屋の位置が昔と変わらないのであれば多分あそこです。
廊下の曲がり角では入念に注意して目的の部屋へ。
損葉に着くと一先ずドアに耳を傾けてお姉さまの声が聞こえるか確認。
「本当なんでしょうね?」
「ええ、微かではあるけど間違いないわ。」
確かにお姉さまの声がするのでお部屋は間違っていないようです。
ただし、何やら会話をしているようで、相手はアリスでしょうか?
一体どんな話をしているのか気になったのでもう少し聞くことにしてみましょう。
「リーナには話しているの?」
「まだしていないわ。先にあなたに話しておかないと怒るでしょ?」
「そうかもしれないわね。」
私に関してのお話でしょうか?
ですが、私は陰で話されるようなことはしていないと思うのですが?
もう少し話を聞いて見ましょう。
「ともかく、今すぐでなくてもいいのよね?」
「ええ。すぐに暴走することはないわ。」
「なら、今度出かけるときでいいわよね?」
「もちろん。私の見立てではその近くのはずだからちゃんと回収してくれるのであれば十分。」
暴走?出かける?回収?
一体何のお話でしょう?
それに、お姉さまはどこかへ出かけるのでしょうか?
「本当に厄介なものを押し付けたわね。」
「何度も言うけれど、私は力を貸しただけ。力を望んだのはあの子よ?副作用についても話していたわ。それでもあなたのために力が欲しいと言ってきたのはあの子。美徳に飲まれないようにせいぜい協力してあげなさいよ?」
「そんなの分かっているわ。リーナを苦しませるわけにはいかないからね。」
多分、私はちゃんと聞きに行かないといけない。
これは私にとって大事な話だと直感が言っている。
私は意を決してドアをノックして部屋に入った。
「リーナ!?‥んっ、ん。‥…出迎えれなくてごめんなさい。もう荷物は部屋に運んだの?」
「既に終わらせました。‥‥それで、先ほどまで話されていたことについて教えてくれませんか?『美徳』が見つかったんですよね?」
「聞いていたの?」
「すみません。驚かせようと思い、聞き耳を立てていたら……。」
ため息をつくお姉さま。
そして、アリスに姿を現すように言った。
「どうせ話す事だったのだからいいじゃない。」
「タイミングがあるでしょ?ほんとは落ち着いてからと思ってたの。」
お姉さまの気持ちは確かに分かります。
現に今、恐怖で肩が震えています。
「『美徳』は1つだけですか?」
「それが、……」
「1つだけよ。今度あなたたちがお友達と行く所の近くにあるはずよ。力を感じはするけど微量。封印されているだけだと思う。けど、『美徳』そこにあるだけで回りに影響を与えてしまう。準備は万全の状態の方がいいわ。」
「そう、ですか。」
『美徳』は女神であるアリスが持つ7つの力。
この力私たち人間にも貸し与える事が出来るけど、力に適性がなければすぐに力に飲み込まれてしまいます。
そうなってしまっては力を貸し与えられた人間は自分では理性を抑えられなくなり力の望むままの人間になってしまいます。
「分かっているとは思うけど、力には直接触れないようにね。特にリーナよ。今でも自力で制御できていないのだから、2つ目の『美徳』を取り込んでしまったら、あの時現れた女のように暴れるだけの化け物になるわよ。」
学園を襲ってきた集団のリーダーをしていた女の事でしょう。
後で分かった事らしいですが、あの女はどこで手に入れたのか『美徳』のうちの一つ『謙虚』を所持していたようです。
しかし、力に飲み込まれてしまい『傲慢』としての負の力に支配されていたそうです。
傲慢が故に単独行動であそこまでの暴動を起こしたそうです。
『謙虚』は私の記憶が戻る前にお姉さまの手ですでに回収しているそうです。
意識を取り戻した彼女は憔悴しきって、今ではもぬけの殻になっていると聞きました。
ただ、私もいつ同じようになってもおかしくない状態にいます。
私がアリスから借りている『美徳』は『純潔』。
今はアリスとから力の一部を常に返還し、お姉さまからは血を貰う事で暴走しないように抑えています。
私一人だと『美徳』の適性がないため暴走してしまう可能性があります。
だから、これ以上『美徳』に触れるようなことがあれば、すぐに暴走してしまうでしょう。
「まだ時間はあるから、ゆっくり準備をしていきましょう。」
「そう、ですね。」
弱々しい声と共に私はお姉さまに近づいた。
今は、とてもお姉さまと一緒にいかった。
お姉さまがいれば、どんな怖い事も無くなってしまう。
それぐらい心強さと、温かさを感じられる。
「小さい頃を思い出してしまったのね。ベットを使っていいわよ。今日は移動で疲れてるでしょうし、ちょっと横になりなさい。」
「お姉さま――――そばにいてくれますか?」
お姉さまはそっと私の手を握ってくれた。
何も言わずに、優しく微笑んでくれる。
「少しだけ、休みますね。」
お姉さまのベットを使えるのはすごく嬉しい。
でも、今はそこまで興奮しなかった。
静かに寝ていたい。
お姉さまのぬくもりを感じて目を閉じていた。
純粋な気持ちしか湧いてこなかった。
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「すぐに寝ちゃったわね。」
前髪をそっと撫でる。
寝顔までもあの子に似ていて見ている分には申し分ない。
「さ、移動しましょうか。」
まだ残っていたいけれど、用事は済ませておかないといけない。
私のためにはこれは必要な事だから。
「いいの?その子は起きるまで一緒にいてほしそうだけど。」
「かまわないわ。起きる前にも出ればいいもの。」
女神は顔を少しゆがめていた。
何か気分を損ねるような事を言っただろうか?
いや、私の態度が同じ姉の立場として許せないだけかもしれない。
「時々、本当のあなたがどれなのか分からなくなるわ。」
「どれも私よ。それよりも、どうして本当の事を言わなかったの?」
『美徳』の反応が1つと女神はいった。
でも、私が効いた時は2つと言っていた。
「あなたが嫌がると思ったのよ。現に言うかどうか迷ったでしょ?」
だって、もう一つの反応は人からだと言ったから。
封印されているものよりも微々たる反応だからどこの誰が持っているかとかは分からないらしいけど。
「人から『美徳』を奪う所をあの子には見せたくないからね。」
「過去のトラウマを呼び戻すから?」
「そうね。丁度――」
私は女神の首を掴み上げる。
抵抗しようとしても、体の対格差からしても女神は私に勝てない。
開いた手で私は彼女の胸を貫いた。
「こんな感じだったかしら?」
「何の……冗談かしら?‥‥痛いじゃない。」
「死なないからいいじゃない。」
貫いた腕を抜いても、血は出てこない。
こちらの世界の女神を同行しても原体が向こうにある女神には通用しない。
「二度と私の前でその話はしないで。後、早く移動しましょう。リーナが起きたら大変だわ。」
「乱暴が過ぎると……私も手を出すから‥…気を付けなさいよ。」
睨め付けるようにこちらを見ているが気にしない。
向こうから挑発してきたんだから、これぐらいじゃないと許せないわ。
人から『美徳』を奪う場合はほぼ殺すしかない。
心臓に深く侵食してしまうものだから、それ以外の方法はないらしい。
だから、『謙虚』を奪った時もさっき女神にしたような事をした。
心臓をくりぬいてそれを女神に。
あの子は『謙虚』の元所持者は憔悴しているが生きていると言っている。
本当はもう死んでいるけれど。
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