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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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すれ違う少女6

「う~~、う~~。」


朝目が覚めてから体が重たい。

それになんだか、いつもより体中が暑い気がする。


「お姉ちゃん…。」


無理矢理でも体を起こして扉の前に立つ。

でも、扉を開ける事が出来ない。


「あれ?おかしいな?」


ドアノブを掴もうとしているのに、掴んだ手が空を切っている。

何度も、掴もうとしてかすめるばかり。

そして、だんだんと視界も悪くなっていく。


「い、痛いよ……。」


今度は胸の方が痛くなる。

いつしか感じた痛み。

針が突き刺さるような感覚。


痛みに襲われてしまい、立っている事が出来なくなってしまった。

倒れ込んで、胸を抑え込む。

差声にならない叫びが私の頭の中を駆け巡る。


徐々にはがれている感覚。

そして、突き放される感覚。


「まって‥…。もう、少しだけ……。」


襲い掛かる痛みは徐々に増していく。

この痛みはあの時と同じものだ。


「お姉ちゃん……助けて……。」


声が届かないことぐらい分かっていたのに、呼び掛けてしまう。

いつでもそばにいたお姉ちゃんにいてほしい。



―――――――――――――――――――

――――――――――

――――

――



目が覚めた時には、知らないベットに寝ていた。

体を起こそうとしてみたけど、そうは出来なかった。

体調は悪いまま。


でも、今は胸が痛むようなことはない。

まだ、楽だった。


「!リーナ!!」

「!」


いきなり大きな声を掛けられて体が『ビクンッ』となってしまう。

でも、声はお姉ちゃんだったので怖くはなかった。


「リーナ、よかったわ。」

「お姉ちゃん、私どうしてここに居るの?」

「あなた、自分の部屋でどんな状態だったか認識してるの!」

「えーっと、ドアの前に倒れてた、かな?」


今のお姉ちゃんは、鬼のような形相。

理由は私が言ったことを踏まえると当然だと思う。

体調管理が上手くできてなくて倒れてしまったんだから。


「リーナ、まだ無理してるの?」

「うんん。無理なんてしてないよ。朝の事もね、急な事で対応が遅れただけなの。でも、今は元気いっぱい、じゃないけど大丈夫。」

「あのね、大丈夫って言う人はたいてい無理してるの。だから、今日はあなたのそばにいるわ。」


お姉ちゃんが食い下がらなかったのは意外だった。

それに、今日は平日だから学校がある。

それなのに休んでまで私のそばにいてほしくない。


「お姉ちゃん、私の事はいいから学校に行って。」

「駄目よ。私が居なくなったら無理をするんだから、ちゃんと監視しておかないといけないわ。」


いつもよりお姉ちゃんが強気だった。

それほど心配されてるのは嬉しい。

でも、嬉しいけど、恥ずかしさもある。


「それならお姉ちゃん、ワガママいってもいい?」

「怒らない事ならいいわよ?」

「怖いよ、お姉ちゃん。……でもね、簡単なお願いなの。一緒に寝てくれる?」


今にも消えそうで怖い。

その時が近づいているのが分かる。

その時が来る最後までお姉ちゃんと一緒にいた。


「‥‥それならお安い御用よ。」


私はお姉ちゃんが寝られるようにそっと横にずれた。

大きなベットだったので、少しよれば2人でも全然入れる。


「えいっ!」


お姉ちゃんが入ってきたところで抱きついてみた!


「ちょっと、そんなにくっ付かなくても空いてるでしょ?」

「だって、お姉ちゃんをたくさん感じたいんだもん!」

「寝るには少し熱いと思うわよ?」

「それでも、お姉ちゃんにくっ付きたいの!……だめ?」

「うっ……。」


卑怯だけど上目遣いを使ってお姉ちゃんが断りずらくしてみた。

思った通り、断ることをためらってる!

これなら後一押し!


「……お姉ちゃんは、私にくっ付かれるのは嫌いだった?……それなら離れる、ね。」


声を震わせながらトーンも下げる。

そして、ゆっくりと離れて反対を向く。


「ち、違うの!?そう言うわけではないの!?」


思っていた展開になったよ!

テンプレっていう展開だね!

ここまでお姉ちゃんがシナリオ通りだからびっくりだけど、後を間違えなければいけるよね?


「私はあなたが気持ちよく寝れるようにしたかっただけなの。あなたがそれでちゃんと休めるのなら全然いいのよ?」

「本当?」

「えぇ。」


やったね!

これでお姉ちゃんとくっ付いて寝れるね!


「お姉ちゃんありがとう!だーい好き!!」


私はすぐに振り向いてお姉ちゃんに抱き着く。


「そんなに動いたら……って、リーナ、本当は悲しんでなかったでしょう?」

「ばれちゃった?」


抱きついた時の顔を見てすぐにばれたみたい。

そんなに悪い顔してたかな?


「本当に心配したんだからね?」

「だった、こうでもしないとお姉ちゃん許してくれないもん!」

「そうだけど…。」

「でも、お姉ちゃんがいいって言ったんだから、もっとくっ付くね。」


私はさっきよりも距離を縮める。

ギュっとするとお姉ちゃんのメロンさんの柔らかさが伝わってきた。


「お姉ちゃん、また大きくなった?それに柔らかい!」

「ちょっと、寝るんでしょ?それなのに色々触って…。怒るわよ?」


ちょっとおふざけが過ぎたみたい。

これ以上はお姉ちゃんと寝る事も出来なくなっちゃうかも。


「それじゃあここまでにして、もう寝るね。」

「えぇ。」


私とお姉ちゃんは互いに抱きつくようにして寝た。

お姉ちゃんからはシャンプーのいい匂いと、もっちりとしてスベスベとした肌、そしてメロンの柔らかさに包まれて気持ちよく眠れた。






==============================






「2人してよく眠っているようね。」


リーナちゃんが自室で倒れていたと聞いたのでお昼休憩に保健室を訪れてみた。

会長とは、サナ先輩も空き添いで保健室にいるという事で、交代も兼ねて来ていたようで保健室の前でばったり。


「帰った方がいいですかね?」

「どうせなら、私たちも一緒に寝ましょう?」

「えっと、それは…。」


流石に次の時間を休むのはどうかと思う。

それに、会長も次の授業はあるはずだから、会長が間違った道に行かないようにしないといけない……はずなんだけど、ほんとは一緒に寝てみたい。


「私と寝るのは嫌よね。忘れてちょうだい。」


そうこう考えていると、会長は悲しそうに諦めていた。

そんな顔をされると私が悪い事をしているみたいで胸が痛む。


「会長は次の授業大丈夫なんですか?」

「それは、大丈夫だけど……、レオナちゃんもしかして‥‥!」

「そ、その、会長に問題がないのであれば……私は気にしません!」


すると、会長は私の手を引っ張って、リーナちゃんたちが寝ているベットの隣へ。

そのまま会長ベットに連れ込まれる。


「レオナちゃんと一緒に寝て見たかったのよね。」

「私と、ですか?……その、私には魅力なんてありませんよ?」


自分で言っておいてとても情けなくなる。

でも、私が会長の事が、す、好きでも会長はそう思ってないはずで…。


「……なんていうか、妹みたいで愛でたくなるのよ。」


会長の妹になれるのはそれはそれで嬉しいけど…‥…それはそれで悔しいような。

会長は言葉にするのにあまり悩んでいなかったから、本当にそう思っているんだと思う。

けど、妹の位置についてしまうと、恋愛対象とは見えずらくなってしまうって聞いたことあるから胸がモヤモヤする。


「?どうしたのレオナちゃん?」

「ちょっとモヤモヤします。」

「?どうして?」


会長は全然わかってくれていない。

でも、私から言う勇気もなくて、


「‥‥‥知りません。」


むくれる事しか出来なかった。


「わ、私何か酷いことしちゃった?」

「知りません。」


私も『知りません』の一点張りしかできない。


「こうなったら、‥…こう!!」

「えっ!えっ?!」


いきなり会長に抱き着かれた。

‥‥と言うよりも、会長の胸に顔を埋められた。


「こ、これで許してくれない?」

「か、会長?!」


ゆ、許すというとかの話じゃなくなってます!?

何とか胸の隙間から顔を覗かせると会長の顔は真っ赤。

これは、誰かに嘘を教えられた感じだと思う。


「か、会長、もう大丈夫ですから一度話してください!?」

「だ、ダメ。も、もう少し!」


これは、恥ずかしくて顔を見せられないんだ!

私も、嘘を教えられて恥ずかしい目に合った時誰とも顔を合わせられなかったもん!

でも、これじゃあ、窒息死しちゃう!?


「会長、抱き締める力を緩めるだけでも!?」

「あ。‥‥ご、ごめんなさい。苦しいわよね。」


すぐに謝ってくれた。

このまま話してくれるのかと思ったけど、本当にしんどくない程度の力に落としただけで、顔をうづめられたまま。


「そ、そろそろ寝ましょう」


そう言われても、今の状況じゃあ寝ようにも寝れません!


そして、私が葛藤している間、会長はいつのまにか寝てしまっていた。

この状況で寝れたのはさすがにすごい。

私は尊敬しながらなんとか頭をすっぽりと出す。

これで何とか楽に慣れた。


「でも、ここを離れるわけにはいかないよね?」


せっかく会長と寝られるチャンスだし、勝手にいなくなれば後で怒られるかも。


「私は悪くない。私は悪くない。」


間違いを起こさないと心の中でつぶやきながら、ゆっくりと目を閉じた。

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