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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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思い出す少女8

「お姉ちゃーん!!」


寮に帰ってきて、お姉ちゃんの部屋に入る。

今日は授業が終わるタイミングが一緒だったので、待ち合わせた後一緒に帰る事が出来た。

でも、あくまで『リーナ』として振舞わなければならなかったため、中々べったりする事はできなかった。

でも、今は寮の中で、お姉ちゃんの部屋。

十分に甘えられる。


「もう、今日も甘えんぼさんね。学校で寂しくなっちゃったの?」

「うん。お姉ちゃんが居なかったから寂しくなっちゃった。」


お姉ちゃんが頭を撫でてくれた。

とても気持ちいい。


「それで、学校で何かあったの?今日は、実践授業があったんでしょう?もしかしてそこで何かあったの?」

「うん。今日は、すごく集中してたから疲れちゃった。」

「今日は何をしたの?」


お姉ちゃんに今日行った授業の内容を説明する。

対魔法剣技(アンチブレイク)の練習としていきなり魔法を行使されたことや、間違えて先生に攻撃しそうになった事。

お姉ちゃんは笑みを崩さず、相槌を打ちながら聞いてくれた。


「そんなことがあったのね。」

「うん、でもワカバ先生には本当に悪いことしちゃったな。」

「そうね。‥‥でも、先生も悪いと思ったからこそ謝られたのでしょ?なら、それを受け入れることがあなたの誠意じゃないの?」

「そう‥…かな?」

「ええ。」

「なら、私はそうする。」


そう言って、お姉ちゃんに向かって宣言する。


「そう言えば、他の生徒とのお話はないの?授業中にお話しする生徒ぐらいいるでしょ?2人組になって練習するのよね?」

「あ‥…。」


まさかお姉ちゃんからその事を聞かれるとは思ってもみなかった。

『授業中ボッチだったよ』、と悲しいことを素直に言えるはずがない。

かと言って、ずっと先生と練習していたとも言えない。

遠巻きに、『1人だったよ』と言っているもの。

嘘をついてもお姉ちゃんにはすぐばれると思う。

それなら、真実の中に少しの嘘を混ぜた話の方がバレにくい。


「実はね、剣技の実践授業に参加している生徒の数が奇数人なの。だから一人だけ先生とやらなくちゃいけなくて、私が立候補したの。それで、先生の一件につながるんだけど、その後に先生から上手くいっていない生徒の人に教えてほしいと頼まれて、色んな人を回ってたからあまり話す時間が無かったの。」

「そうなの。あなたは偉い子だから先生も頼んじゃったのね。」


もっと頭を撫でてくれる。

お姉ちゃんも信じてくれたようで罪悪感はあったけど、お姉ちゃんに心配をかけるよりは何千倍もいい。

まさか、授業の終わりまでずっと間合いの練習をしていて向こうからも声をかけにくい状況だったとは分かるわけがない。


「実はね、ワカバ先生から、授業中あなただけが浮いていると聞いたから心配されてたの。でも、先生の手伝いもして教える側としてみんなと接していると知れてよかったわ。」

「う、うん。」


本当に話さなくてよかった。

もしもここで本当の事を話していれば絶対に心配されていた。


それにしても、まさかワカバ先生がお姉ちゃんに相談しているとは思ってもみなかった。

次回からは先生の方からも心配されないようにしないと。


「そ、そう言えば、部活動はいつから始めるの?同じクラスの人の中で今日から始まっているところもあるって聞いたよ。私初めてだから緊張するな。」

「会長がね、今日エーテル館の様子を見に行っているの。それで、問題が無ければ明日からでも部活動を始めるらしいわよ。」

「そうなの!楽しみだな。」


(初めての部活動楽しみだな。やっとお姉ちゃんと一緒に部活動が出来るんだもん。こんな機会二度とないから楽しみだな。)


早く部活動がしたくてたまらない。


「それにしても、お姉ちゃんって剣道部に入ってるの?」

「え?そんな部活動、ない、わ、よ……。まだ記憶が混乱しているのね。」


そう言ってお姉ちゃんの顔が曇る。

もしかして、言葉を間違えてしまった。


「あなたと部活動の名前を決めたことも、まだ思い出だせないのね‥…。ごめんなさいね、あなたには辛い思いをさせてしまって。」


そう言って、お姉ちゃんは私を強く抱きしめた。

少し強すぎて痛いくらいだったけど、それは愛情の裏返しだと思う。


「お姉ちゃん、大丈夫だよ。私はね、辛いと思ったことはないよ。お姉ちゃんがいてくれるから悲しくもないから大丈夫。だからね、そんな顔しないで。お姉ちゃんは笑っていた方がきれいだから。」

「もう‥‥、あなたはいつからそんなことが言えるようになったの?お姉ちゃんうれしいわ。」


そう言ってお姉ちゃんは数秒の間天井を向いていた。

そして、深呼吸をしてから私の方に向き直る。


「お姉ちゃんはうまく笑えてる?こんなお姉ちゃんでも好きでいてくれる?」

「うん!!お姉ちゃんはね、世界で一番綺麗で自慢のお姉ちゃんだよ!だからね、私はお姉ちゃんが大好きだよ!」

「私もね、あなたの事が好きよ。」

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