思い出す少女5
「皆さん、今日はお集まりありがとうございます。それではしっかりと話し合っていきましょう。」
教壇に立ち話し出したのは私の同級生。
大きく張り上げた声がこの教室を包み込む。
その声と同時に何人かの同級生が手を上げる。
「ではそこの方。」
「はい。」
そう言って指名された生徒は席を立つ。
「私は、いきなり距離を詰めすぎるのは愚策だと思うので今はまだ攻めるべきではないと思います。」
「なるほど、確かにその意見は正しいでしょう。‥…しかし、マリア様は今年が最後の年。今すぐにとは言いませんが、今月中には最低でも手を繋ぐところまでは行かなければいけません。でなければ恋人になってからの時間が少なくなってしまうかもしれません。」
「な、なるほど!?確かに、今年中と考えると私の方こそ愚策。」
そう言って、肩を落としながら席にに着く。
「悔やむことはありません。ここでは意見を出しみんなが考える場所。そこに出された意見が無駄になることはなしのです。むしろ経験となるのです。」
そう言って、みんなに言い聞かせる。
そもそもこの会議がなぜ行われたかを話さないとですね。
昨日、レオナちゃんは多くの同級生の前でマリアお姉ちゃんが好きだと宣言してしまいました。
そして、今日この4時間目、本当は授業だったけど担当の先生が急な出張に行ってしまったらしいです。それによって、今の時間は先生がいない状態での自主学習の時間になってしまいました。
そこに目を付けた何人かの生徒が声をかけ、クラス全体での『レオナちゃんとマリア会長をくっつけよう大作戦』」と言う名の会議を開くことになりました。
「……どうしてこうなっちゃんだろう。……もう私、生きていけない。」
「レオナちゃん元気を出してください。皆さんはレオナちゃんを見て笑っているわけではないですし、反対に応援をしているわけですし今は喜びましょう。」
でも、レオナちゃんは下を向いて机とおしゃべりをするばかり。
マリアお姉ちゃんとのことは別に恥ずかしがることはなと思うけれど、レオナちゃんはあんまり多くの人には知られたくなっ方らしい。
これに関しては少し責任を感じていて心が痛いよ。
だから、責任を取るつもりで、レオナちゃんとマリアお姉ちゃんの中が深まるように全力で協力するよ!
「それではあなた。」
「はい。」
次々と意見は出ていきそれに対して良い所、改善したいところを話し合っていく。
「私は、今月末にある試験を利用するべきだと思います。」
「今月末の試験ですか?その心は?」
「はい。試験と言えば試験勉強をすると思います。そして、試験勉強で分からない所を先輩に聞きに行くのは普通の事だと思います。そして、レオナさんはマリア様と同じ部活の所属していると聞きました。これならごく自然にマリア様とも会う口実を作れますし、2人きりになる機会が作れると思いませんか?」
その意見にみんなが納得したのか声を上げる。
「確かにそれは名案ですね。ごく自然に2人きりに慣れて周りから変にみられることもない。部活動が同じという事でマリア様に頼りやすいです。当然、休日にお部屋で勉強をすることも自然の流れで起こるでしょう。そしたら、試験勉強だけでなく、お互いに体についての保健の勉強に進む可能性だってあり得てしまう。」
「た、確かに……。」
「ほ、保健の授業まで……それは、興奮しますね!!」
「それよりもレオナちゃんの体が持つのでしょう?マリア様は攻めがすごそうですし試験勉強どころか一日中とかありえそうですし……。」
と、どんどんと話がそれて言っている。
流石に、そんなことはならないと思うけど、わ、私もお姉ちゃんに試してみようかな。……でも、
保健の授業って何をするんだろう?私、授業を受けたことないからわからないけど、一日中何かをしないといけない授業なのかな?。ちょっとワクワクするな!
「ほ、保健の勉強だなんて、そ、そんな恥ずかしい事できるはずありません!!」
するとレオナちゃんは大きな声出しながら席を立つ。
顔は真っ赤でとても恥ずかしがっている。
そして、目がぐるぐると回って焦点が定まっていない。
どうやらレオナちゃんは、保健の授業がどんなことをするのか知っているみたい。でも、恥ずかしい事って言っているけど、もしかして、私、またお姉ちゃんに恥ずかしいこと言おうとしてしまってたかな!?
恥ずかしい事をする前に気づけて良かった~。
「た、確かにレオナさんの言う通り、そこまで踏み込むのはやぶさかですね。それに、踏み込み過ぎると相手を不快にさせるかもしれません。まずは2人だけの空間を作る。これを目的としましょう。」
「そ、そうですね。」
「少し、妄想がすきました。」
「しかし、もしもマリア様から誘われたら遠慮しなくてもいいからね。」
みんなの頭が覚めていく。
そしてレオナちゃんも荒げた心を落ち着かせていく。
「もうやだ…。」
そう、目を隠して顔を赤くしながらレオナちゃんはこぼしていた。
「では、今日のまとめですが、方針としては試験勉強で2人に距離を近づけることとします。ですので、2人の空間を作りやすくしたり、邪魔をしないように取り計らいましょう。」
「「「「「はい!」」」」」
多くの生徒が大きな声で返事をする。
「では今後についてですが、定期的に話し合いをしていこうと思います。皆さんなるべく全員差化できるようご協力お願いします。これにて今日は解散とします。」
その掛け声とともにチャイムが鳴り響く。
そして今日の会議は終了しました。
後日談ですが、この後、保健の授業がどうしても気になってお姉ちゃんに聞いてしまいました。
「ふ、2人だけの一日かけてする保健の授業!?り、リーナ、あなたそれをどこで聞いたの!?」
「友達が言ってたの。お姉ちゃんはどんなことをするのか知ってる?」
「し、知ってはいるけれど‥‥…。」
「そうなの!?なら、お姉ちゃん私に教えてよ!」
「えぇ!?だ、だめよ!あなたにまだ早いわ!」
そして何度か頼んでみたけれど、これに関しては絶対だめだって教えてくれなかった。
続きを読みたいと思ったら、ブックマーク、評価、感想をお願いします。
カクヨムでも投稿しているのでそちらもよろしくお願いいたします。
Twitterで更新報告しているのでフォローお願いします。




