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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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思い出す少女4

初めての授業を受けて、あっという間に事案は過ぎて行った。

お姉ちゃんとは学校で会うことはなくて少し寂しかった。

しかも、お姉ちゃんの授業が一つ多かったので一緒に帰ることは出来なくて物足りない何かがあった。

でも、寮で待っているとお姉ちゃんがお部屋に来てくれた。


「リーナ、今日の学校はどうだった?」

「うん、楽しかったよ。初めての授業で緊張したけど大丈夫だったよ。」

「そう。心配はいらなかったようね。」


お姉ちゃんは私が心配だった見たい。

でも、ちゃんと学校では『リーナ』は出来ていたからお姉ちゃんを困らせる事もない。


「それにしても、本当に記憶が戻ってきているのはいいことだけど、無理はしてない?」

「うん。むしろ嬉しいよ。お父さんとお母さんとお姉ちゃんと過ごした日々が思い出せてうれしいの。特にね、7歳の時のお姉ちゃんの手作り料理が美味しかったのを覚えてるよ。また今度お姉ちゃんの手作り料理食べたいな。」

「?7歳の時はまだ料理はしていなかったともうわよ?」

「あれ?ち、違ったっけ?」

「ええ、初めて料理したのは10歳の時よ?ほら、お父様が危ないと言って、あなたもその年まで料理もさせてもらえなかったじゃない。」

「そ、そうだっけ。」


つい間違ったことを言ってしまった。

まだ記憶が混乱しているみたい。

危ない危ない。


「やっぱりまだ記憶に問題があるの?」

「うん。全て戻ってきてるわけじゃないし、さっきみたいに不完全な記憶が戻ってきてるみたい。」

「そうなの。やっぱり不安ね。」

「大丈夫だよ。お姉ちゃんが付いていてくれるし、会長さんやレオナちゃんもいるから。」

「そうね、あなたは一人ではないものね。」


そういって、お姉ちゃんは嬉しそうに言う。

私も嬉しい。

お姉ちゃんが私を見て心の底から安心してくれているのが伝わってくる。

それだけの事で私の心は満たされる。

そっとお姉ちゃんに体を預ける。


「少しだけこのままにしてていい?」

「甘えんぼさんね。いいわよ。」


ゆっくりと目を閉じる。

視界は暗くなっていくはずなのに、目の前は明るい記憶で埋め尽くされる。

今日はいつも以上にこの瞬間が嬉しいと思う。

初めての学校でに登校したからだろうか?

初めて学校の授業を受けたからだろうか?

初めての学校の友達とお話が出来たからだろうか?

初めてお姉ちゃんと同じ学校に通えたからだろうか?

考えれば考えるほどいろんな意見が出る。


「お姉ちゃん、私ね、この時間がもっと続けばいいなって思うんだ。」

「急にどうしたの?」

「なぜかね、今日が楽しすぎてね、みんなとのお別れが寂しいなって思ったの。」

「お別れだなんて……、大丈夫よ。時間は十分あるじゃない。」

「そのはずなのにね、怖いの。楽しいからこそその後のお別れが怖いの。」

「大丈夫、怖がらなくていいわ。お別れはね、始まりでもあるの。また新しい人たちに出会うための第一歩なの。だから怖がらなくて大丈夫よ。すぐに楽しいことがあるのだから。」


どうしてだろう。

こんなにもお姉ちゃんを感じられて、甘えれて、頭を撫でてくれているのに、

涙が止まらないの。

お別れが怖くて、悲しくて、とても辛いよ。


「今日も泣き虫さんなのね。でもね、お別れを悲しむ気持ちも分かるわ。だからね、その時までにしっかり泣いて、その時に笑顔でお別れできればいいと私は思うわ。」

「お別れするのに笑顔でいるの?」

「ええ、笑顔よ。だって、そっちの方がお互いに明るくなるでしょ?暗いお別れより、明るいお別れの方がいいでしょ?」

「うん!」


そうだよね。

お別れが来るその日には、しっかりと笑っていたいよね。

そして、これまで過ごした日はかけがえのない思い出だったよって言いたい。

心からそう思うよ。


「お姉ちゃん、もうちょっとこのままでいい?」

「もしかして眠くなっちゃった?……いいわよ。」


ゆっくりと撫でてくれる手の感触が、気持ちいい波を起こす。

そして、その波が来るたびに少し海に引き込まれる。


「ごめん、ね…。もう、少しだけ‥…肩を…借り…る‥…よ……。」

「おやすみなさい。」


お姉ちゃんの優しい胸の中で深い海に落ちる。



―――――――――――――――――

――――――――

―――



「ぐっすり寝たわね。」


サラサラとした髪の毛をゆっくりとなびかせる。

リーナのする呼吸にどことなく落ち着いてしまう。


「お別れが寂しいだなんて、まるでもう少しでお別れするみたいじゃない。」


リーナの事はもう二度と話さないと誓った。

だからこそ、もう二度とリーナを一人にさせない。

してはならない。


「大丈夫、あなたが何処へ行こうとも、私はあなたについて行くわ。」


もし、私がいけないところにあなたが連れ去られそうになっても、鎖を付けてでも引き止める。

誰にもリーナを不幸にさせない。

例え、折の中で窮屈な生活を強いられても、私があなたに何でも与えてあげる。

どんなものでも必ず。

だって、どんな時でもリーナにはいつでも幸せでいられないと困るのだから。

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