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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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思い出す少女

お姉ちゃんとそのお友達の人達に連れられて朝食を取って、久しぶりに楽しいと思えた。

お姉ちゃんは優しいくて、そのお友達も優しくしてくれた。

こんな時間は久々に感じる。

今までどこかで眠っていたような感覚で、いつの間にか小売りが解けていくように感覚が戻っていく。

懐かしかったあの頃がぼんやりと思い出してくる。

あの場所に置いてきてしまったものは忘れてしまったけれど、それでもこの手にある物だけはいつでも思い出させる。

だからこそ、今と言う時間を生きているんだと実感できる。


「‥‥ナ。……ーナ?リーナ?」


自分の名前を呼ばれていることにやっと気づいた。

そしてその相手は、


「お姉ちゃん、ごめんなさい。ぼーっとしてた。」

「そうなの。さっきまでとは表情が一変したからどうしたのかと思ったけれど……何か面白い事でも思い出してたの?」

「うん。とっても昔の嬉しい事。」

「そう、なの…!?記憶が、戻ってきたの!?」

「うん!全部じゃないけどね、昔お姉ちゃんと過ごした記憶を思い出したの!」


そう答えると、お姉ちゃんは額に手を当てて泣き始めてしまった。


「わっ、わっ!?お、お姉ちゃん、泣かないで。」


けど、お姉ちゃんはは泣き止むことはなく、泣き続けてしまった。

どうにかお姉ちゃんに泣き止んでほしくて、けど、何をすればいいのか分からなくて。

だから、お姉ちゃんに抱き着いていた。

いつも泣いているときにお姉ちゃんがしてきてくれたように。


「お姉ちゃん、泣かないで。お姉ちゃんが悪い事をしたわけじゃないんだから。」

「………ええ、そうね。」


そう言って、まだ少しだけ涙を残して笑顔を向けてくれた。




それからすぐにお姉ちゃんの部屋に向かった。

そして改めて思い出したい記憶について話した。そして、現在進行形で思い出してきているお友達についての記憶も。


「そこまで思い出したのね。このままいけば、記憶をすべて取り戻すのも時間の問題ね。」

「うん。今もね、ゆっくりと思い出してきてるから。」

「本当に、よかったわ。」


そう言ってまた泣き出しそうになるお姉ちゃんを慰める。

今日のお姉ちゃんは涙腺が緩くて、とてもいつものお姉ちゃんとは思えない。

だから、記憶にあるお姉ちゃんはこんなに泣いていただろうかと疑問に思ってしまう。


「そう言えば、お姉ちゃんに聞きたいことがあったの。」

「何かしら?」

「しゃべり方とかを変えた方がいいのかな?記憶の中の私は、お姉ちゃんじゃなくて、お姉さまって言ってたし。」


この寮にいる人たちは、私の事を普通に受け入れてくれているので気になることはないけど、学校に通うとなると話は違ってくるはず。

私の喋り方がいきなり変わっていたりしたら、驚くに違いない。


「そうね、来週あたりに学校が再開になるって聞いているし‥…。いざ学校に通うとなってからリーナの喋り方が変わっていたらほどんどの人は驚くでしょうね。」

「そうだよね。でも、記憶の中にいる私の喋り方は私分からなくてどうすればいいかな?」

「それなら私が手伝ってあげるわ。今日から頑張れば喋り方は大丈夫だと思うわよ。」

「手伝ってくれるの!お姉ちゃんありがとう!!」


そう言ってお姉ちゃんに抱きつく。

お姉ちゃんもうれしそうに私を抱いてくれた。

やっぱりお姉ちゃんの中は心が温かくなる。


「お姉ちゃん、気持ちいよ。」

「なら、もっちギュっとしてあげるわね。」


そう言って、さっきよりもギュっとしてくれる。

より、お姉ちゃんを感じられてとても幸せだった。

それから少しして抱きつくのをやめた。


「そろそろ始めましょう。」

「うん、お姉ちゃんと勉強する。」


それからお姉ちゃんに喋り方を戻すために手伝ってもらった。

まずは簡単な敬語から習っていき、徐々に難しくしていく。

たまに変化球な問題も出てくるけど、お姉ちゃんの教え方が上手ですぐにわかるようになっていった。

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