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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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走り出す少女12~~お姉ちゃん視点~~

お兄様が帰られてから、一先ずは私の部屋で続きを話す事になった。


「一先ずよかったです。リーナちゃんが無事だと分かって安心しました。」

「寮長として不覚だったわ。寮生が居なくなったことにも気づいていなかったなんて……。でも、リーナちゃんが無事で本当に良かったわ。」

「お姉ちゃんとお2人には本当に迷惑を掛けました。」

「リーナちゃんが無事だったんで、もういいです。」

「私の問題でもあるわ。だから、リーナちゃんは謝らなくていいのよ。」


リーナも深く反省しているようで、申し訳なさそうな顔をしている。

私が大事にしてしまったのも悪いのだから謝らないでほしい。


「私も、リーナが無事でよかったわ。‥…でもね、いきなりいなくなるのは今後一切やめてね。あなたを心配する人はたくさんいるの。それに、あなたを失うのは私も怖いの。だからね‥…次からはちゃんと一言でいいから伝えてほしいわ。」

「本当にごめんなさい。」


ちゃんと反省している以上、これ以上は咎める必要はない。

次は、なぜあんなことをしたのか理由を聞かないといけない。


「それで、あなたはどうして一人で行くような真似をしたの?」

「それは、イロエさんが記憶を取り戻せると言っていたので、早く記憶と取り戻せれば、お姉ちゃんは喜んでくれるじゃないかって……。」

「そう‥‥あなたはそう思っていたのね。」


あくまでも私のため。

リーナ自身ではなく、私。

それは嬉しい。……嬉しい事なのだけれど‥‥、


「あなたの気持ちは嬉しいわ。……でもね、私は記憶を取り戻さなくてもいいと思ってるの。」

「どう、して?お姉ちゃんは私に記憶を取り戻してほしくないの?」

「違うわ。これはあなたのためでもあるの。」

「私の、ため。それはどういうこと?私には分からないよ?」

「簡単な事よ。あなたの記憶が全てが全て良い記憶ではないわ。覚えているだけで辛い記憶だってあるの。それなら、忘れたままでもいいと思うの。今からまた新し思い出を作れば、きっと楽しい記憶だけ作れるはずよ。その方が、とても幸せだと思うの。」


私だって、思い出せるものなら、思い出してほしい。

でも、リーナの過去は辛い出来事が多い。

私との思い出が無くなっていたとしても、これから作っていけばいい。

楽しい記憶で埋められるのなら、私は本望。


「だから、あなたもこれ以上無理して思い出そうとしなくてもいいのよ?ここからスタートすればいいわ。」


レオナちゃんも会長も、これだけは分かってくれていると思う。

2人には薄くでもリーナの過去を伝えている。

私の言っていることが正しいことだと分かってくれなければ伝えた意味がないのに等しい。


「でも‥‥‥つらい記憶だけだとしても私は…‥‥」


リーナは諦めずに、勇気を振り絞って声に出す。


「私は、お姉ちゃんとの思い出を1つも忘れたくない。お姉ちゃんとの記憶を忘れたままにしたくないの!……これはお姉ちゃんのためだけじゃなくて、私のためでもあるの。」

「リーナ……。あなたは本当にそれでいいのね。」

「うん。どんなにつらい事でも、私の記憶。そこから目を背けちゃいけないと思うの。」

「なら、私は何も言わないわ。」


私のためでなく、リーナ本人のためである以上口を挟むことはしない。

リーナがしたいのなら、むしろ私も手伝うべき。


「あの、今から朝食を取りに行きませんか?話もまとまったようですし、リーナちゃんは帰ってきたばかりでお腹を空かせてると思います。何より、私たちもご飯を食べていませんから。」

「そうね。深刻な話はこれまで。」


レオナちゃんが気を利かせてくれて話題の転換をしてくれた。

それに会長も乗っかることに。


「そうですね。」

「私も、少しお腹が空いています。」


すっかり、朝食を取りに食堂に向かうモードに。

久々のこの4人での朝食となった。



――――――――――――――――――――

―――――――――

――――

――



食堂に着くと、寮生全員が私たちを待っていたかのように待機していた。

私たちが寮生全員に聞きに行っていたからみんなも心配してくれていたんだと思う。


「リーナちゃん見つかったんですね。」

「みんなの部屋に聞き込みをしていたと聞いたのでみんなで心配していたんです。」

「ホッとしました。」


近くにいた同級生の子たちが説明してくれた。

やっぱり、朝早くから私たちがリーナを探していたのをみんなに伝わって何事かと心配してくれていたらしい。

そして、事によっては全員が手伝ってくれていたそう。

みんなには申し訳なくてしょうがない。


「みなさん、すみませんでした。」

「私の方からも、今朝早くからすみませんでした。」


リーナと一緒にみんなの方へ頭を下げる。

心配してくれていたという喜びと、迷惑をかけてしまったという罪悪感の2つが心の中でぶつかり合う。


「謝らなくていいですわ。」

「何事もなかったようですので、気にしないでください。」

「この寮にいる以上、住んで居るみんなは家族のようなもの。困っている人がいれば、手伝おうとするのは当たり前なのですよ。」


みんなからの温かい言葉に何かが込み上げてくる。

多分この感情が嬉しいという気持ちであり、みんなの優しさが伝わって来るってことだと思う。


「それより、会長たちは動き回っていたようですし、お腹も空いているんじゃないですか?」

「今日は、久しぶりに全員で朝食としましょうよ。」

「それはいい考えですね。」


みんなから暖かく包まれながら席に着く。

今日は、久々ににぎやかで温かい朝食と変化した。

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