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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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走り出す少女9~~お姉ちゃん視点~~

朝の6時。

目覚ましが鳴ると同時に目が覚める。

目覚めは良い方で、2度寝するようなことはここ数年していない。

起きてからは着替えと顔の洗顔をして髪を整える。

その後、リーナの部屋に訪れるの事が最近の日課になりつつある。


トントントン


「………」


返事が無いようだった。いつも通りまだ寝ているのかもしれない。

念のためもう一度ノックをしてみたけれど、返事は帰ってこなかった。

ドアノブを軽く捻ってみると鍵は掛かっていなかったらしく扉が開いてしまう。


「リーナ、失礼するわね。」


なるべく音をたてないようにゆっくりと部屋に入る。

部屋の中は昨日見た状態と同じで、そこにリーナの姿が無かったところまで同じ。

隠れているという可能性もあるので、隠れられそうな場所を念入りに調べてみる。

けれど、どこにもリーナの姿はなかった。


「今のあの子にアレが使えるとは思わないけれど、一応ね。‥…【世界干渉(アクセス)】。」


自分を中心に次元領域を展開していく。そして、その領域の中に不自然なところが無いか、存在しないはずの空間が無いかを探して行く。


「やっぱり、ここにはいないわね。……いったいどこに行ってしまったのかしら。」


昨日のリーナの様子を思い出してみる。

と言っても、昨日はいたって普通。

会長の部屋に行く前も変にそわそわしている様子もなければ、落ち着きすぎている様子もなかった。

波長の乱れは一切感じられなかった。


となれば、何かが起こったのは私が会長の部屋に行っている間という事になる。

その間に何かしらの事が起きたのだと思う。

そして、そのまま裏庭に行ってから……。


「事件に‥‥、巻き込まれた…!?」


一瞬取り乱しそうになったけれど、それは考え過ぎかと少し冷静になる。

それの結論に行きつくのは早すぎる。もしかしたら違うこの部屋にいるかもしれない。


気を取り直して、まずはレオナちゃん部屋に向かってみる。

寝ている所を起こすのは少し気が引けるけど、背に腹は代えられない。

あまり音を立て過ぎない程度にノックを掛ける。


「サナよ。少しいいかしら?」

「………!?す、少し、待ってください!」


中からレオナちゃんの声が聞こえてきた。

ドタバタと音が少ししてから扉が開く。


「す、すみません!少々乱れていまして…。」


出てきたレオナちゃんは、少しだけ髪がはねていて急いで髪をとかしたのが見て取れた。


「こちらこそ、こんな時間にごめんなさいね。それで聞きたいことがあるのだけれど…。」

「私に分かる事であれば答えますよ。」

「その、リーナが来ていないかしら?」

「リーナちゃんですか?いえ、来ていませんよ?」

「そう。‥…それじゃあ、昨日の夕方リーナに会ったとかは‥‥。」

「夕方は……あっていないですね。‥…そう言えば、昨日はリーナちゃんに会うことがありませんでした。」


部屋にいないいのは予測していたけど、姿すら見ていないのは少々心配だ。

隣の部屋にいるレオナちゃんが見ていないという事は、この階に来ていないかもしれない。


「そう‥…。」

「リーナちゃんに何かあったんですか?」

「いえ、昨日から姿を見ないから、どうしたのかなって思ったの。」

「リーナちゃんがですか!?そ、それは一大事じゃないですか!?」

「そこまでのものじゃないわ。もしかしたら、他の人の部屋にいるだけかもしれないわ。」

「サナ先輩、部屋に確認したのは……私が最初ですか?」

「ええ。」

「なら私、他の1年生の部屋にリーナちゃんがいないか聞いてきます!」


リーナを探す手伝いは嬉しい。でも、時間は早朝。

あまり迷惑はかけたくない。


「そこまでしなくていいわ。もしかしたら、ひょこッと出てくるかもしれないわ。」

「でも、もしリーナちゃんが何処にもいなかったらどうするんですか!こういう時は早めの伝達が1番です!先輩たちに聞きに行くのは難しいですが、同級生なら大丈夫です。みんなに聞いてみて、いてもいなくてもすぐに連絡しますので…。」


流石にここまで言ってくれているのに、断るのは失礼だと思う。今回は、レオナちゃんにも手伝ってもらいましょう。


「分かったわ。それじゃあ、1年生の方は頼むわね。」

「はい!」


レオナちゃんと別れ確認をしに向かう。

次は会長。

リーナが行きそうな場所と言えば限られる。

軽くノックを掛ける。


「今開けますね。」


この時間は会長は起きているようだった。すぐに扉を開けてくれた。


「サナちゃんじゃない?こんな朝早くからどうしたの?何か困った事でも起こった?」

「会長、朝早くからすみません。それで聞きたいことがあるんですが、リーナが部屋の中にいますか?」

「いえ、いないわ。」

「そうですか。……朝早くにすみませんでした。では、また後で……。」


会長の部屋にも来ていないようだった。

となるとどこにいるのか余計分からなくなる。ヒマリは今この寮にいない。

だから、特別親しくしていた先輩は会長が最後だった。

他の先輩たちの部屋にいる確率はほぼ等しいがいない確率の方が高い。


「サナちゃん、何かあったの?」

「ええ、昨日の夕方からリーナを見かけなくて。‥‥それに今さっき部屋に行ってみたらもぬけの殻だったんです。」

「……それは心配ね。他の人には当たっているの?」

「今は会長とレオナちゃんだけです。そして、レオナちゃんが一年生を回ってきてくれています。」

「なら、私は3年生を当たるから、サナちゃんは2年生にあたって。そうすれば早く済むわ。」

「ありがとうございます。」

「これぐらい、寮長として当たり前よ。」


そう言って、会長にも手伝ってもらうことになった。

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