走り出す少女7
「お姉…ちゃん、どう…して。‥…一人に、しない‥で……………っ!?」
目が覚めたら、体中に汗が染みわたっていた。
べとべとしていて、とても気持ち悪い。
それにしても、さっきの夢は何だったんだろう。
夢の中の私は、お姉ちゃんを殺していた。
でも、なぜか生きていて、最後には私一人置いて行かれて‥‥。
「お姉ちゃんは、どこにもいかないよね?私の前からいなくならないよね?」
不安だけが私を支配した。
だから、どうしても確認したかった。お姉ちゃんはいなくならないのか。
もし、隣の部屋にお姉ちゃんがいなかったら?
そんなことを考えるだけで、私の胸が苦しくなった。
トントントン
3回ノックをしてみたけど、何も返事が返ってこなかった。
もう一度ノックをしてみる。
でも、やっぱり返事が返ってこなかった。
これ以上ノックしても返事が返ってきそうになかったので、声を出そうとした。
ただ、うるさいと言われてしまうかもしれないのでどうしようかと迷った結果、声をかけることにした。
「お姉、ちゃん……。」
うるさくない声で呼びかけてみた。
しかし、反応は一つもない。
もう一度、
「お姉ちゃん。」
それでも返事はなかった。
もしかして、これまでの事はお姉ちゃんには迷惑だったのかもしれない。
だから、これ以上は無理と無視されているのかもしれない。
私は嫌われてしまったのかもしれない。
そんな気持ちが、私の中で渦巻く。
「…どう、しよう。‥…お姉…ちゃんに、嫌われ‥ちゃった‥‥。わた、しは‥わた、しは…。」
頭がおかしくなりそうだった。
どこにもいかないと、私の前からいなくならないと思っていたお姉ちゃんがいなくなってしまった。
お姉ちゃんがいなくなってしまった今、私は何をすればいいか分からない。
このままじゃ私は…。
『生きていけない?違うよね。生きる意味が見いだせなくなるんだよね?‥…それならさ、私に体を渡してよ。』
誰かに問いかけられた気がした。
「いやだっ!‥…まだ、お姉ちゃんは私の前からいなくなってないもん!!お姉ちゃんは、お姉ちゃんは…。」
『どこにいるの?……どこにもいないよね?…ならもう、生きる意味ないじゃん。だからさ、体変わってよ。』
「…お姉ちゃんは……お姉、ちゃんは…。」
『さぁ、早くっ!!』
「いやっ!いやっ!!……お姉ちゃんはいるもん!!お姉ちゃんは―…。」
「リーナ?そこで何をしているの?」
「!?‥っ!!」
「え!?ど、どうしたの!?」
お姉ちゃんを見つけるなり、抱き締めてしまった。
おかげで、お姉ちゃんには迷惑をかけてしまった。
でも、でも、お姉ちゃんがいなくなっちゃったんじゃないかって怖くて怖くてしょうがなかった。
だから、思いっきし、お姉ちゃんの体に私をなする付ける。
「もう‥‥どうしたの?‥‥怖い夢でも見たの?」
「うん。」
「そう。……どんな夢を見たの?」
「お姉ちゃんが‥…私一人を置いて…いなくなっちゃう夢。」
「そうなの。……でも安心して。私はそんなことしないわ。あなたを一人置いていくことはしない。あなたの前からいなくならないわ。」
頭を優しくなでてもらっているのに、まだ不安は残っていた。
「本当?」
もっと安心できる何かが欲しい。
そういう気持ちで、不安は募るばかり。
「ええ。それなら、指切りをしましょう。」
「指切り?」
「こうやって小指を絡めてからやるのよ。」
お姉ちゃんにゆっくるとやり方を教えてもらう。
「そしたら、軽く指を振りながらこう言うの。」
お姉ちゃん合わして歌を歌う。
「「ゆ~び切りげんまんうっそついたら針千本飲~ます。指切った。」」
リズム合わせてやると、少し面白かった。
「これでどう?‥…それとも、これじゃあまだ駄目?」
「うんん。‥…でも、でも、嘘ついたら、針千本だからね!」
「ええ。約束を破ったらそうするわ。」
「本当だからね!!」
「まぁ、怖い。それなら余計に約束を破れないわね。」
今の私の顔は多分、笑っていると思う。
さっきまでとは大違い。
それにしても、さっきの声はいったい誰の声だったんだろう。
でも今はどうでもよくなっていた。
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