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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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走り出す少女6~~お姉ちゃん視点~~

「‥‥あ…あ‥…やっ……お姉…ちゃん‥…お姉ちゃん‥…。」


目が覚めれば、リーナが涙を流していた。そして、膝周りが涙で濡れていた。


「リーナ‥‥泣かない、で。」

「!?…お姉ちゃん!!」」

「はぁ‥はぁ‥…痛みがまだ、あるみたい。」


私の体に戻って自分の体を見てみると、切られていた部分がくっ付いていた。

ただ、腹部に大量の血が染み付いていて本当に死にかけていたんだと理解させられる。

さらに、腹部の切られた部分がいまだに痛んでいて本当にくっ付いているのか理解に困る。


「お姉ちゃん…ごめん、な、さい。私、私―…。」

「大丈夫、私は、死なない、わ。」

「でも、私のせいで……お姉ちゃんの体が‥…。」

「私は、怪我を、していない、わよ。ほら、触ってみて。」


リーナの手を取り、腹部の方を触らせる。

最初の方はビクビクとさせていた手も、私の腹部を触ったとたん収まっていた。

また、リーナに触られる手は優しく触ってくれているのが逆にくすぐったい。さらに、触られることで、私自身も傷口が無くなっているんだと改めて感じられる。


「ね?大丈夫、でしょ?」

「え‥‥でも‥‥わた、しは……。」

「あなたは何も、していない。だから、大丈夫よ。それよりも、早くここを、出ましょう。あなたたち、手伝ってくれるわね?」

「「は、はい。」」


この状況につかめていないメイドたちに声をかけ指示を出す。

ここからはリーナではなく私の時間。

ただ、体がいまいち馴染んでいないのか、うまく立つ事も出来ないのでリーナに助けてもらいながらメイドたちをは反対方向に進む。


メイドたちは、折にとらわれている女性たちの救助。私は、残っている盗賊の処理。

ここから奥にいるのは囚われている女性ばかりだから、私たちは出口の方向に向かっていく。


思っていた通り、出口の近くにほとんどの男性たちがいた。


「お?なんでこいつらでて来てんだ?」

「ロリコンたちと遊んでたんじゃねえのか?」

「おいおい、警備が甘いんじゃねえか?なんで、こんなチビたちが出て来てんだよ。誰か、折に連れ戻せ!」

「ほいほい。さ、痛い目にあいたくなかったら、折に戻ろうね。」


その中の男が一人近寄ってくる。


「リーナ、目をつむっておくのよ。」

「う、うん。」


リーナが目を閉じたことを確認すると、相手に向かって右手をかざす。


「今は殺さないであげる。」

「は?何言ってん―…。」


男性の一人が倒れた。そして、次々と近くにいる男性たちが倒れていく。

倒れた男たちの背中には白いバラが刺さっていた。

その薔薇が時間が経つにつれ徐々に赤へと変わっていった。それとともに、男たちの体もやせ細っていった。


「これで、最後ね。」

「お姉ちゃん、もう目を開けていの?」

「ええ、いいわよ。」


目を開けたリーナは久々の外の光を浴びて目を細めていた。


「リーナはこれから、どうしたい?」

「分からない。お姉ちゃん‥…私たち離れ離れになるの?」

「そう‥‥ね。でも大丈夫。あなたは人を殺していない‥‥人殺したのは私だけ。だから、誰もあなたを咎めたりしない。」

「違う‥…私が、私が‥…。」

「大丈夫。あなたは何もしていない。ただ怖い思いをしただけ。男の人に襲われそうになっただけ。」

「わた…しは……わた、しは‥‥。」

「あなたは何もしていない。だから、もう大丈夫。だから、ゆっくりと眠っていればいい。」

「お姉‥…ちゃ―…。」


リーナの体から力が抜け、その場に倒れてしまう。

そして、背中に刺さっている薔薇をすぐさま抜く。


「あなたは眠るだけでいい。後は私が―…。」


すると、森の奥から聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「…リーナ!!‥‥リーナ!!!」

「リーナちゃん!!‥…リーナちゃん!!」

「サナ!!‥‥サナ!!!」

「‥‥サナ!‥‥サナ!!!」


声はだんだんと近づいてくる。


「もう少し‥…もう少しの辛抱よ。……大丈夫、もう少しだけなら体は動くはず。」


さっきまでリーナの支えがあって立てていたにもかかわらず、無理をしてでも体を動かす。

……でも、あっけなく倒れてしまう。

それでも、腕を動かし少しでも前に進む。


「あ、あそこに!?」


私に気づいたのか、足音が近づいてきた。ただ、目の終点を合わせることも出来ず誰がいるのか分からない。また、体の感覚すら分からなくなっていて、自分の体にどれ程の負担がかかってきていたのか分からなかった。


「しっかり、しっかり!」

「サナ!!しっかりするんだ!」

「リ、リーナを……みん、なを……。」

「ええ、もう安心して。だから…。」

「……よか、った。」


安心してという言葉を聞いて安堵してしまい、体全身の力が抜けてしまう。そして、意識も抜けて行ってしまった。

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