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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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夢を見る少女6

「‥…?ここはどこだろう‥…?」


目が覚めたら知らない場所で寝ていた。

最初はぼやけていていたが徐々に視界が開けていき白い天井が目に入った。

少し体を起こしてみると、お姉ちゃんが寝ていることに気づいた。椅子に座りながらベットに頭を付けて寝ていた。あまりに気持ちよさそうに寝ていたので、お姉ちゃんが起きないように注意しつつ頭をなでた。


「そう言えば私はどうしてここに居るんだろう?」


なぜこんな部屋にいるのか。そしてどうして寝ていたのか。全然思い出せなかった。

ともかく、まずはこの部屋を見渡してみた。

部屋には今座っているベットと近くに机と本棚。そいて、ドアと窓が1つづつ。

窓にはカーテンが引いてあったが、その隙間から光が差し込んできていた。明るさ的には、今は10時くらいだろう。


「……あれ、私いつの間に寝てしまったのかしら?」

「お姉ちゃんおはよう。もしかして起こしちゃった?」

「………。」

「お姉、ちゃん?」

「リ、リーナ!目が覚めたのね!?よかった。……本当に、良かった。」

「お姉ちゃん、どうしたの?」


お姉ちゃんがいきなり叫びだしたのでびっくりした。

それに…‥、


「お姉ちゃん、リーナって誰?」

「‥…え?」

「だからお姉ちゃん、リーナってさっきから呼んでるけど誰の事なの?私の名前は………名前は何だっけ?」


思い返してみれば、私がだれなのか全然分からなかった。分かるのは、目の前にいる人は自分のお姉ちゃん。それ以外何も分からなかった。


「お姉ちゃんどうしよう……何も分からない。」

「そん、な……。」


お姉ちゃんは絶句して黙ってしまった。

そして長い沈黙が続いたが、その沈黙をお姉ちゃんがたった。


「本当に、何も、覚えてないのね?」

「うん。‥…でも、お姉ちゃんはお姉ちゃんだって覚えてるよ?」

「………。」


そうしてまた黙ってしまった。そして何かを考えていた。

決意が決まったのか、まじめな顔をしてこちらに向き直った。


「はっきし言うわね。私とあなたは姉妹ではないわ。」

「…え?何言ってるのお姉ちゃん。私とお姉ちゃんは…」

「私とあなたは姉妹ではないわ。ただ、私はあなたの事を本当の妹のように思って過ごしてきたわ。あなたも私の事を本当の姉のように慕ってくれていたから、記憶の中では本当の姉妹だと認識してしまっているんだと思うわ。」

「そん、な……。でも、でも!」

「私も、あなたと本当の姉妹だったらどれほどよかったかと思ったことは何度でもあるわ。でもね、真実から目を背けてはいけないわ。」


お姉ちゃんはとても悲しそうな顔をしていた。私も今言われたことにすぐに『うん』とは言えないけれど、私にその現実を突きつけないといけないお姉ちゃんの気持ちを考えると否定できなかった。


「……でもね、私の事は今後もね、本当の姉だと思っていいから、ね?だから、その、悲しい顔しないでね?あなたは、笑っている方が可愛いから。」

「うん!」


『可愛い』と言われてとても心が騒いだ。心から込み上げてくる気持ちのすべては分からなかったが、その中で一番強い気持ちは『お姉ちゃんが大好きだ』という気持ちだとわかった。


「それじゃあもう一度聞くけど、覚えていることは私がお姉ちゃんだってことだけなのね?」

「うん。それ以外全然わからない。」

「それじゃあ、私の名前も覚えていないのね?」

「……うん。」

「それじゃあ、私の名前を教えるわね。私はサナ。サナ・ラインハルト。」

「じゃあ、サナお姉ちゃんだね。」

「ええ。それであなたの名前はリーナよ。」

「さっき読んでた名前だよね。私ってリーナって言うんだ。」

「それじゃあ、他の事についても教えてあげるわ。」


そう言って、私事とを色々教えてくれた。

私が、レイン王国という国のお姫様で、お姉ちゃんとは親同士が知り合いという事がきっかけで出会ったという事。私は今16歳だから高校に通っていること。そして、部活に所属しており、お姉ちゃんと他に3人の部員がいるらしい。さらに、ここは高校生用の寮でお姉ちゃんの部屋だという事。


「と、ここまでは分かったかしら?」

「うん。それで、まだあるんでしょ?」

「ええ。だけどちょっと、席を離れるわね。」

「もしかして体調が悪いの?それなら私のベット返すけど……。」

「違うの。ちょっと空気を吸ってきたいの。本当の話してしまっていいのか分からなくてね。」

「お姉ちゃん……。つらい事なら話さなくていいよ。」

「いえ、やっぱりちゃんと話さないといけなことだと思うから、少し休憩を入れてから話すわ。」


そう言って部屋を出て行ってしまった。

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