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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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夢を見る少女

「こ、ここはどこでしょう‥…。」


死んでしまったとばかり思っていたので、生きていることにびっくりしてしまった。と言っても、周りは真っ暗でどこなのかもわからなかった。ここがどこなのか考えてみた結果、


『何かで囲まれ、密閉された空間。というよりも、何もない暗闇という空間。』


という結論に至った。これには理由があり、なぜか自分自身は見えているがそれ以外は見えていない。

視力が意味を果たしていない。さらに、どのくらい大きな空間なのかを調べるためにひたすらまっすぐ進んでみた。

しかし、歩いても歩いても壁に当たることはなかった。まるで、


『一定距離を進むと知らない内に元居た場所に戻されているのではないか』


と思わされるぐらい終わりがなかった。ただ、そんな事が出来るのかをシミュレートしてみたが、気づかれずにするのは不可能という答えにたどり着いた。そして、そもそも


『この空間は終わりがないのではないか』


という空間にたどり着いた。

そしてさらに、この場所についてもう一つの結果がでた。それはここが、


『あの世と呼ばれる存在』


ではないかという結論。しかし、本当にあの世というものが存在するのかを科学的に証明することはできないため、これはほとんど却下という結論に至った。


「ここには何もなさそうですし、あの部屋に避難しましょう。」


ずっとこんな空間にいては、生きていこうにも無理だと思い、


「【存在しない実験室ファントムラボラトリー】。」


…………。

…………。

しかし、いつもなら発動するはずの部屋は現れることはなかった。


「いったい、どうして現れないのでしょうか?」


いつもどおりの体で変わった所はなし。もしかしたら、この空間ではそう言ったことは全て出来ないのかもしれない。考えても考えても答えにたどり着くことはできず、この考察で通していくことにした。


そんな時だった。1つの明かりが現れた。


「まるで、こちらに来いと言わんばかりですね。」


その明かりに向かって、ゆっくり近づいて行くことにした。近づくにつれ、その明かりがどういう物なのか見えてきた。


「これは‥……何かのモニターでしょうか?」


それは、ミオに見せてもらった事があるモニターのようだった。しかし、モニターは何かにつながないと何も写せないと聞いていたが、繋ぐケーブル、さらには、電源を入れるためのコードすら見えなかった。


「おかしいですね?どうして電源が入っているのでしょうか?」


そして、モニターを観察してみたが、どういう構造をしているのかすら分からなかった。

そして、観察が終わった瞬間が分かっていたかのように画面に砂嵐が流れた。

そして、砂嵐が終わると、一つの映像が流れ始めた。



――――――――――――――――――――――

――――――――――

――――

――




「お姉ちゃん、今日は何を持ってきてくれたの?」

「今日はね、大好きって言ってた漫画の最新刊を持ってきてあげたわよ。」

「やったー。」


ベットに腰掛ける女の子に、もう一人の()()()()()と呼ばれていた女の子が話しかけていた。


「それともう一つ。ゲーム機を買って来てあげたわよ。最近はやっているらしくて、あなたも知っているんじゃないかしら?」

「あ、それ知ってる!テレビでよくやってるよ!動物たちと島で暮らすゲームだよね!」

「それなら2人で遊べるし楽しいってみんなに聞いてね、みんなもやってるらしいから。」

「そうなんだ。それなら、今度みんなと遊びたいな!」

「ええ。みんなと遊びたいわね。」


ベットに腰掛けている女の子はまるで、自分ではどこにも行けないかのように弱々しかった。

それに比べ、ベットの近くに座る女の子は看護をしているかのようだった。


「そう言えば、お母さんとお父さんはまだ帰ってきてないの?あれから一度も帰ってきていないよ?」

「お母さんとお父さんは……、遠くでお金を稼ぎに行ってるから、帰ってこれないのよ。」

「そうなんだ。……早く帰ってきてほしいな。」


お姉ちゃんという女の子は、何か言いたそうだが、歯を食いしばり何も言わないようにしていた。

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