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王女だってお姉さまを好きになる  作者: 雪の降る冬
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植樹をする少女14

急いでお姉さまの元に戻ってみると、お互いに距離を取って睨め合うような形になっていた。

しかし、周りにはいくつかの争った形跡が残っていた。

さらに、お姉さまにも少しの掠り傷が見られた。


「お姉さまっ!!」


言葉が出るよりも体が動き始めていた。すぐさまお姉さまの元へ行く。


「お姉さま、大丈夫ですか!?いくつか掠り傷が見られますが、他にどこか怪我をされていないですか!?」


頭の上から胸部を通り足の付け根まで。体のあちこちを決め細かく触りながら確認していく。途中、この前へ一緒の部屋で寝た時に体の隅々を調査してみたが、その時よりも成長している部分があるか(特に上半身)も念入りに調べた。


「リーナ!?そんなに心配しなくていいから。というよりも、さっきから胸ばかりしか触っていないように思えるのよ。今は目の前に敵がいるのだから。」


しかし私は動きを止めることなく、上から下へと丁寧に触っていく。


「り、リーナ、、本当に、やっ!?」

「////…。」

「きゃっ!?ほ、本当にやめなさい。さ、さっきも、言ったように、目の前に、敵もいるんだから。そんな不埒なことしないの!!」


お姉さまは私を強く突き放す。しかし、私はめげず突き放されてもすぐさま近づきまた触り始める。そして、言い訳をするかのように御託を並べていく。


「いいですか?私は、大事なお姉さまの体に傷がついていないか確認しているだけです!!誤解をされないためにも言いますが、さ、触りたいから触ってしまったという事ではありませんからね?。ほ、本当に、ち、違いますからね、お姉さま?……と、次は太ももです!確認させてもらいますからね?」

「ちょ、ちょっと!?さっきの話聞いてたの!?」


途中不自然に目をそらしたり、挙動不審な態度になっていたが、それを隠すかのように、次々と触りながら確かめていく。そして、足の付け根までしっかり確認すると、満足げに立ち上がった。


「怪我をしているのは肩と脇腹だけのようですね。骨などには異常はないですし、怪我と言っても掠り傷程度ですので、傷跡も残ることはないと思います。ですが一応これをお飲みください。」


先ほどと同じようにポケットから小瓶を取り出した。

小瓶にはマリア会長に飲ませたものと同じ名前が刻まれていたが、見るからに薬の色が違っていた。


「これは自身の細胞が活性化する薬です。先ほどマリア会長にも同じようなものを飲ませるように頼んでもらいました。会長の方は自身の回復力を高める物ですが、お姉さまのは回復力だけでなく自身の体をよりコントロールしやすくする効果があります。ミオからの伝言を私も聞いていますので無理だけはしないようにお願いします。」

「ええ、分かっているわ。」


そして、お姉さまは小瓶を受け取るとすぐさま飲み干した。そして、襲撃者の方に向き直し自身のレイピアを持ち上げ集中力を高めていく。


「準備はできたってことでいいんだな?随分と待たせてくれたじゃねえか。」


いかつく声を張り上げながら言い放った。


「待たされたのではなくて()()()()()()()()ではないのですか?」

「さっきから変なことしている変なチビかと思いきや、生意気なことを言うじゃねえか。」

「さっきまで動けなかった人が良くしゃべりますね。ですがよかったですね。私ではなく、お姉さまに相手をしてもらえるんですから、光栄に思うといいですよ?」

「なめた口調が気に入らねえな!だが、俺様は今ちょうど機嫌がいいんだ。先に『茨の騎士』を倒してから、じっくりとお前をいたぶってやるよ!」


そして、私との会話が切れると、襲撃者は何か黒く禍々しいオーラを放つものを取り出すと、私たちが最近知った言葉を放った。


「『解核(シェイプ)』!!」


すると、その禍々しいオーラを自信に纏いつかせた。そして、そのオーラは右腕に集結していき、最終的には化け物のような腕になっていた。


「今のは!?どうしてあなたがそれを!?しかも、私たちと同じものならそのような事は起こらないはずなのにあなたのは一体!?」

「ああ、お前らと同じならな?でも、これはお前らのとは違って少し改造してあるんだよ。自身にその力を直接まとわせ、より強力な力を得るためにな!!」


すると、先ほどまでとは断然比べものにならない程の速さで襲い掛かってきた。

が、それをレイピアの一突きで迎え撃つ。さすがに分が悪いと思ったのか、横に飛びのき体勢を整えながら自分な有利な攻撃ばかり仕掛けていく。

それでも、決定的な一撃を加えれないどころか、逆に体のあちこちが出血していた。


「くそ!どうなってやがる!?さっきよりも強くなったはずなのに、どうして攻撃が当たらないどころか、『茨の騎士』の攻撃がこっちにあたるようになってるんだ!」

「さあ?どうしてかしら?もしかしたら、あなたが弱くなってるだけかもしれえないわよ?」

「さては、あいつの仕業だな!遠くから見ているように見せかけて何かやりやがったな!さっき言ったことは取り消しだ!まずはお前からだ!」


今度は、私のいる所へと力強く飛び放った。

しかし、先ほどまでいた場所にはすでに姿はない。


「どこに行きやがった!」

「何を言っているのですか?私はいるではないですか?」


聞こえてきたのはすぐ後ろ。

私が聞こえるようにしゃべってあげた。


「今何をした!」

「何とおっしゃられても大したことはしていませんよ?簡単なお遊びじゃないですか?」

「舐めやがって!」

「それから、あなたの相手は私ではありませんよ?せっかくお姉さまが相手してくれているのにこちらに来るとは、無礼があるにもほどがあると思いませんか?」


冷酷な口調からの蔑む目。まるで、ゴミや虫を見るかのような目。

自分で無少し自覚はあったが、相手の表情的にそんな目をしているのだと分かる。

いや、彼女の恐怖した顔から伝わってくる。

そして、その目からは死に対する危機感すら覚えたのか、すぐさま距離を取っる。


「こうなったら、あれをするしかないようだな。…………もうどうなっても知らねえ。私をコケにしたこと、後悔させてやるよ!!『魔装(アーマメント)』!!」


襲撃者が先程、『解核(シェイプ)』した時よりも比べられないほどの黒く禍々しいオーラが彼女の全身を覆いつくし未知の姿へと変えていった。

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