植樹をする少女3
「今日は、この前皆さんに配ったプレゼントを持ってきましたか?」
ペンダントを貰ってから1週間が過ぎ、また実践授業が行われていた。しかも今日は、ペンダントを授業に持ってくるように言われており、このペンダント『乙女衣装』についての説明がされるのだろうと思われた。この前の部活動中にお姉さまから少しだけは聞いたものの、全てではないため、少しだけ興味がそそられた。
「では皆さん今日はこれらについて説明しますね。ではまず聞きますが、どうして私たちがこれらを配ったと思いますか?2列目の前から3番目の子、答えてみてください。」
「は、はい。しかし、それはプレゼントとしてではないのですか?」
知らない人からすれば、そう言われていたのだからそう答えるしかできないだろう。
「確かに私はそう言いましたが、そのためだけに渡したわけではありません。では他の事を聞いてみましょう。この中で、秋に行われる寮対抗戦を見に来たことがある人はありますか?」
寮対抗戦。それはその名の通り、それぞれの寮の生徒1年から3年生までが参加し優勝を目指して行われる対抗戦。優勝すれば、自分たちの生活環境をより良いものにすることもでき、また、日々の努力を発揮する場所でもある。さらに当日は、校内に誰でも自由に入ることができるように開門され多くの人々に自分の実力を見てもらえるらしい。
しかし私はこの学校にお姉さまが入学しているのを知らされたのは去年の冬。
お姉さま直々の口留めでもあったらしい。なので元々は他校に入学する予定だったが、そこで諦める私ではない。
すぐに進路変更を、そして入試の勉強もどうにか2週間で済ませた。
そう言うこともあり、入学説明会の時対抗戦の存在を知っていたものの見たことはなかった。
「この中で、見に行ったことがある人は半分もいないようですね。しょうがないとして、では見たことがある人に聞きますが、対抗戦の時に全生徒がそれぞれ武器を持っていたのは見えましたか?」
その質問を聞いた人確かにそうだったと反応していた。
「実はその武器は今あなたたちが持っているものによって作り出された物なんです。まずは見てもらいましょう。『解核』」
先生がそう言うと、右手の人差し指に着けていた指輪が光り出した。そして次の瞬間、先生の右手には拳銃が握られていた。
「このようにあなた方が持っているものには人それぞれに合った武器を作り出す力があります。と言っても、普通は構造が単純なものです。しかし私のようにたまに構造が複雑なものを作り出せる人もいます。このように――」
何やら手元を動かしていた。すると、剣のような形になった。
「もともと剣ではあっても形を変えて他の武器にできる人もいます。また、人によってはさらにその先の事が出来る人もいます。」
そう言っていると武器が消えてしまった。というよりも消したようだった。それにしても、先ほど言った、さらにその先の事は初めて聞く言葉だった。お姉さまはそこまで話す必要はないと思い話していなかっただけだろうが少し興味があった。
「そもそもこの武器を生み出しているアクセサリーですが、このように自由に取り出したり消したりする事が出来ます。こういった事ができるこのアクセサリーですが、『乙女衣装』と呼ばれる物なんです。この『乙女衣装』はもともと女性の護身用のものとして使われるはずだったのですが、一応武器を取り出すものには変わりないため、この学校でそれの使い方をよく理解し危険な使い方をしないために勉強するために配られました。ですので、これらを使うにはいろいろな規則があり、それを破れば退学になるという事もあるので気を付けましょう。」
その先生の退学という言葉が出たとたんみんなの顔が険しくなる。最近剣術を学ぶ上で剣を使うことがありやっと慣れてきた生徒が多かったが、ここにきてまた恐怖が増えてしまった。
「と言っても、そもそもは護身のためのものです。それを扱えれなければ意味がありません。という事で今日は、皆さんの『乙女衣装』の力を解き放ちましょう。さっき先生がやったようにそれぞれ試してください。」
その声が言い終わるのと同時にみんなが一斉に始めた。
1度目で成功する人もいれば、何度かやってやっと出現させることができる人もいた。
そして私も、
「『解核』。」
ペンダントを握りそう言葉にすると光り出した。……しかし、私の手には何も握られておらず、また周りに変化はなかった。そして何度もやってみるが、結果は一緒だった。
「成功していないのはリーナさんだけのようですね?しかし、さっきから見ていましたが、『乙女衣装』はしっかりと反応しているようなんですが………おかしいですね?」
先生も見ていたようだが、理由は分からないようだった。
その後もチャレンジしてみたが結果は同じだった。
幸いだったのは、今日は『乙女衣装』の力で武器を出すだけ出ったので後の授業は使うことはなくいつも通りだった。
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