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そろそろ慣れてきた

白雪姫先生に手を放され私の体は重力に従って落ちていく。

 先ほどまでアクティブな動きをしていたからか、何とか窓のふちを何とか掴む事が出来ました。しかし、所詮窓のふちという面積の狭い命綱。早く誰かに助けて貰わなければ落ちるのも時間の問題でしょう。


「徒然君! 助けて下さい」


「マスター、そういってるけど助けていいの?」


「許可取って無いで早く!」


「駄目だ」


「おい、クズ教師。マジで黙れ」


「天橋立、キャラ、キャラ」


 キャラも壊れるわ。気にしてる場合じゃない。私を見降ろす二人は一切動かず私を助ける気など一ミリもないと感じる。彼らの他に助けを求められる人達は。

 上下左右を見ても人はそんなにいない。ため息をついて窓を見る。あ、いるじゃないですか。会社員さんが。


「あの! 助けて下さい!」


 窓を叩いて、叫ぶ。すると頭上からも声が。


「そいつドジなんで落ちちゃったんです! いったん窓開けて入れてくれませんか」


 ああ、こうやって中に入るつもりだったんですね。先に行ってくれていたら助かったのに。白雪姫先生が素直に教えてくれるのも違和感ですけど。

 気が付いてくれた社員さんが窓を焦って開けてくれました。


「大丈夫ですか!?」


「すみません、助かりました」


 私の後に続いて白雪姫先生と徒然君も会社の中に入って来る。


「助けて頂いて。有り難う御座います」


「い、いえ」


 社員さんが戸惑いながら私達を見る。そういえば私達今、魔法で顔が可笑しなことになってるんでしたね。

 私を助けてくれた会社員さんは私達にかかわりたくないのか苦笑いをした去ってゆきました。それは周りの他の会社員さんも同じらしく目線を反らしながらせわしなく動いオています。

 いや、潜入としては成功なんでしょうが。なんでしょうね、あまりすっきりしないというか。


「うっし。第一段階成功したな、イエ―イ」


 顔だけはカッコいいイケメンスマイルでハイタッチを求めてくる白雪姫先生。徒然君が答えていたので私も一応答えて置く。バチンと結構大きな音がしたけど、白雪姫先生はあまりいたがってない。残念。


「もっと別の方法があったと思うのは私だけなんでしょうか。……って第一段階って言いました?」


「言ったけど? まさか、車内に潜入しただけで成功だと思ってた? 今回の目標分かって無いな。楽、魔法少女の先輩として実力の差を見せつけてやれ」


「こっちに説明を投げて来ないでよ。……はぁ、今回の目標は揺すれそうなネタを取って来ること。でもそんな極秘にしておきたいデータって普通皆が仕事するオフィスのパソコンには入れておかないでしょ。だから、僕等の目標はここのもっと上」


 徒然君は指で天井を指す。いつも通りの無表情で平然と告げる。


「社長室だよ」


 帰りたい。とてつもなく帰りたい。


「帰りたいって顔してんな」


「分かってるなら帰らせて下さい」


「見学したいっていったのお前よ? それに引き返せる状況だと思っているならやってみても良いけど俺責任取れないからね」


 悔しい事に正論である。

 それに此処でNANAに関する情報を手に入れて置く事は百合達のためにもなる。


「良いですけど、もう私を囮にしないで下さいよ」


「それは状況次第」


 そこは肯定してよ。もう流石に白雪姫先生に優しさを求めるのは止めた。

 白雪姫先生は空気を変えるように手を一回叩いた。


「はい。じゃあ、レベルがあがって第二段階。社長室に入るにはそれなりのランクのライセンス。つまり社員証が必要になって来る。おい、楽。弓矢しまえ」


「つまりはぎ取ってこいって事じゃないの?」


「せめて奪いと取るって言おうな? だが、今回は他から取る必要はない」


「えっ、白雪姫先生らしくない」


「天橋立の発言については作戦が成功したらじっくり聞くとして。今の俺達の格好を見ろ」


「明らか変質者ですね」


「そう! どっからどう見ても清掃員だ」


「スルーですか」


「普通に社長室の清掃をしたいからと言えば通してもらえるはずだ」


 白雪姫先生は明らかに私達を避けていた会社員さんを一人捕まえて嘘の事情を説明し出す。会社員さんはかなり嫌そうな顔をしていらっしゃいましたが、一応仕事なので社長室の前まであっさり通してもらえました。変に追及されなかったのはこんな格好のやつらとやっぱり関わりたくないからですかね? だとしたら私もその気持ち分かりますよ。

 会社員さんは私達を最上階の社長室へ案内した後そそくさと仕事に戻っていきました。最上階は社長室以外に重要な部屋はあまりないらしく、人通りがありません。今社長室前の廊下にいるのは私達だけなようです。


「と、言う訳で本番はここからだ。第三段階の作戦を伝える」


 あ、ちゃんと考えてあるんですね。


「俺が社長の気を引くからお前らがこっそり、このUSBでデータを盗んでこい」


 ポケットからさっとUSBを取り出して徒然君に渡す。


「ぶっちゃけハッキングとかは楽が練れてるから一人だけでも何とかなりそうだが、天橋立も一応とサポートに回ってくれ」


 徒然君と目を合わせた後二人して白雪姫先生を見て頷く。


「よし、じゃあ本番行くぞ」


久しぶりの更新です。すみません。

パソコンがブラックアウトしまくるのでどうにかしたい。


あと、レビュー書いていただいたようでありがたいことこの上ないです(この作品レビューだけじゃなくて感想も待ってますよ)。


これからも『魔法少女使いに請え』を宜しくお願いいたします!

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