中身はなあに
ごく稀に、宅配のおにーさんから荷物の中身を訊かれる。
本当はそんなん訊いちゃダメらしいけどね。訊かれて困るものでもないし、サイズと重量的に気になるんだろうなと思うので答えてる。今後の参考になるか不明ではあるが。
言いたくなければ断るかテキトーにあしらえばいいし。
初めて訊かれたのは、小麦粉。あれはすまんかった。
その頃気になっていた小麦粉(強力粉、準強力粉、薄力粉)を全部買ったら、粉だけで一二キロを超えてしまった。総重量はたぶん一五キロほど。
運悪く配達の日が悪天候、外箱を破損したとのことで。食品だけど、緩衝材と食品の包材ともに頑丈だから、中身への影響はないと確信していた。おにーさんのせいではない。
あの頃はまだ今ほど通販が盛んではなく、時間は大丈夫というので開梱して一緒に確認することに。結果なんともなくてほっとされたけど、次から次へと粉の袋が出てくるから引かれていたような気もする。
業務用の二五キロには手を出していないから許されて。
次は、ほうき。
薄くて長い長方形の段ボール。大きさのわりにものすごく軽く、動くとカタカタ音がする、謎の荷物。
「これ……なにが入ってるのか訊いてもいいですか……?」
とても言いづらそうに訊かれる。
「学校の掃除道具で、先生が使っていたほうき、あったじゃないですか」
「ありましたね」
「あれなんですよ」
「!?」
「自在ホーキっていうみたいなんですけどね」
「売ってるんですか!?」
「売ってたんですよ。探してみるものですねえ(しみじみ」
「あれ、売ってるんだ……」
「こんな箱あったんですねえ……規格すげえ」
カタカタいってたのは、一緒に買ったホーキ部の掃除用ブラシだった。固定が甘かったんだね。
フローリングの溝のほこりと砂が掃除機でも吸いきれてなかったから、掻き出して掃除機で吸うという手段を取るべく探していたのだ。調べてびっくり、あんなにサイズのバリエーションがあるとは知らなかった。
次も、ほうき。
これは梱包がある種のワザだった。
「これ……なにか訊いても……いいですか?」
訊きたくもなるよね、先が三角形に段ボール梱包されていて、上から棒がにょっきり生えてるんだから。
「ほうきなんですよ、除雪用の」
「除雪用ですか」
「ほうきの毛の部分がプラスチックでね、スコップより軽いし、この辺で積もるくらいなら掃けるから」
「あぁー、それは便利そうですね」とても感心された。
「まさかこんな形で来るとは思ってもみませんでした。これじゃ気になりますよねえ」
「そうなんですよー」
もしかしたら配送センターで話題の品になっていたのかもしれん。
忘れた頃に不定期に訊かれる、茶葉。
使い勝手の良いウーロン茶を年に一~二度の頻度で五キロくらい取り寄せている。
ほどほどの大きさの箱でそこそこの重量、なんとなく気になるみたい。お店の名前は段ボールにばっちり印刷されているけど、わたしも見慣れるまで読めなかったしな。わからんでもない。
回数は多くないと思ってたけど(これだけではなかったりする)、こんなに訊かれるわたしがおかしいのだろうか。
変なもの買ってる覚えはないのだが。




