自虐的エステ勧誘の断り文句
ひたすら逃げ回ってきたからようやく捕まりにくくなってきた、某エステの勧誘。ショップができると住宅地を訪問してまわっていた。
「肌年齢チェックを」想定より若かったらしく驚かれるところからスタート。
「普段のお手入れは何を?」
「なにも」
「えっ?」
「なにもしていません」
謎の沈黙が訪れる。
……気を取り直して。
「基礎化粧品はなにをお使いですか?」
「いやだから、なにも」
「なにも?」
「なにも」
「お使いでない?」
「はい」
「化粧水とか」
「浸透する前に、ぜんぶ汗で流れちゃうもので」
汗かきのくせに熱い湯の長風呂が好きでねえ……あがるとしばらくの間、汗がとまらんのだ。
一年の四分の三は、ドライヤーもきびしい。
……あらためて、気を取り直して。
「で、では洗顔料は」
「○乳石鹸です」
「は?」
「牛○石鹸です。青箱」
「それだけ?」
「それだけ」
たぶんそろそろ、もうヤだとか思われてるんではなかろうか。
「えっと……朝の洗顔は」
「水ですね」
「え?」信じられないものを見る目はやめろ。
「水だけです、朝は」
夜、風呂で身体を洗うついでに石鹸とぬるま湯で洗顔して(顔に石鹸使うのは毎日ではなかったりする)、朝は水だけ。
「それで、この肌……?」そんなこと言われても。
「何もしないからですかね?」よくわかんないけど。
そもそもで、厳寒期以外は化粧不能なのだよ。塗ってるそばから流れ落ちるぞ。成功しても家を出る頃には崩壊する。
特殊メイクもびっくり。
だから、化粧しない人を押し通している。だって怖いじゃん、お互い。
それでもめげずに頑張る。
「ご、ご結婚前にエステのご経験は」
「結婚式を省略したので、ないですね」
なんなら指輪も拒否した。つけないものは要らない。
だからさ、要らんものは買わないのよ。後始末大変だし。
やっと諦めて帰ってくれたと思ったら、後日また現れた。
顔のリフトアップがどうとかいうけど、あれだけ断ってるのに必要そうに見える?
あまりに面倒なので、ひとことで終わらせた。
「時の流れと重力には、逆らわないことにしてます」
黙られた。なぜ。
でもさあ、何度か二十キロ以上の体重増減やってるけど、顔のたるみはほぼないんだよ。エステの人、これ(顔のたるみがない)説明できるのかな。
体の方はすごいことになる。まじで伸びた皮は戻らない。気を付けてね(何を?
訊いてみたくなったんだけど(訊くだけ)、最近姿を見ないね。
あとは、若者へ注意。
紫外線対策だけは必須!
わたしはあるがままで生きてて全く気にしてないからいいけど、四十歳すぎたら一気にシミ出てきたからね。あれ、蓄積みたいだよ。
ちょっと驚いた。




