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からすとうぐいす

うちの辺は、からすが増えたり減ったり。

同じアパートの新規さんがテキトーなごみ出しをすると、問答無用で洗礼を受けている。うちも当然、巻き添えを喰らう。新聞紙で覆ったりの対策してるから頻度は低いけど、破られるときは何をしても破られる。

なんかやけにからすの声が近いなあと思って通りに面した窓を開けると、目と鼻の先(にある電線)にすずなりにとまってる。二十羽くらい。来すぎだろ、おまえら。

「ちょっとやめてよーーー!」とからすに文句を言う謎の女、それがわたし。どうも覚えられているようで、苦情を入れるとその後しばらく来ない。

常日頃から声かけてる(挨拶)からなあ。なんなら手も振る。

立派な不審者である。


下の田んぼの先の山にねぐらがあるんだろうな、あそこを通るときは声を聞かないけど。寝に帰ってくるだけかも。縄張り広そうだし。


彼らは個性もけっこう豊かである。

この地に住み始めて数年後に、とあるからすに気づく。

「早よ、早よ、早よ、早よ!」急かすんだわ、これが。聞こえ始めた頃はなかなか姿を見なかった。あるとき、ようやく急かすやつの姿を見た。でっけえ~!

何年生きてんだろ、このコ。でっかくて、つやっつやで、かっこいい。

「お友だちになりたい~」なってくれなかった。けち。


山を迂回して(とはいえ別の山は越える)隣市にあるショッピングモールへ行こうと自転車でちゃりちゃり走っていたら、隣市との境(三キロほど先)で「早よ、早よ、早よ!」と聞こえる。姿は見えない。

帰りも、自宅付近で「早よ、早よ!」と聞こえる。やっぱり姿は見えない。誰を呼んでるんだ。

そんなに移動しないと思っていたが、そうでもないらしい。自分の徒歩圏が狭いからそんなことを思うのか。思ってるより広いんだな、トリさんの行動圏。


いつからそんな鳴き方をしているのかはわからないが、気づいてから十年くらい、数日おきに急かされていたと思う。転居(町内会レベルで隣町)してからも聞いていたから「元気だなー」と返事をしていたのが、あるとき、そういえば最近聞いてないなと気づいた感じ。さすがに寿命かな、元気だったなあ。

その後、少し離れたところから、かなり劣化版の「早よ」を聞いたけど、すぐに聞かなくなってしまった。うまく継承できなかったのかなあ……。上手かったもんな、あのコ。それか、縄張りを変えたのか。


その数年後。

洗濯物を干していたら突然聞こえた「あ、ほー! ばーかばーかばーか!」

「なんだとうーーーー」うっかり反応してしまってから、お隣さんの窓開いてんじゃん……と気づく。

まあいいや、今はそれどころではない。からすに喧嘩売られてる。たぶん。

この辺に来る頻度は高くないものの、来れば必ず人をばかにしにくる、生意気なやつである。

ばーかばーかじゃねえよ、どこでそんなコトバ覚えてきたんだ貴様。自分の反応の荒さを棚にあげて、えらい言い様である。


今度はいつまで続くのかこのたたかい(勝手にたたかっているつもりになっている



とある目的のために下の田んぼの先の山を通った方の駅(普段の利用駅ではない)へ向かう。普通に舗装されてはいるのだが(公営施設が存在するから)、道の両側に鬱蒼と生い茂る木々プラス竹のおかげで昼でも暗く、犬の散歩をする人かわたしみたいなタイプしか歩行者はいない。通るのは大抵、自転車で爆走していく学生か送迎の自家用車である。

これでよく不審者出ないよな、と思ったけど、人が通らないんだから出ないのもおかしくないのか。


でもここ、日中に歩いてるとうぐいすの練習が聴けるんだ。楽しい。

美しい「ほー、ほけきょ」は、まず聞こえないと思え。まあ練習だし。


「ほー、ほけっきょけっ、きょけっ」なんか詰まってる。

「きょけきょけっ、きょけっきょ」ほー、はどこいった。

「ほーーーーーーーー……」……つづきは? 思わず振り仰いだが、姿は見えなかった。


毎日通るわけでないから、上手くなったところに遭遇できないのが難である。

夏なんか「けっきょけっきょけっ♪」とかゴキゲンだったもんな。

あれ本当にうぐいすなのか。違うトリさんだったらどうしよう。そんな不安も発生する。


そろそろ練習が本格化するかな、またあっちに用事作って行く?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 怖い。 カラスに話しかけるところまで同じ(笑 うちは近所の神社にカラスの巣があり、そこで育った3羽のカラスとお母さんカラスが、ここ一帯の縄張り。 仲良く屋根で遊んでいます。 一羽の…
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