新入りとおかえり組
春に買った強力粉が使えていない。
一斤分のホームベーカリー仕様に小分けされた、使い比べ、食べ比べ用のお試し品で、二五〇グラム入りが数種類あったのだ。そのうちの一品に興味を惹かれて買ってきたまではよかったのだが。
二五〇グラムか~~……わたしの基本的なパン焼きって二〇〇グラムだなあ……。と、余計なことを考えてしまった。
そうしたら、手が止まってしまったのだ。
そのまま時だけが流れ、あっという間に猛暑に。
よくよく考えなくても、使いきらなくていいんだよ、粉。残せば。
ということに気づいたのは、盛夏に差し掛かってからだった。ばかだな……。
この粉は「那古野の月」といって、愛知県産強力粉「ゆめあかり」と愛知県産中力粉「きぬあかり」のブレンド粉である。おそらく、ほかの小麦粉とのブレンド使用が推奨されそうな印象を受ける。
一度、那古野の月単体でパン焼いときたいのだけど。
予想が正しければ、フランスパン系(カンパーニュとかリュスティック)が得意そうなのである。
欲望だけが暴走している今日この頃。
何年かぶりに見てしまい、那古野の月が使えていないのに更に小麦粉を買う。
こちらは三重県産薄力粉「あやひかり」。表記は薄力粉だけど、おまえ絶対中力粉だろ、とわたしは思っている。
調べてみたことはないが、生産されているあやひかりの大半が三重県産であることから、伊勢うどんのうどん粉はきっとこいつだと思っている。偏見だけど。
それくらい、もちもちしているのだ。
これで作る尾張の郷土菓子、鬼まんじゅうが絶品で。その辺の特売で買ってくる外国産薄力粉はもちろん、北海道産の製菓用薄力粉でもやたら歯切れがよくて「これじゃない」感が強い。そんなときに知ったこのあやひかり。
ひと駅あっちのスーパー(普段の行動圏外)にあった頃はわざわざ買いに行っていたくらいである。
……低アミロースな薄力粉がどこまで通用するかのハラカケでもあったりする。
通用しなかったら……なく。




