えっ、もう?
七月も中盤に差し掛かろうという頃。
スーパーの広告の品でさつまいもが妙に安かったから、帰りに確認しようと思ったのだが。
鹿児島県産、知覧紅さつまいも。
このコははじめましてな気がする。
もしかしたら、これまでも店頭にいたのかもしれないけれど、まったくもって記憶にない。
見たいものしか見えない特殊な眼の持ち主だから(言い訳)。
貯蔵いもにしてはやけにきれいな色味のそれ、袋を手にとって違和感を覚える。
シールだ。
「新物……」
「え、この時期で? 七月……だよな?」
記憶にあるかぎり、この店で最初に出てくる新さつまいもは「なると金時・甘姫」のはずだ。ただし「この時期にさつまいもの新いもなどあるわけがない」という思い込みで、ろくに見ていなかった可能性は否定できない。
なると金時・甘姫はおそらく今ごろが収穫期である。一般的にさつまいもはひと月ほどねかされてから出荷になるはずだから。掘りたてよりも熟成させたほうが甘みが増すから。
簡単に調べてみたところによると、知覧紅は通年で販売できる生産体系を作り上げられた鹿児島のブランドいもとのこと。本体は紅さつま。超早掘りのものは五月収穫なのだとか。ということは、植え付けは一月か二月。そんな時期に植えても育つものなのだなあ、さすが鹿児島。
このコはこの超早掘りなのかもしれない。
さつまいもが秋のものだという思い込みの敗北である。
そういえば、おぼろげな記憶ながら、焼酎にもなっている気がするなこのいも。
飲んだことはないけれどおいしいのかな。と、焼酎も苦手なのに思う。
今年はしばらく前から、桜島がいつもより元気だ(噴火が違う)という話や動画をあちらこちらで見たり、鹿児島で地震が多かったりと気になる部分がけっこうある。
買おう。
気になる部分がなくても買っているような気もするが。さつまいもはすきだ。
買うことで多少の応援になるのなら、食べるものは買う。
小ぶりな新いもは、とりあえずはちみつレモン煮にしてみる。
いつもより少しはちみつを控えて、レモン汁も少な目に。
煮上がりの色がなんか、ビミョー。うっかりしっとり系のいもだと認識していたようだが、知覧紅はほくほく系のいもっぽい。そりゃ煮上がりの色味も違うわ。うん。
少し思ったのと違う出来上がりにはなったけれど、これはこれでおいしい。
次に行ったときには、もう店頭にはなかった。残念。




