いくら重なっているからといって
わたしの瞼は、奥二重である。
けっこう長い間、自分の瞼は一重瞼だと思い込んでいた。子どもの頃など、発熱時に二重瞼となるのは何か事情があるのだと思っていたのだ。どんな事情だよ。
体調不良が分かりやすくて、便利といえば便利ではあるが。
ちなみにわたしの場合は、奥二重が二重瞼となっている間はとても目が開けづらい感覚になっている。鏡を見ると一重瞼のときよりもぱっちりと開いているのだが。
一生懸命瞼を持ち上げているのに、ぱっちりおめめ。いや、一生懸命持ち上げているからなのか、これ。
世の二重瞼の人たちは、日々こんな大変な思いをして目を開けているのだろうか。
謎は尽きない。
そんな奥二重瞼人生(どんなよ)を送ってきたが、ここ数年、謎の現象に見舞われている。
瞼の重なっている部分の皮膚が荒れるのだ。
正直、痛い。
顔を洗えば水やぬるま湯がしみる。汗を拭くときにタオルが当たれば当然痛い。目をこすったりなどした日には思わず声が出る。
そのうちなにも触れなくてもまばたきをするだけでヒリヒリとするようになり、できるだけ触れないように気を付けている(ぬるま湯でやさしく洗うことだけはサボらない)と、ようやくかさぶたになる。この繰り返しが起きている。
肌が弱っているわけでもなければ、瞼に負荷をかけているわけでもない。
わたしの瞼に何が起きているのだ。
気になり始めてからしばらく、観察してみた。
いちばん荒れる頻度が高くなるのは、夏である。まあ大汗をかくし、しょっちゅう拭いてるから、摩擦が起きても不思議はない。
そこで気づいたのは、瞼の荒れが気になりだしたのは頭部の汗がひどくなってからということ。汗を拭いているからだけでは説明がつかないというか、少々苦しいものがある。
首から上の汗が増えたということは、当然、毛穴に開口している汗腺が活発ということで。
あまり考えたくなかった現実と、向き合う時がきてしまった気がする。
瞼の荒れ頻度が高いときは、たいてい体の別の部位にできているものがあるからだ。主に皮膚の弱い(薄い)、重なる部分にできやすいもの。
あせも。
瞼にあせもとは。
これまでそんなものができたことなどなかったのに。
主要因はまつげの毛穴なのだろうなあ……。ここから汗が垂れてきたことはないけれど。
こんなところに薬など塗れない。粘膜だし。
これまで通りの対処しかしようがないのである。
現実と向き合うのに三~四年もかかるとは。
うすうすそんな気はしていたけれど、まさかそんなところがなるなんて思わないじゃん。ぶちぶち。




